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タカシの外資系物語

 “早押し” は 三文の徳 ?! (その2)2015.02.24

早稲田の学生が身につけないモノとは?!

 

前回の続き) コンサル業界のカリスマ、元BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)の日本代表で、現在は、早稲田ビジネススクールの教授の 内田和成氏 の講演会に参加したタカシ。得意の “フライング挙手” で、見事(?!)質問コーナーの一番手に指名・・・ と、ここまではシナリオ通りだったのですが・・・。 

 

さて、タカシの質問に、内田さんはどのように回答したのでしょうか? (余談ですが、内田さんの最新著作である 『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』(日本経済新聞出版社)、売れてますねぇ・・・ さすが、このコラムで紹介しただけのことはある・・・)

 

私の質問は以下の通り。

 

「私は、現在の技術進歩(特にIT分野)については、進みすぎたように感じる。進化しすぎたITを使いこなせずに、人間が振り回されている状況も、そこかしこに見られる。例えば、どこかのIT企業が作ろうとしているメガネ型のコンピュータで、すれ違う人のプロファイルを遂次知ることに、意味があるとは思えない。利便性の観点では、iPhoneが1つの到達点だろう。これ以上の利便性追求に莫大な開発費を投じるなら、ガンを治す、世界の格差をなくす、戦争をなくす、などにカネを使った方がいいと思うのだが、どう思うか?」

 

内田和成氏 「まず、心情的には、あなたの意見には大いに賛同します。私も、新聞は紙でないと読んだ気がしないし・・・」

 

やっぱり、ね? 私はかなりの高確率で、内田氏が私の意見に同調してくれると思って、いわば確信犯的に、この質問を投げかけました。予想通りの回答に、「でしょ、でしょ?!」と心の中で反芻していたところ、ややあって、内田氏は質問者の私だけではなく、会場の聴講者全員に向かって、次のように語り始めたのです!

 

内田氏 「ここで、会場にお越しのみなさんに、私から1つ質問をしたいと思います。現在、私は早稲田大学で戦略論を教えています。対象者は院生や社会人がメインなのですが、ときどき、大人数の大学生を前に話すことがある。その日の講義は大教室で、200人程度は入っていたと思います。実は私、最近の大学生について、前から気になることがあったので、学生相手に次のような質問をしてみたんです。 『みなさんの中で、今、腕時計をしている人は何割ぐらいいるのかな? ちょっと、腕時計している人、手を上げてみてくれる?!』・・・ さて、どれぐらいいたと思います?」

 

ノートPCが手放せない タカシ は、異常?!

 

おそらく、質問の仕方・内容からして、びっくりするぐらい少ない! という オチ なのでしょう。2割で40~50人・・・では、ちょっと少なすぎるかな、3割程度?

 

内田氏 「なんと、たった 3名 でした。200人中、ですよ!」

 

講演会場から、ドッ! と どよめきの声が上がりました。何割なんてレベルではない、たった1.5% しか、腕時計をしていないとは・・・

 

内田氏 「冷静に考えると、至極当然のことなのです。学生諸君は全員、スマホを持っている。スマホがあれば腕時計なんて必要ないですからね。そういえば、最近われわれも、腕時計を見る機会が、劇的に減ったように思いませんか?!」

 

内田氏は、再度私の方に向き直って、質問の回答を再開されました。

 

内田氏 「人間の利便性向上に対する欲求は、止めることができません。例えば、あなた(=タカシ、私を指している)は、仕事をする上で、ノートPCが手放せない世代でしょう? あなたより20歳年上の先輩から見れば、あなたが一日中、ノートPCとにらめっこしながら仕事をしているのも、それはそれで奇異にうつったはずです。でも、あなたにとっては、ごく当たり前のことにすぎない・・・。

 

今の大学生が腕時計をせずに、スマホにかじりついているのも全く同じです。彼ら・彼女らは、ノートPCすら持っていない人が大半です。スマホだけで、難解なレポートを書き、メールで提出してくる。

 

将来、なんとかグラスだの、ウェラブル端末のようなツールが “普通” になって、それを苦もなく使いこなせる世代が、極めて効率的な社会システムを作るかもしれない。そして、その余力を、ガンを治す、世界の格差をなくす、戦争をなくす、といった活動に振り向けられるかもしれない・・・ そう考えると、あなたの考えは狭すぎるんじゃないかな? もっと、柔軟に世の中を見なければいけないと思いますよ・・・」

 

頭を ガツン!と 殴ってもらえば、発想が柔軟になる?!

 

というわけで、かなり厳しいご指摘をいただいたのですが、これには前フリがありまして・・・ 質問時に、「私は外資系コンサルなんですが・・・」 と前置きしたので、内田氏もご出身業界の若手を鍛えるノリで、少し強いトーンでお話いただいたのだと思います。

 

ま、それにしても、「さすが!」 だと思いません? これまでにも、私は上司や外部コーチ(※)から、「あなたは極めて優秀だが、見方が狭すぎる! “べき” 論 が強すぎる!!」 という指摘を受け続けてきました。

 

見方が狭いからこそ、詳細でエッジの利いたアイデアが出るという利点もあるのですが、やはりもう少し、何事にも寛容になって、柔軟な発想を楽しむ余裕が必要なのかもしれません。

 

(※ 実は私、最近、外部講師のコーチングを受けています。これについては、またの機会にお話しますね!)

 

他者の意見やアドバイスに耳を傾けると、体がほぐれてゆったりした気分になります。それだけ、自分だけの狭い世界に閉じこもって、意固地になっているという証左なのかもしれませんが。意見やアドバイスをもらう他者は、最初の段階は、自分が心から尊敬できる人で、多ければ多いほうがいい。

 

しかし、のんべんだらりと過ごしていては、そういう人にはめぐり会えません。だから、私は多少の投資をしてでも、意見をもらいに行くのです。そして、どんなことをしてでも、その人と接点を持つ。

 

“フライング挙手” というのは、私が発明した(?)強力なツールです。みなさんも、相手が有名人だろうが構いません。どんどん質問しましょう! そして、たまには頭をガツンと殴られて、真摯な気持ちになることをおススメします。

 

(これも余談ですが、内田氏の講演というのは、某有名大学が社会人向けに提供している講座のことを指しています。実はこの講座、録画されており、会員は視聴可能になっているので、おそらくは、のべ 1,000人以上の方がご覧になっていると思います。講座にリアルタイムで参加されていた方、また、事後にネットでご覧になった方、あの質問者が私こと、奈良タカシでございます。面白かったですよね??? ・・・と、無理やり自分の質問を正当化する・・・)。

  

これまた、つい先日のこと、某ITベンダー主催による 石倉洋子さん の講演に参加してきました。石倉先生は、ハーバード・ビジネススクール卒業後(日本人女性初!)、マッキンゼーで戦略コンサルとして活躍され、その後、一橋や慶應のビジネススクールで教鞭をとっておられました。現在は独立され、様々な社会課題に取り組んでいらっしゃいます。

 

石倉先生の講演においても、私は電光石火の フライング挙手 で質問機会をゲットし、満足して、会場近くのスタバでメールを見ていました。フライング挙手が決まった後に飲む、ソイラテはうまい!

 

と、私の横に、見たことのある顔が・・・ そう、さっきまで講義をされていた石倉先生が、いらっしゃるじゃありませんか!

 

 「あ、先生、さきほどはどうも・・・」

 

石倉先生 「あら!」

 

その後、いくつかの議論をし、そして、いくつかのアドバイスも頂戴しました。 ね? やっぱり、早起き ならぬ 早押し ≒ 早挙げ は三文の徳、いや、ミリオンレベルの徳なのです!!

 

それにしても、石倉先生と話した 品川駅のスタバは 駅ナカ で吹きっさらしなんで、寒い、寒い・・・ ブルッ!

 

石倉先生、本当にありがとうございました。風邪をひかれてないといいのですが・・・ また、先生の講演会では、いの一番に手を挙げますので、いろいろと教えてください。では!

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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