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タカシの外資系物語

はじめてのGlobal Head Hunting!(その6)2015.06.23

タカシのドタキャンに、Ada-san切れる?!

 

(前回の続き)グローバル金融機関の日本支社CIOとして、某ヘッドハンティング会社からオファーを受けたタカシ。しかし、その金融機関に勤務する友人Aから、「社長が暴君で、社内の雰囲気が悪すぎる。転職しない方がいい!」との助言を受け、このオファーを “断る” ことに決めました。さて、大変なのはヘッドハンティング会社です。タカシが断りの電話を入れた頃には、CEOはすでに東京に向かう飛行機の中。そう!タカシとの実地面談をするために、東京にやって来るのです!!

 

私「Hi, Ada-san, I would like to cancel the meeting with Diana. I ask to be excused from this offer・・・」

 

本件担当のAda-san、このチャットを見て、さぞかし驚いたことでしょう。お昼時だったもんで、食べ物を喉に詰まらせていないか心配していたところ・・・、10秒もしないうちに電話がかかってきました。

 

Ada-san 「What’s wrong with you, Takashi-san ?!」

 

一体全体、どうしたってのよっ!! って、感じですかね・・・。

 

少し解説しておきますと、“What’s wrong” そのものが、かなり強い語感を持っているのですが、さらに “with you” が付くと、それに輪をかけて強い意味、はっきり言うと “クレーム” になります。相手(この場合、私)を非難しているイメージですね。 ま、それも仕方ないでしょう。Ada-sanの上司である CEOのDianaは、すでに東京に向かう飛行機の中。直前になって、私にドタキャンされているわけですから。彼女にしてみれば、相当なlose faceに違いありません。

 

一方、外国人とビジネスをする際には、それがどんなタイミングであっても(たとえ、ドタキャンであっても!)、イヤだ! やりたくない!! と、はっきり意思表示をした方がいいと思います。ネガティブな印象を隠して、曖昧な態度で面談に臨むのは時間のムダだし、相手に失礼です。

また、英語に自信がない場合は、あれよあれよという間に、相手のペースに巻き込まれてしまうこともあり得ます。もちろん、イヤだ!と、ドタキャンするからには、それなりの理由(今回の場合、信頼できる情報ソースから、極めてネガティブなアドバイスがあったこと)を付して説明しないと、単なるワガママになりますので、要注意ですが・・・。

 

呆れたAda-sanがとった行動とは?!

 

Ada-sanは、私を説得するというよりは、いくつかのメッセージを伝えて、すぐに電話を切ってしまいました。ま、これもよくありがちなパターン。 

 

「ここまで話がこじれては、私の手に負えません。よって、CEOのDianaに任せます!」

 

と、言いたいわけです。はっきり言うと、責任回避。でも、この思考展開って、グローバル・スタンダードですよ・・・。

 

【Ada-sanからのメッセージ】

(1)   とにかく、Dianaに会って、直接伝えて欲しい。Dianaはすでに飛行機で東京に向かっているので、私から伝えることができない 

(2)   Dianaはこれまでに、幾多の困難を見事に解決してきた。今回もきっとうまくいくだろう

 

・・・なんやねん、それ・・・ って、感じですが、彼女の立場もわかります。

 

私自身、Dianaと一切を顔を合わせないというのも、大人げない・・・。 ということで、私はDianaあてにメールを書いて、事前に意思表示をしておくことにしました。Ada-sanの立場が悪くなっては申し訳ないので、彼女もcc に入れて、あくまでも初めて “告白” したかのように見せかけて、メールを送っておきました。

 

Dianaとの会話・・・その内容は?!

 

そのヘッドハンティング会社の日本支社は、神谷町にありました。約束の時間にオフィスに行くと、セクレタリーと思しき女性がやってきて、私を応接に招いてくれました。

 

「奈良タカシさんですね、お待ちしておりました。CEOのDianaも、タカシさんに会えるのを、楽しみにしています。あ、そうそう、タカシさんの “ご意向” は、すでに伺っておりますので、ご安心くださいね!」

 

応接のソファーに腰をかけて顔を上げると、たくさんの “写真” が飾ってあることに気付きました。その写真は、アフリカの大草原、無邪気にたわむれるライオンの赤ちゃん、崖の上で咆哮する雄ライオン、アフリカン・ネィティブたちの無垢な笑顔・・・ 見渡すと、オフィス全体が、アフリカの写真とセンスのいい原色の壁紙で彩られています。

 

私は思わず、席を立ち、その写真に見入ってしまいました。と、背後から 女性の声。

 

「I took the pictures・・・ Hi, Takashi-san, I’m Diana. Nice to meet you !」

 

それから30分ほどの間、Dianaと私は、ビジネスの話をほとんどせずに、アフリカの話をしました。

 

Dianaは南アフリカ出身で、アフリカで英語教師の経験があり、複数のAfrican Languageを話すことができること。休暇には、アフリカのサバンナに出かけて、写真を撮っている(今でも!)。将来の夢は、先進国の大企業に、アフリカ人のExecutiveを紹介すること・・・

 

私(タカシ)は、学生時代の友人が、JICAの協力隊でアフリカのザンビアに行ったきり、現地に根付いてしまったこと(彼は数学教師をしていて、これまでに5名のアフリカ人の若者を、フランスのソルボンヌ大学に合格させています!)。ウガンダやスーダンの内戦には、本当に心を痛めているということ。将来の夢は、ITを活用することで、先進国の単純作業をアフリカに振り向けて、彼ら・彼女らの経済的自立を実現すること。そのために、必要な教育を、アフリカのみなさんに提供すること・・・

 

「ところで・・・、今回のオファーについて、タカシの正直な印象については十分に理解しました。クライアント企業のTOPにどんな噂が立っているか、私たちもそこまでは把握していないので、コメントできないのだけれど・・・ でも、正直に言ってくれて良かったです。気持ちが乗らないなら、やめた方がいいわよ(笑)」

 

「あなたがステップアップを考える際には、是非うちの会社にお世話させてね。次回お会いするまでに、また “新作” を撮影しておくから、楽しみに!」

 

・・・ということで、完全にDianaのペースで話を終え、オフィスを後にしました。結果、グローバル企業のCIOの椅子は海の藻屑と消えたわけですが・・・、ま、いい経験にはなりました。

 

Dianaの印象は強烈で、さすが、世界を飛び回るヘッドハンターは一味違う、って感じ。温和な表情の中に、彼女が撮影したライオンと同じ眼光の鋭さを見たのは、私だけではないでしょう。

 

あ、そうそう、これ以来、転職のオファーが結構来るんですよ。その結果については、またの機会にお話したいと思います。では!

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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