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タカシの外資系物語

外資の中途採用は、実はほとんど大失敗?!(その1)2015.04.21

外資が中途採用に失敗する理由 ~タカシの仮説~

 

前回の予告どおり、今回のコラムでは 「外資の中途採用が、いかにうまくいっていないか?」 についてお話しましょう。今回も、ちょっと過激でっせ! ウヒヒ・・・

 

話を始める前に、「中途採用が、うまくいっていない」 について、定義をしておきましょう。企業という組織において、「うまくいっていない」 とは、期待するような成果を上げていない、費用対効果に見合っていない・・・ ということです。

 

具体的には、相当なコストをかけて中途採用を実施しているにもかかわらず、ろくな人材しか集めることができない、また、「これはいけそう!」と期待できる人材も、定着率が低く、短期間で辞めるケースが多い、ということです。

 

論点は以下の2点です。

 

(A)何事も効率的で、ときに狡猾(こうかつ)ですらある外資系企業が、どうしてこのような間抜けな状況に陥るのか?  

 

(B)にもかかわらず、どうして外資系企業は、それなりの実績を上げ続けることができるのか?  

 

まずは、今回のメインテーマである (A) からお話します。私自身、外資系企業に中途採用で入社しましたので、この話は自己否定につながりかねないのですが・・・ でも、外資は中途採用が 下手 です。

 

「おいおい、なんでこんな人、採るのかなぁ・・・」 「ほら見ろ、鳴り物入りで入社したのに、もう辞めるらしいぞ!」 このような状況が頻繁に起こります。なぜ、こうなるか? 私は、以下のような 仮説(といっても、かなり真実味のある) を置いています。

 

【外資が中途採用に失敗する理由 ~タカシの仮説~】

①   そもそも、見る目 がないから

②   結局、カネ で釣っているから

③   “出戻り” (過去に退職した社員を再び雇用する)を認めている・・・、というか、むしろ奨励しているから

 

以下にて、順にお話することにいたしましょう。

 

デキる人ほど、採用が下手?!

 

(① そもそも、見る目がないから) 外資の中途採用というのは、人事はほぼノータッチで、部門の独断で実施されることが多いと思います。つまり、最終判断は、その時点で、部門のトップにいる人間が行うことになります。

 

実は、「デキる人ほど、採用・人材育成が下手」 という 法則 があります。人間というのは、自分と似た考え方・行動様式の人間を好みます。また、そばに置いておく対象としては、自分よりやや劣る人をかわいがります。結果、潜在能力の低い、TOPのイエスマンが集まることになります。

 

上記の事象は、日系企業の悪弊として紹介されることが多いのですが、外資でも同様のことが起こっています。

 

日系の場合、部門のTOPが独断的な人事を実施しようとした場合、人事部が牽制を効かせる機能があります。日系企業においては、人事部が最も力のある部門であり、かつ、それなりの客観性を持たせているので、組織としての自己抑制が働くのです。

 

一方、外資の場合は、人事部というのはほとんど無力か、下手をすると存在しなかったりするので、牽制が利きません。結果、中途採用を繰り返した結果、TOPのイエスマンが跋扈(ばっこ)する、しょーーもない組織が出来上がるというわけです。

 

外資の場合、組織のTOPが入れ替わるサイクルも早い。TOPが代われば、またぞろ、イエスマンを総入れ替えするための中途採用を実施します。 

 

アホか!

 

しかし、これが外資の実態なのです。

 

“カネ” で測ることのメリット・デメリット

 

(②  結局、カネ で釣っているから) “highly compensation(高い報酬)” というのは、外資に転職する上で、大きな理由の1つだと思います。

 

「結局、カネ かい?!」・・・って、ま、そう言ってしまうと寂しいのですが、世の中そういうもんだ、という側面もあるでしょう。前回のコラムでも述べたように、私自身、転職を検討する最低基準は、「年収1.3倍」と決めています。労働を、量的・質的に計測する手段として、カネ という基準は最もわかりやすいのです。

 

また、転職に際して、カネ に妥協すべきではありません。ときどき、「給料は下がってもいいので、自分のやりたいことをしたいんです!」と、超・力んでアピールしてくる応募者がいますが、それは “かたはらいたし(そばで見聞きしていて苦々しい。聞き苦しい。『枕草子』 第九十一段に詳しく解説されている)” なので、やめた方がいい。転職先がNPOやNGOならいざ知らず、営利企業、それも外資を選んでいるわけですから、採用に至った場合、まず給料が下がることはありません。

 

加えて、「外資だから、自分のやりたいことができる」 というのも、超・かたはらいたし です。こういうことをいう輩は、外資をサークル活動か何かと勘違いしている。「自分のやりたいこと」は、“放課後” にやってください。稼いでもらわないと困ります。

 

「給料は下がってもいいので、自分のやりたいことをしたいんです!」 は、以下のように言い換えるべきです。

 

  • ●「自分のやりたいことをしたいんです!」 → 「自分の経験・スキルを活かせば、御社の収益に貢献することができます」

  • ●「給料は下がってもいいので・・・」 → 欲しい金額をハッキリと言うか、「正当な評価をお願いします」と言う

 

話を戻しましょう。カネ を積めば、それなりの人材を集めることは可能です。しかし、カネで釣られた人材は、結局、次も カネ で動きます。つまり、他社から、より高額な報酬で釣られたら、サッサと辞めてしまいます。 「ほら見ろ、鳴り物入りで入社したのに、もう辞めるらしいぞ!」 というのは、大抵このパターンです。

 

ただし、欧米の人材マーケットでは、これはむしろ当たり前のことです。だから、企業側も割り切って採用しているわけです。

 

次回のコラムでは、“出戻り” 組の問題を取り上げます。これ、最近特に顕著で、多大なる悪影響を及ぼし始めています。次回、お楽しみに!

(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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