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タカシの外資系物語

ドストエフスキー に 気をつけろ!2014.08.19

    ドストエフスキーに気をつけろ!

    いきなりですが、職業柄、私の読書量はハンパではありません。と、書くと、「なんのなんの、俺も負けてないよ!」いう方がいらっしゃる。しかし! 多分、私の方が読んでいます。 
    私が狂ったように本や雑誌を読む理由は、クライアント、特に役員レベルと話をする際に、「知りません、わかりません」というのがみっともないからです。コンサルタントだからといって、世の中のあらゆることを知り尽くせるわけはありませんので、知らないことは知らないと正直に言えばいいでしょう。しかし、負けず嫌いの私は、それを良しとしない。
    また、優秀なコンサルほど、“傾聴するスキル” というのを持っていて、聞き手に回ることで、相手の懐に入り込むようなテクニックを使う同僚もいます。しかし、その場合でも、話題になっている事柄を全く知らないというのでは話になりません。これは、接待ゴルフと同じ論理でして、わざとらしくなく、相手に勝たせて持ち上げるためには、相手より数段上の腕前が必要なのです。


    では、私は普段、何を読んでいるのか? 私はこう見えても、国語の教員免許を持っている(経済学部卒なのですが、文学部に通って単位を取りました。教育実習にも行きました。なぜ国語なのかというと、ドラマ「3年B組金八先生」のファンだったから、という何とも安直な理由です。今のところ、というか今後も、全く役に立たない資格ですが、ま、趣味の一環と捉えています)ので、芥川龍之介や夏目漱石、森鴎外など、教科書に出てくる “名作” は、すでに制覇しています。今でも、丸善に行くとレモンを置きたくなる衝動にかられるほどです(意味のわかる方は、かなり読んでいらっしゃいますね。意味のわからない方は、読書好きの方に聞いてください)。 
    外国文学もそれなりに読んできましたが、ロシア文学、特に “ドストエフスキーもの” は何度もトライして、そのたびに挫折を繰り返しています。あの分量に圧倒されるんでしょうかね。司馬遼太郎さんの著作なら、何冊でも読めるのですが。ま、内容自体が難しいので、1ページでも気を抜くと前後関係が何だったか、全くわけがわからなくなりますから、通勤電車で読むという類の娯楽本でないことは確かだと思います。 


    ドストエフスキーについては笑い話がありまして、何年か前に会社の後輩が、週末をフルに使って、『カラマーゾフの兄弟』(新潮文庫:原卓也さん訳の方)を読了したと自慢していたのです。


    後輩 「いやぁ、タカシさんに薦められて手に取ったものの、かなり歯ごたえがありましたね。でも、やはり名作、感動しましたぁ~」 
    私 「そっか・・・(先を越されて、内心動揺している)。でも、土日の2日間で、よく3冊も読めたな。徹夜したのか?」 
    後輩 「え? さ、3冊? 上下巻の2冊じゃないんでしたっけ?」 
    私 「新潮文庫の原卓也さん版のカラマーゾフは、上中下巻の3冊だよ・・・ お前、もしかして・・・」 
    後輩 「・・・」


    なんとこの後輩、中巻を飛ばして読了した気になっていたようです。それでも全く気付かずに読み進めた挙句、「感動した!」と言わしめてしまうところが、“ドストエフスキーもの” のスゴイところでしょうか(わけわからんが・・・)。私も遅ればせながら、亀山郁夫さん版のカラマーゾフの電子書籍をiPhoneにダウンロードして再トライしています。まずはカラマーゾフ、本命の 『罪と罰』 あたりは、老後の楽しみにとっておくイメージで焦らずに読んでいます。

    タカシ、情報のインプットに大忙し?!

    そもそも、10年ぐらい前までは、ビジネス書ばかり読んで、文芸作品は一切読まない時期がありました。フィクションを読んでも、ビジネスに役立たないと思い込んでいたためです。しかし、ある企業のトップの方から、「100冊のビジネス書を読むより、1冊でも池波正太郎を読み込んだ方が、成長の糧になる」というアドバイスをいただいてから、一気に文芸作品に回帰したというわけです。 
    くだんの池波正太郎はもちろんのこと、司馬遼太郎も再度読み返しました(以下、敬称略)。東野圭吾や宮部みゆきも、相当読みました。最近のお気に入りは、葉室麟ですね。『蜩ノ記』など、最高です。


    以上のように、文芸作品について、新旧 および 硬軟とりまぜ、まさに乱読しているわけですが、当然のことながら、ビジネス書を読むのを止めたわけではない。戦略系、ケーススタディ系、社長の立志伝系(≒私の履歴書系)、ときには英語の本も読みますので、こちらも忙しい。 
    加えて、ビジネス雑誌も読みます。「日経ビジネス」「ダイヤモンド」「東洋経済」の “御三家” はもちろんのこと、マーケット情報が詳しい「エコノミスト」、IT系の「日経コンピュータ」、世の中の流れをつかむために「日経トレンディ」、あと、常識として、「週刊新潮」「週刊文春」も欠かせません。 
    もちろん、新聞は言うまでもない。最近は、当日の新聞の要点をオーディオブックで提供してくれるサービスが複数出ていますので、電車内では、新聞を “聴き” ながら、本を “読む” という過ごし方をしています。ドラえもんの “暗記パン” でもあれば、情報を “食べる” ことも可能となり、一気に3つのメディアから情報を得られるのに・・・ などと、くだらないことを考えたりもします。

    日米中以外の “世界” を知っているか?!

    とはいえ、たまに電車で座れたときなどは、思わず居眠りをしてしまうこともしばしば。ま、あれも読まなきゃ、これも読まなきゃ・・・ と躍起になって寝不足になるのは本末転倒ですので、そこは臨機応変にやっています。ただ、どんなに忙しくても、日に最低2時間は、活字に触れるようにしています。


    さてさて、前置きが長くなりました。ここからが、今回のテーマの本番です。読書好きの私も、仕事が忙しいときは、思うように読めません。しかし、どれほど猛烈に忙しくても、絶対に欠かさず読んでいるメディアがあります。1つは日経新聞。ま、これは当たり前。もう1つは、『NEWSWEEK』 です。それも、英語版をスラスラと・・・ と言いたいところですが、ここでの一義的な目的は、あくまでも 情報収集 ですので、日本語版を定期購読して読んでいます。薄いし、写真も多いので、圧迫感がない!(小学生か、わしは・・・) 本当は『TIME』も読みたいんですが、こちらは英語版しかないんで、我慢しています(と、言い訳する)。


    なぜ、『NEWSWEEK』 なのか? それは、世界的な視野で情報を収集できるからです。日本で発行されるメディアは、仕方がないことではありますが、日本中心の記事にならざるをえません。いきおい、国際問題というのは、アメリカと中国、東南アジアを対象としたものにほぼ限定され、それ以外の地域で何が起こっているのかについては、知るすべがない。例えば、南米やアフリカで、今何が流行っているか? この問いに答えられるのは、日本では商社マン(ウーマン)ぐらいでしょう。それぐらい、日本人は、相当の知識層であっても、米中以外のことを知らない。 
    10年前なら、それでも良かったのだと思います。しかし、今や世界はつながっています。ギリシャやポルトガルの金融不安が、バタフライ効果となって、世界経済に大きな影響を与えます。6月末に、アルゼンチン政府が、全国紙にメッセージ広告を出したのを、みなさんもご覧になったと思います。 「アルゼンチンは債務返済を継続したいが、継続させてもらえない」と題して、最近の米連邦地裁の判決が同国を再びデフォルト(債務不履行)に追い込むとして抗議する内容でした。アルゼンチンの国家財政が厳しい状態にあることは周知の事実でしたが、いきなり全国紙に広告をうたれると驚きますよね。長くは書きませんが、これにはいくつかの伏線があったのです。しかし、その伏線は、日本のメディアからしか情報を得ていないと、気付かない。そもそも、取り上げられていないからです。


    『NEWSWEEK』 に加え、最近は時間のある限り、『Wall Street』 や 『Herald Tribune』(フランスで発行されている英字紙です。大学時代のゼミの教官が読むことを推薦してくれたので、参考にしています。ヨーロッパはもちろんのこと、アフリカなど、途上国の情報に詳しいです)にも目を通すようにしています。 
    なぜ、そこまで手を広げたのか? 実は、ある衝撃的な “事件” があったからなのです。日本人が知らないことが、外国で大々的に報道されている・・・ そのことに気付いたとき、私は本当に愕然としました。それは・・・、次回お話しすることにいたしましょう。


    次回へ続く

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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