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タカシの外資系物語

外資 “デューデリ” 狂想曲 (その1)2014.11.04

恐怖! 予定が勝手に押さえられている?!

ピコーーン!(電子音 from PC) 「ん?!」

 

以前にもお話したと思いますが、わが社の個人別スケジュール帳(PC上にあるグループウェア、メールシステムと連動)は、社員のだれもが他人のスケジュールを閲覧・一部更新できるようになっています(さすがに、一般社員が役員のスケジュールを見ることはできない等、一定の縛りはありますが・・・)。

このシステムの最大の利点は、会議等のスケジューリングが楽だ、ということです。例えば、Aさんと火曜日の10:00から打ち合わせをしたい、という場合、まずはAさんのスケジュールを見て、空いてそうなら 「仮押さえ」 をして、他の予定が入らないようにブロックします。その後、Aさんに連絡して、会議の意図を伝え、「仮押さえ」 から 「決定」 にステイタスを変更してもらう。わが社の社員の大半は、このようにして、会議招集のアレンジをしています。

その一方で、「仮押さえ」 の段階をすっ飛ばして、いきなり 「決定」 のステイタスで会議の招集をかけられる “特権階級” の人々がいます。それは、パートナーの1つ上、執行役員層以上の人たちです。彼ら・彼女らは、相手のスケジュールがどうであろうがお構いなしに、一方的に会議の招集をかけることが可能だというルールになっています。

ちなみに、私は執行役員の1つ下、パートナー というランクなので、いきなり 「決定」 メールを送りつけられる側にいます。かつ、役員に呼び出される機会は、一般社員に比べてはるかに多いわけですから、“いきなり 「決定」 メール” が来るのは日常茶飯事なのです。

顧客 < 自社役員 って、どうよ?!

ここで1つ質問。自社の役員が送りつけてきた “いきなり 「決定」 メール” と同時刻に、先約があったらどうすると思いますか? ま、その先約が、社内における他の打ち合わせなら、躊躇することなく、先約の方をリスケまたはキャンセルするでしょう。これは理解できますね。では、その先約が、クライアント先への訪問や打ち合わせだったら、どうするか? なんと! この場合も、自社の役員の方を優先し、お客様訪問を調整するよう努力する、というルールになっています!

日本的な発想では、「何て、顧客を軽視した考えなんだ!」 と思われるかもしれません。私もそう思います。しかし、外資では、

 

「お客様に急なリスケをお願いできるほどに懇意になっていないのは、お前が悪いのだ。お客様と良好なリレーションシップを構築できていれば、その程度の依頼は通るはずだ!」 

 

という、暴君ネロも真っ青の自己チュー的な発想を真顔でします。なんたる横暴さ! しかし、私がニューヨークで仕事をしていた際、この暴君ネロ的発想が通用したんですよ、これが!! クライアントのアメリカ人に事情を話してリスケをお願いいたところ、それを了解してくれた上に、「タカシも大変だな、頑張ってこいよ!」なんて、励まされたりして・・・。 文化の違いというのは、げにおそろしや・・・ です、ホントに(日本においては、役員の秘書さんが事前に送信先社員のスケジュールを確認しているので、顧客訪問と役員打ち合わせがバッティングすることは、まずありません、念のため・・・)。

役員はどこから電話をかけるのか?!

私はPCやスマホから変なサウンドが出るのが大嫌いなので、基本的に全てのサウンド機能をOFFにしているのですが、この “いきなり「決定」 メール” が送られてきたときだけは、音が出るようにしています。つまり、冒頭の ピコーーン! という電子音は、この音。また、えらいさんからの “いきなり 「決定」 メール” が来たようです。 まだ朝なのに、いきなりモチベーションが下がりました。トホホ・・・(T-T) 

 

メールの主は、常務執行役員のSah さん(インド系アメリカ人)でした。このSahさん、常務なので、もちろん名前は認識していますが、対面で話をしたことがありません。なぜなら、Sahさんは、私とはほとんど関係のない部門のリーダーだからです。

 

「どうしてSahさんから、“いきなり 「決定」 メール” が来るんだろ・・・?」

 

メールを見ると、参加者(Attendee)は私一人、つまり、Sahさんとサシでの面談・・・(T-T)。会議方式は電話会議(Conference Call)が指定されています。英語で電話会議・・・(T-T)(T-T)、けっこうキツイんですよね。対面なら、いざとなったら、ジェスチャーなり、筆談なり、どうにでもなるんですが。

場所(Location)を見ると、私は本社にある電話会議用の小部屋が指定されていました。防音が完璧で、会話内容が絶対に外へ漏れない仕様の部屋です。一方、SahさんのLocation欄には、“Hills” と記入されていました。

 

「ヒルズぅ・・・? “丘” から電話会議ってか? なんじゃこいつ、ペーター(※)か・・・」

 

(※) ペーター = 『アルプスの少女ハイジ』 に出てくる羊飼いの少年。気が優しくて、お人好し。ハイジの親友で、クララの歩行訓練においても、重要な役割を果たす。オンジに木彫りを習う(って、こんな詳細な説明不要だし!)

 

“Hills” というのは、六本木ヒルズのことを指しています。要は、Sahさんは、六本木ヒルズにある自宅(!)から、私と電話会議をしたいと言っているわけです。なんやねん、それ・・・ 

 

「六本木ヒルズとは、また豪勢な・・・ さすが、外資系!」 と思われたみなさん。ま、確かに豪勢ですよね、家賃も月50万はくだらないでしょう。部下である日本人のスタッフが、“ウサギ小屋”と揶揄されるほど狭く、都心から1時間以上かかるところに住んでいるのと比較すると、憤懣やるかたない思いにかられます。

しかし! この考えはちょっと浅薄だと思います。なぜなら、逆にわれわれ日本人が海外に赴任した際には、ほとんどの企業で、それなりに豪華な住まいが提供されています。銀行員時代の海外出張で、その地に赴任していた先輩の家を複数訪問しましたが、いずれも日本なら確実に 億ション に分類されるようなマンションに住んでいました。また、私の友人に商社マンがいるのですが、彼がアフリカの某途上国に赴任したときなどは、その国の国王に次ぐ広さの宮殿チックな家があてがわれ、メイドさんが5人も付いてビックリしたとのこと。ま、海外では治安の問題もありますので、しっかりしたところに住まないといけないという事情があるにせよ、日本人が海外赴任した際にも、現地でいう六本木ヒルズ並みのところに住んでいるのは確かだと思います。

 

話を戻しましょう。さて、肝心の 会議の議題(Subject/Agenda)は何か?

 

Due Diligence for Takashi Nara

 

「デューデリジェンス・・・、デューデリか・・・ にゃにぃーーーーーーーーーー、デューデリって、わしゃ何かしたんかーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!(T-T)(T-T)(T-T)」

 

※みなさんに宿題です。次回までに、Due Diligence(デューデリジェンス)の意味を調べておいてください。私が慌てふためいた理由がご理解いただけると思います。正直、大ピンチなんです、私・・・ トホホ・・・(T-T)(T-T)(T-T)

 

(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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