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タカシの外資系物語

タカシの雑感 “ルールを守る” -Dr.O に向けて-2014.04.08

    タカシは尾崎豊が嫌い?!

    誰しも皆、自分なりの “こだわり” を持っていると思います。ときにそれは、すごく些細なことであったり、他人から見ると馬鹿げたことであったり・・・ でも、絶対に譲れないものがある。


    私の “こだわり” は、「ルールを守る」 ということ。 「そんなの、当たり前じゃないか!」 いやいや、私がいう 「ルールを守る」 というのは、みなさんが想像するような、生半可なものではないのです。


    例えば、信号のない細い道路、目の前にある反対側の建物に行きたいとします。横断歩道は、はるか50mほど先にあって、車は全く通っていないどころか、人っ子ひとりいません。さて、みなさんならどうしますか? なんか、『サンデル教授の白熱教室』みたいになってきましたが・・・ (あ、そうそう、先日、“日本版サンデル教授” と言われている千葉大学の小林教授のセミナーに参加して、非常に面白い体験をしました。この話は次回以降にお話しますね!)


    大半の人というか、ほぼ100%の人は、その場でサクッと道路を横切ってしまうと思います。でも私は違います。横断歩道がその場から視認できる限りは、どんなに遠回りをしても、この場合なら50m先の横断歩道を渡って、反対側の建物に行きます。 


    「単なる融通の利かない頑固者、言い方変えれば、バカじゃねぇの?」 


    いやいや、道路交通法で決められていて、私は自動車の運転免許を持っており、国から関連法を理解しているとお墨付きをもらっている以上、交通ルールは守らなくてはいけません。


    私が上記のような行動を取るのには、他にも理由があります。1つ目は、もしかしたら、どこかでだれか子供がそれを見ていて、真似されるのを防ぐこと。私のせいで、事故にでも遭ったら大変です。2つ目は、横断歩道を歩いていれば、仮に自動車にはねられたとしても、裁判等でこっちに有利な判断がされるだろうということ。これは、かなりマニアックな発想でしょうね。この話をすると、みんな引きますから・・・(汗っ!)。そして3つ目、だれもいない、だれも見ていないからこそ、強い意思でルールを守りたいと考えているからです。ま、一種の “修行” ですな、根がMなもんで・・・。


    万事がこのような発想ですから、私はルールを守らない人が大嫌いです。例えば、尾崎豊さんの歌詞には共鳴しますが、その内容は問題外です。「盗んだバイクで走り出す」(『15の夜』)、「覚えたてのタバコをふかし」(『15の夜』)、「夜の校舎窓ガラス壊して回った」(『卒業』)、全部犯罪です。あなたが単なる勢いで壊した窓ガラスの破片を片付ける人の身にもなってみなさい! 手でも切ったらどうしてくれるんだ!! ・・・この話をすると、ドン引きどころか、みんな私の周りからいなくなります・・・(笑)

    あなたは “コンプラ” に守られている?!

    世の中にある、どんな些細なルールにも、それが作られた理由や背景があります。それなりの知識レベルの人が考えて、不公平を極力排除して作られている、ハズ です。もちろん、時代にそぐわなくなったり、そもそも考慮がされていなかったり、といった不十分な点は、追加や削除・修正などして、ブラッシュアップをする必要があるでしょう。しかし、「横断歩道のないところでは、道路を横断しない」 というのは、ルールというより、ほぼ “真理” に近い。だれかが大怪我をするとか、人命にかかわるといった緊急的な特殊要因があれば別ですが、他人が見ていようが見てなかろうが、ルールはルールなのですから、守らねばならないのです。


    自分なりのルールを作りたければ、ルールを作る側に立たなければなりません。会社なら経営層、社会全般なら政治家ですね。政治家になるのは難しいでしょうから、私を含めた一般人には、言論や集会の自由が認められており、“選挙” で政治家を選ぶというプロセスが用意されています。会社の場合は、“組合” という制度がありますが、選挙ほど直接的な実行力はありません(“デモ”で実力行使できなくはないですが・・・)。 ですから、経営層が決めたルールに従いたくないなら、会社を辞めるしかないかもしれません。


    「とはいうものの、実際のところ、法律やルールに縛られて、がんじがらめにされているよなぁ・・・」 


    本当にそうでしょうか? 私は違うと思います。法律やルールがあるからこそ、われわれは守られているのです。“自由”というのは、法律やルールの範囲内で、いかに創造性豊かに、進取の精神で取り組むか、自分の能力とスキルを鍛錬し発揮するか、ということであって、法律やルールそのものを破ることではありません。


    “コンプライアンス” も同じことです。コンプラ自体、何もおかしいことは言っていない。なのに、“コンプラ疲れ” とか、挙句には、“コンプラがイノベーションを阻害している” とか、誤解も甚だしい。コンプラを遵守していれば、企業はあなたを守ってくれるのです。あなたは、その範囲内で大暴れすればいい。範囲内であれば、会社という頼もしい用心棒があなたを守ってくれるのです。


    かつて人間が生み出したイノベーションの中で、コンプラの外に存在するようなものは1つもありません。“コンプラがイノベーションを阻害している” という輩は、発想力のなさを、コンプラに八つ当たりしているだけなのです。

    50m先の横断歩道を歩く勇気

    つかみどころのない話を長々としてしまいました。それほどに、残念だったのです、例のSTAP細胞の件が・・・。小保方さんはじめ、共同研究をされたみなさんを非常に評価していただけに、本当にショックでした(No.650 『STAP細胞と日本人』 No.651 『“リケジョ”と外資系』 での、私の “はしゃぎぶり” を参照のこと)。


    ただし、TVのワイドショーやネットでの噂話は無視した方がいい。これらのメディアは、火のないところに煙を立てる 名人ですから。あっという間に 冤罪 を作ることぐらい、お茶の子さいさいです(ワイドショーやネットが、どのように冤罪を生んでいくのか、湊かなえさん原作の 『白ゆき姫殺人事件』を読むと、非常によくわかります。映画化もされたようですので、興味のある方は是非ご覧ください)。


    新聞等、ある程度信頼できるメディアを見る限り、やはり小保方さんは一線を越えてしまった、といわざるを得ない。学会や理研がプロテクトしてくれる範囲を超え、“ルール違反” と引き換えに、“一瞬の陶酔感” になびいてしまった。惜しい・・・


    もちろん、まだわからんのですよ、実際のところは。事実は違うところにあるかもしれない。ですが、学者にとって、自分の論文は “わが子” みたいなものだと思うんです。親が “わが子”に対して、改ざんデータを使ったり、多数の凡ミスを犯したりするでしょうか。比較にならないかもしれませんが、私にとっては、1つ1つのコラムが、“わが子”と同様に愛おしい。毎回脱稿が締め切り間際になるので、誤字脱字があることは否定しませんが、内容の改ざん、ウソは一切ついていません。それは、わが子を傷つけることと同義だからです。だからこそ、今回の件は、本当に残念なのです。


    わが社のUS本社社長は、以下のことを、繰り返し述べています。


    「コンプライアンスの遵守は、全社員の義務です。例外はありません。同時に、コンプライアンスを遵守している限りは、会社は全力であなたを守ります。そして、より重要なことは、だれも見ていない場面でも、不正を働かない強い意思を持つことです・・・」


    わが社の経営は、私と同じ考えに立ってくれている。だから、私はこの会社が大好きです。 小保方さん、あなたは自分が所属する 理研 が好きですか? 学問が好きですか? 将来、STAP細胞が多くの命を救うことを願っていますか? ならば、だれも見ていなくても、どんなに面倒でも、50m先の横断歩道を渡るべきだったと思います。一方で、この一件で優秀な才能を潰してしまわぬよう、われわれ社会が寛容な立場を取ってやれるよう、一個人として努力したいと思います。では! 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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