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タカシの外資系物語

“インド式” が世界を制す?! (その3)2014.04.01

    タカシの “しゅららぼーーん”

    前回の続き) 会社のMBA研修にて、タカシがchairman(まとめ役)をつとめるクラスで、アメリカ人(男性)とインド人(女性)が激しい議論を開始し、止まらなくなってしまいました。クラスを先に進めたい他のメンバーからは、chairmanであるタカシに対して、冷たく刺すような視線の嵐。さて、タカシはこのピンチを、どのように切り抜けたのでしょうか? そして、その振る舞いから垣間見える、インド人の特性とは、いかなるものなのでしょうか?


    アメリカ人 「ペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ・・・」 
    インド人 「パラパラパラパラパラパラパラパラパラパラ・・・」 
    ※American Englishを 「ペラペラペラ」 だとすると、Indian Englishって 「パラパラパラ」なんですよね、私の中では・・・ 強火で炒めたチャーハンみたいなイメージです(よくわからん たとえ・・・・)。


    「ちょ、ちょっと・・・ Excuse me ・・・ calm down, please・・・」


    アメリカ人 「ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ・・・」 
    インド人 「ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガsp・・・」 


    ・・・ こうなったら、致し方ない。最後の手段である  “アレ”  を使いましょう!


    私 「Ladies and Gentleman, Be quite, please ・・・ mmmmmm・・・ Shut uuuuuuuuuuuuuuuuuuuupppp ! I AM CHAIRMAN, Follow my instructions, NOOOOOOOOOOOOOOW !!! 」

    ・・・ シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

    カ・イ・カ・ン ・・・・・・ (『セーラー服と機関銃』 - 1982年作品 - の 薬師丸ひろ子風 古っ!)

    「Yes, sir !」 の世界とは?!

    見事、一撃で止まりました。アメリカ人の方はその後もブツブツ言っていましたけど・・・。インド人の方は、ピタッと止まりました。なぜか? それは、インド人というのは、権威というか、役割を非常に尊重するからです。一般に、アメリカ人も、役割を尊重する文化ですが、インド人の身分重視・役割尊重はその比ではありません。


    ご存知の通り、インドという国は長期間にわたって、東インド会社を起源とした欧米列強の支配下にありました。また、国内においても、カーストという身分制社会を持っています。かつ、あれだけの巨大な人口を有している。インドという カオス(混沌) を治めるには、絶対的な身分制度・役割の切り分けが必要だったのです。ですから、相当な教育を受けた人材であっても、役割が上の人物には絶対服従です。クラスのchairmanがタカシである以上、タカシがいくらヘナチョコであっても、彼ら・彼女らは私に従うのです。「Yes, sir !」 の世界、それがインドなのです。


    私は、ビジネスの世界において、上記のインド文化が極めて有利に働くと見ています。確かに、「Yes, sir !」の世界では、イノベーションは生まれにくい。しかし、ビジネスの推進力は凄まじいものがある。


    わかりやすい例が韓国です。韓国は基本的に、「Yes, sir !」の世界です。だから、イノベーションは少ない代わりに、ビジネスでは結果を残す。事実、新興企業にすぎなかったSAMSUNGがかのSONYやPanasonicを駆逐したわけですから、「Yes, sir !」会社が勢いに乗ったら、手をつけられんのです。その韓流「Yes, sir !」ビジネスを、実に韓国の25倍(!)もの人口を有するインドがやったらどうなるか? 答えは火を見るより明らかでしょう。これこそ、私が 「“インド式” が世界を制する」 と言っている最大の理由です。

    タカシはインド人が大好きです!

    もちろん、インド人がビジネス社会で躍進する理由は、上記以外にもたくさんあります。まず、インド人は、理系科目と英語以外は勉強するに値しないと考えているぐらい、理系重視です。これは、「インド人は 0(ゼロ) を発明したから、数学が得意」 という、根拠の薄い都市伝説ではなく、理系でないと稼げない、世界で勝負できないことをインド人が理解しているからです。


    前々回のコラムで、インドの大学を出て、アメリカでMBA取得・・・ というのが典型的なインド人エリートの流れだと書きましたが、最近では、インド国内の大学・大学院のレベルも軒並み上がっており、わざわざアメリカに留学する必要もなくなってきたようです。Financial Times が発表した最新のMBAランキング(Global MBA Ranking 2013)によると、


    (1) Harvard 
    (2) Stanford 
    (3) Warton    
    (4) London school of business 
    (5) Columbia 
    (6) INSEAD


    と、まぁ欧米の有名どころが並んでいるのですが、少し下位のランクに、


    (26) Indian Institute of Management, Ahmedabad 
    (34) Indian School of Business


    が入っています。これは本当に画期的だと思います。欧米先進国の有名大学が居並ぶランキング・ベスト50に、まだ先進国とはいえないインドの大学が2校も入っているのですから!


    (これは余談ですが、(51) Sungkyunkwan University、(86) Korea Universityといった韓国の大学が、ベスト100に2校も入っています。一方、日本の大学は、東大も京大も一橋も早慶も、影も形もありません・・・。教育関係者のみならず、行政や実業界あげて、この事実を重く受け止めるべきでしょう・・・)


    私は個人的に、インド人のみなさんと一緒に過ごすのが大好きです(もちろん、仕事も含めて)。なぜなら、彼ら・彼女らは、本当に優しくて、相手を思いやる気持ちに溢れているからです。話好きでしゃべり出したら止まらない、自分の知らないことまで知ったかぶりをする・・・ というのは確かにあるんですが、それも裏を返すと、自分の知識の最大限を相手に知らせることで、相手をハッピーにしたいと思うがゆえの行動なのだと思います。


    私は、インド人にウソを教えられたことはあります(実は、山のようにある・・・)が、騙されたことはありません。インド人のほとんどは、悪意を持って、相手をハメてやろうという考えを持っているわけではないのです。知ったかぶりをすることは決してほめられたことではありませんが、騙すつもりではないということだけは、認識しておいた方がいいと思います。なにしろ、10年後はインド人がビジネス社会を席捲しているのですからね!


    では最後に、みなさんでチヤルス! (ヒンディー語の “乾杯”) 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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