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タカシの外資系物語

タカシはなぜ “筋トレ” をするのか? (その2)2014.03.11

    タカシ、Yさんのスキルにビビる?!

    前回の続き) 昨年の休職中から、スポーツジムに通い始めたタカシ。東京オリンピックまでには、フルマラソンを完走できる体を作ろう! いや、ちょっと目標が大きいな・・・ 体脂肪率を20%以内で維持しよう! いきなり、目標ショボッ!! ま、いずれにしても、定期的に適度な運動をするというのはいいことです。今回のコラムでは、ジムで私が懇意にしているトレーナーYさんのお話をしたいと思います。


     「こんにちは! トレーナーのYと申します。よろしくお願いします!」


    ジムに入会した初日、私は無謀にも “ボクシングコース” を選択し、あまりのハードさに立ち上がれなくなりました(立て、立つんだ、ジョーーー!(T-T))。これまでの私なら、「このジムは俺には合わん!」とか何とか屁理屈をこねて、もう二度と行かなくなるパターンを繰り返していたのですが、休職中なのでやることがない! それ以上に、肉体的にも精神的にも自分を変えたい!! と思い直し、「無理せずに、普通のジムトレーニングのコースで行こう・・・」 と方針転換。翌日にオリエンテーションを実施してもらうことになり、そのときの担当がYさんでした。


    後から気付いたのですが、通常、男性会員には女性のトレーナー、女性の会員には男性のトレーナーがオリエンテーションを行っているようです。ま、何となくその意図はわからんでもない。慣れない新入り会員が緊張しているのを、感じのいい異性の笑顔で和ませようとしているのでしょう。もちろん、トレーニング開始後に、トレーナーは変更指名できますので、オリエンテーション時はあくまでも、仮のトレーナーにすぎません。しかし、結局私は、入会後10ヶ月間継続して、Yさんのトレーニングを受けています。なぜか?


    最初、Yさんとの初対面のとき、実はビビッていたのです。彼は、体が超マッチョでごついわけではない。ごく普通のイケメン&スポーツマンです。スカしたところもない好青年。では、一体何をビビッていたのか? それは、Yさんが “英語ペラペラ” だったからです。


    前回お話したように、このジムは外国人比率が高いので、英語の話せるスタッフは多い方だと思います。しかし、英語ができる人の大半は受付のスタッフで、英語が話せるトレーナーとしては、ネイティブの人が数名いるだけでした。そんな中で、英語ペラペラの日本人Yさんの存在は異色です。「外国人とコミュニケーションをとるために、頑張って勉強したんだなぁ・・・」 と感心していたのですが・・・ 実は、Yさんのスキルはそんなもんじゃなかったんです。

    外資広告代理店 から トレーナーへの転身

    オリエンテーション以降も、私は定期的にYさんを指名して、トレーニングを受けていました。Yさんの指名料、すごく高いんです、これが・・・ 普通の人の倍ぐらいする、でも、予約が途切れない。トレーニングだけじゃなくて、生活面全般でのアドバイスもくれる。加えて、仕事の話も聞いてくれる。なんやねん、この人!


    ある日、私は思い切って、Yさんの前職を尋ねてみることにしました。


    Yさん 「私の前職ですか? 外資の広告代理店です。マッ○○○・○○○ソン・・・」 
    私 「えっ? あのマッ○○○・○○○ソン、ですか? どうして・・・」 
    Yさん 「・・・辞めたのか? ですか? 給料などの待遇は申し分なかったんですけど、毎日毎日、接待接待で、疲れたんですね。体力には自信があったんですが、入社5年でメンタルにかかって、結局、2年間棒に振りました・・・」 
    私 「じ、実は私も・・・」 
    Yさん 「やっぱり・・・、奈良さんもそうじゃないかと思ってました。そうじゃなきゃ、IT長者で早々にリタイヤしたのかなって・・・ いずれにしても、普通のビジネスパーソンは、平日来られないですからね」


    グローバルトップクラスの広告代理店 マッ○○○・○○○ソン。あそこにいたなら、英語ができるのも納得です。加えて、スポーツマンの超イケメン、さぞかしブイブイ言わせていたんでしょうなぁ・・・


    私 「でも、広告マンがジムのトレーナーに転身って、サプライズですよね」 
    Yさん 「アメリカに駐在していたときに通っていたジムに、日本人の概念を覆すトレーナーがいたんですよ。その人に憧れて、この業界に入りました」


    元マッ○○○・○○○ソンの広告マンが憧れる、ジムのトレーナーって、一体・・・?

    単なる “トレーナー” から “コーチ” “カウンセラー” へ

    Yさんが憧れるそのトレーナーは、心理学の修士号を持っていて、企業でのビジネス経験も持っているとのこと。


    「だから私も今、大学院で心理学を学んでいます。いくら体を物理的に鍛えても、メンタルに問題を抱えていては健康とはいえませんからね・・・」


    なるほど・・・、要は、“コーチ” なんですよね。ジムでのトレーニングをベースとしながらも、ビジネスや日常生活の話も聞いてくれて、アドバイスをくれる。強制的に何かをさせるのではなくて、設定されたゴールに対して、緩やかに導いてくれる。Yさんの人気は、そういうところにあるのかもしれません。


    「奈良さんは大丈夫。もうすぐ復帰できますよ、意識も高いし。でも、復帰後1年程度は無理されないように。また話を聞かせてください」


    “意識が高い” = やりたい仕事を持っている ことを評価してくれたのは、Yさんだけでした。休職中は、主治医も腫れ物をさわるように、仕事の話は一切しませんでしたから。でも、復帰後の話を聞いてほしい。この心情は、実際にメンタルになったビジネスパーソンにしかわからないのかもしれません。


    アメリカ人の大半は、異常なほどカウンセリングを受けている・・・ カウンセリングを受けていない(経済的に受けられない)人のことをバカにするぐらいに・・・ これまで私は、アメリカにおけるカウンセリングやコーチングの隆盛を、一面的、ステレオタイプ的にしか見ていなかったのかもしれません。確かに、アメリカ人のカウンセリングを受けることに対する執着心は異常です。日本人の感覚では、ほとんど問題がない人までが、こぞって高額の診察料を払って、カウンセリングを受けている。


    しかし一方では、“カウンセリング” “コーチング” という分野が確立されていて、それをうまく利用している人も多い。日本人の発想では、「あんな若造のアドバイスなんて受けたくない!」という感覚が、アメリカ人にはない。これは、キリスト教的な発想、つまり懺悔をして悔い改める、アカの他人に自分の悩み事を話すことに抵抗感がないという文化的背景もあるでしょう。が、それ以上に、カウンセラー、コーチ、トレーナーたち自身が自己研鑽を積んでいて、意味のあるアドバイスをする。そして、カウンセラー、コーチ、トレーナーの間に垣根がない。ジムのトレーニングを受けながら、運動以外のコーチングやカウンセリングを受けることで、心身ともにリフレッシュするわけです。


    くだんのYさん、やはり将来は独立を考えているようで、「仮に、CMを打てるぐらい有名になっても、広告代理店には頼みませんよ!」などと、ウィットの利いた会話に、こっちも笑顔になります。予約リストを見ると、2週間先までギッチリ。この調子なら、独立を果たすのも、そう遠くないのかもしれません。


    私はしばらく、Yさんにお願いするのを控えます。指名料が高いというのもありますが、彼のスキルをだれかが独り占めするのはもったいない。みんなが共有し、体感すべきものだと思います。


    近いうちに、日本にも、カウンセラー、コーチ、トレーナーが活躍し、ビジネスパーソンが心身ともにリフレッシュできる環境が構築されることを思い浮かべながら・・・、さて、今日は少し重いバーベルに挑戦してみましょうかね。オリャーーーーー! 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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