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タカシの外資系物語

外資の中途採用は、実はほとんど大失敗?!(その2)2015.04.28

日本に “出戻り” が定着しにくい理由

 

前回の続き) 外資系企業は、なぜ中途採用が下手か? この命題に対して、私は 3つの仮説 を置きました。

 

(1)   そもそも、 見る目 がない ・・・ こりゃ、どうしようもない

 

(2)   結局、 カネ で釣っているから ・・・ 高額でヘッドハントした人は、当初はそれなりに活躍してくれます。しかし、この手の人は、カネ で簡単に動きます。つまり、定着せずに、別の会社から高額のオファーを受けて、早々に去って行きます。

 

(3)   “出戻り” (過去に退職した社員を再び雇用する)を認めている・・・、というか、むしろ奨励しているから ・・・ 今回のコラムでは、この話をします

 

“出戻り” = 過去に退職した社員を再び雇用する というのは、かつては外資系企業に特有のプログラムでした。日系の場合、それを許さない文化というか、“けじめ” というか、一度 “袖にした” 組織に戻るというのは、非常に難しい。

 

これは会社に限ったことではなく、学生時代のクラブ活動などにも当てはまるのではないでしょうか。生まれ故郷の農家を継ぐと思っていたのに、周囲の反対を押し切って都会に出て、思うような成果を上げられなかった若者が、「俺は、戻るところがねぇんだ・・・(T-T)」 と嘆く姿を彷彿とさせます。

 

しかし、合理的に考えると、“出戻り” 組 というのは、非常に使いやすい。数年のブランクであれば、会社の理念や仕事のやり方はそうそう変わっていないでしょうから、文字通りの 即戦力 として期待できるわけです。

 

くだんの、都会で夢破れた若者だって、村に戻れば、家族がいる。友人もいる。村の伝統やしきたりも理解している。関係者が 心のわだかまり さえ捨てれば、非常に高い生産性が見込めるわけです。

 

日本のビジネス社会に、欧米的経営手法が浸透した結果、最近では日系企業においても、“出戻り” プログラムを採用するところが増えてきました。ま、ほんの10年前と比べても、人材の流動性(=転職する人)は格段に増しましたから、“出戻り” 禁止! などと言っていられない事情もあるのでしょうが・・・

 

“出戻り” の ランク付けは難しい?!

 

さて、日系企業でも採用が増えてきた、この “出戻り” プログラム。心情的な面はさておいて、その難しさの1つに、

 

どのランクで戻すか?

 

というのがあります。中途採用においては、その人の実力を見誤って、不相応に高いランクで採用してしまうことが、頻繁に起こります。 その場合は、「あんた、期待したほどじゃなかったね、サヨナラ ~ 」 で済むのですが、“出戻り” の場合は、相手の実力をほぼ理解した上での中途採用ですから、見誤るということは考えにくい。

 

つまり、“出戻り” 組のランクは、かなり intentional (恣意(しい)的、作為的)に設定されることになります。

 

もう少し、具体的にお話しましょう。

 

【問題】

ある企業に 1  2  3  という三段階のランクがあるとします(3 が一番高い)。いま、ランク1で辞めたAさん を “出戻り” 採用するとします。現時点において、Aさん の同期は、多くの人が ランク2 になっています。

 

さて、企業は Aさん を、どのランクで採用するでしょうか?

 

【解答】

-      日系企業の場合 = ランク 2 で採用

-      外資系企業の場合 = ランク 3 で採用

 

ま、過去に辞めたときと同じランクというのは、ないでしょう。日本的な常識としては、やはり、ランク 2 での採用だと思います。しかし、外資は ひとつ上の ランク 3 で採用する! なぜか?

 

日米 “出戻り” 組 の違い とは?!

 

外資の中途採用は、日系に比べて、高めのランクで採用します。それは、“出戻り” であっても同じで、そうしないと、そもそも人が集まらない、という事情もあります。しかし、それ以上に本質的な理由がある。それは、

 

“出戻り” 組は、高ランク採用に値する 経験 を積んでいる(はずだ)から

 

というものです。辞めずに会社に残っていた人よりも、貴重な経験・高度な訓練を積んでいる(はず)。よって、ランクも高くなる、というロジックです。

 

実際、アメリカの場合は、ベンチャーなどのスタートアップにトライするために退職したものの、うまくいかずに、“出戻り” 採用で戻る人が非常にたくさんいます。起業の経験は、会社に所属したままではできませんし、安穏と過ごしていた人よりも高スキルになっている可能性が高いというのは納得できます。

 

しかし、日本の場合は、そのような経験を積んだ “出戻り” 組 は、まず皆無です。どこかの会社、それも同業他社で、かつ成功したとはいえない人物が戻ってくる。それも、かなりの高ランクで・・・。 ずっと同じ企業で働き続けていた人にとっては、不公平感ありまくりです。 

 

「なんで、俺より/私より劣る人が、上のランクで戻ってくるの? ずっとこの会社で頑張ってきたのに、バカバカしい!」

 

このような理由で辞めてしまう人が相当数います。これは、企業にとって、かなり痛い! 中途で経験者を採る一方で、それに不満を持つ エース級の人材が、ボロボロ辞めていくのです。

 

外資の人事は、中途採用にばかり目を向けて、それによる影響を俯瞰(ふかん)的に見ることができない。人事にとって重要な視点は、何人採用したか? といった 数字 ではありません。採用と退職を総合的に判断して、“戦力” としてUPしたか否かを、総合的に判断する必要があります。

 

みなさんの会社も、中途採用によって悪影響が出ていないか、一度客観的に評価してみることをおススメします。

 

さて、次回のコラムでは、これまでのまとめをするとともに、以上のような アホな施策 を繰り返していても、外資が強さを保っている理由についてお話したいと思います。

(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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