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タカシの外資系物語

“放置プレイ” が 人を育てる?! (その2)2014.06.03

    “無茶話” 出たーーーっ! さて、どうする?!

    前回の続き) デキるビジネスパーソンを育成する方法はズバリ、“放置プレイ”(=やるべきこと と 期日 だけを伝えて、後は放置する) である・・・。 某人材育成コンサルタントA氏からのするどい指摘に、思わず納得してしまったタカシ。なぜなら、外資系企業では “放置プレイ” で仕事を進めることが常識で、それにより成果を上げ、結果として人材の育成にもつながっていることを、自分自身が身をもって体感してきたからです。では、“放置プレイ” とはいかなるものなのでしょうか? 話をわかりやすくするために、日系と外資を比較しながら、お話したいと思います。


    「当月末までに、当初Budget(売上目標、というか必達額)の20%増にて契約を積み増してほしい。手段は問わない。よろしく!」


    「社内システムのバージョンUPの件だが、US本社から連絡があり、他の重要案件を優先することになった。よって、バージョンUPの日程を、1週間前倒しとする。アプローチは任せる。よろしく!」


    ・・・上記の話、いずれも “無茶話” のたぐいですね。ま、日系・外資問わず、同様の無茶話というのは、日常的に降りかかってくるものです。以下では、日系・外資における対応の共通点および差異を示します。


    (1) 日系・外資とも、上記のような業務命令が出た場合、それを断ったり、覆したりすることはできない。

    - ただし、日系の場合は、ダメもとで “できない理由” を列挙しておいて、できなかったときの言い訳というか、“保険” をかけることが可能。また、古参のおっさん社員が、命令を出した上司に対して、「あんまり社員に無理させちゃいけないよ、○○さん・・・」的な抑止力を利かせることもある(実際には、あまり効果はないが・・・) 
    - 一方、外資の場合は、言い訳もおっさん社員もありえない。言われたことは、黙ってやるしかない。また、否定的な言葉は一切使えない。唯一使えるのは、“challenging” (困難だが、できる!)という言葉のみである (No.189 『Be "Challenging" !』 参照のこと)

     


    ま、いずれにしても、結局はやるしかないわけで、ならば、文句をクチャクチャ言っている時間すらもったいない。外資のように、すぐ動いた方が合理的かな、という気がします。

    “放置プレイ” における最初の難関 “ヒトの調達”

    日系と外資で明らかに違う点は、以下のような部分でしょう。


    (2) “無茶話” を実現するためのリソース(ヒト・モノ・カネ)については、日系はその一部が事前に準備されていることが多い(例:話があった時点で、追加要員が手当てされている等)。一方、外資には、そのような “親心” は一切ない。全て自分でやらねばならない。その代わり、“大きな権限” が与えられることが多い。


    放置プレイ において、“権限” は必須です。権限もなしに、単に放置されても、動きようがないですからね。気合で仕事はできません!


    リソースについていうと、与えられた権限を使って、即戦力の人材を引っ張ってくるわけですが、内部から調達するのは至難の業です。これは、日系企業でも同じでしょう。なぜなら、内部で引っ張りダコの人材というのは、当然デキる人材なわけで、そういう人を手放すようなお人好しの他部門や管理職は、まずいないからです。だから日系企業では、所管の役員の力を使って、人的リソースについては問題が出ないように、調達済みの状態にしておくわけです。実際、プロジェクトの開始が遅延する最大の原因は、適任者のアサインに起因する場合がほとんどですから。


    では、外資ではどうするか? 人的リソースの調達については、外資では圧倒的に、内部ではなく、外部調達が多いと思います。外部調達とは、新規で即戦力を採用する、または、コンサルティング会社に支援を仰ぐ・・・ 等を指します。私も何度か、“お助けマン”的にクライアント先に常駐して、短期のサポートを引き受けたことがあります(クライアントの社員に成り代わって、そのクライアント名の名刺を持たせてもらったことも結構ありました)。コンサルを使うと単価は高いですが、事が済めば契約を切ればいい、逆に使える人なら契約を延ばせばいいわけで、使い勝手はいいでしょう。つまり、変動費として柔軟に対応できるわけです。一方、新規で採用してしまうと、コンサルに比べて単価は低いものの、固定費になるわけで、いくら外資でも簡単にクビ切るのは難しいですから、熟慮が必要となります。

    日系企業において “PDCAサイクル” がグダグダになる理由

    では、ヒトは揃ったとして、実際の仕事を進める上で、何か差異はあるのでしょうか。


    (3) “無茶話” の実現に向かって、仕事を進めていく上で、日系と外資では大きな違いがあると思います。いわゆる、「PDCAサイクル」で例えるとわかりやすい。

    - 日系の場合は、特に短期決戦の場合、PDCAサイクルが機能しない(または、やろうとしてもグダグダになる)ケースが多いと思います。良く言えば、臨機応変。悪く言うと、行き当たりばったり・・・。PDCAがグダグダになってしまう最大の理由は、「こんな “無茶話”、そもそも実現できるわけないんだから・・・」という否定的な考えがベースにあるため、とにかくできることを、優先順位にこだわらず、時間内にやり切ろう。それでダメならしょーがない・・・ と考えているからです。 
    - 一方で、外資の場合は、どんなに短期決戦であろうと、PDCAサイクルを回します。短期ですから、イメージとしては、回すというよりは、五月雨式に同時並行で進めるようなイメージでしょうか。とにかく、たった数日の作業であっても、WBS(Work Breakdown Structure:作業スケジュール、工程表のこと)を作成し、その進捗を管理しながら進めます。

     


    個人的な意見を言わせてもらうと、外資における 病的なまでの “WBS依存” は、はっきり言ってウザいです。 短期決戦なんだし、やることはだいたい見えているんだから、すぐやればいい。悠長にWBSなど作っている時間が惜しい・・・ これが本音です。 
    しかし、外資系では、例外なく “WBS” を作ります。なぜか? それは、“ある決断” をするために、必要不可欠だからです。そして、そのプロセスがあるからこそ、外資では、思い切った権限委譲と “放置プレイ” が可能となるのです。


    外資が “WBS” を作る理由 = “ある決断” をするため とは、一体何なのか? それについては、次回お話したいと思います。

     

    次回へ続く

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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