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タカシの外資系物語

告白! “タカシ復活” までの 道程 (その8)2013.11.19

    職場復帰のタカシが恐れることとは?!

    (前回の続き) 適応障害(うつ)のため、半年間の休職を余儀なくされたタカシ。やっとの思いで復職したのですが、何か違和感が・・・、さて、タカシに対する周囲の反応は、どうだったのでしょうか?


    自身の復職にあたり、1つ、かなり憂鬱な “作業” があります。それは、「挨拶回り」。実は私、「挨拶回り」が大の苦手でして・・・  「そんなもんに、苦手とかあんのか?!」と言われそうですが、とにかく嫌いなんです。年末年始の挨拶回りも大嫌い。だから、挨拶回りをしなくてもいいような職種(≒営業以外)を選んで生きてきたつもりです。そもそも、“人間嫌い” なんですよね、多分。小説家とか、棋士とか、一人でできる職業に、いまだに憧れていますからね・・・。


    誤解のないように補足しておきますが、今回の休職にあたり、ご迷惑・ご心配をおかけした方には、本当に感謝していますし、お詫びしなければならないことも多数ある。だから、それはそれで、個別にやるつもりです。要は、オフィスをウロチョロすることで、「みなさーーん、奈良タカシでーーす。本日、うつ地獄 から戻って参りましたーーーっ!」的な雰囲気を醸し出すのが嫌なのです。何事もなかったかのように、「あら、いつの間にか座っていた!」という感じで復帰したいんですよね、勝手な話ですが・・・。


    そこで、同僚や部下には、事前にメールでも出して、向こうから来てもらう(相手にその気があるなら・・・)という作戦でいくことにしました。しかし、役員連中には挨拶回りをしないと失礼にあたることぐらい、私にもわかります。いた仕方なし。復帰の日、来社早々、私は関連する役員各位(10名、外国人3名)の席まで、ご挨拶に伺うことにしました。


    ・・・ 待たされたりなんやらで、2時間ほど歩き回った結果、挨拶できた役員、10名中4名。 って、面倒くさいわーーーっ! もういい、メールで個別に連絡するっ!! (ま、彼ら・彼女らはハンパなく忙しいので、4名に会えただけでも御の字なんですが・・・)


    4名の内訳は、日本人3名・外国人1名。前回のコラムでもお話したように、日本人と外国人では、以下のように、見事に対応が分かれます。


    - 日本人の対応 ・・・ 休職中も、定期的に連絡をくれたりして心配している。挨拶に行ったときも、「当面は無理しないでいいから」と、労いの言葉をかけてくれる。泣ける・・・(T-T) 
    - 外国人の対応 ・・・ 私がメンタル系疾患で休職したとわかった瞬間、一切連絡をしなくなる。全ては、専門の心療内科医・産業医に任せる。挨拶に行ったときも・・・


    外国人上司の場合、挨拶に行ったときも、「OK, I’m busy」とだけ言われ終了・・・ と、思ってたんですよね、挨拶回りする前は。でも、私が挨拶に行ったK役員の反応は意外なものだったのです。

    タカシ、役員Kに軟禁される?!

    私 「Kさん、半年間も休職をいただいて、本当にご迷惑をおかけしました・・・」 
    Kさん 「うむ・・・ Company Doctor (=産業医)は何と言ってるんだ?」 
    私 「しばらくは残業を控えて、無理しないように、って・・・」 
    K役員 「そもそも、残業なんかするな。必要なら、早朝に来い。電車も混雑してなくて、気持ちいいぞ」 
    私 「は、はぁ・・・ (そういうアンタは、会社に自転車で来れるほど、ここから2-3kmしか離れていない都心の高級マンションに住んでいるくせに、電車の混み具合なんぞ、わからんだろーーーがっ!)」 
    K役員 「close the door, please・・・ (ちょっと、部屋のドアを閉めてくれるか・・・)」 
    私 「uh, OK ・・・ (えっ? 役員室のドア閉めろって、どういうこと? (T-T)  もしかして、いきなり解雇されるんじゃないだろーーーな?!! (T-T)(T-T)


    ガチャッ!(タカシ、言われるがままに、K役員の個室ドアを閉める)


    K役員 「タカシ、お前のチームはうまくやったぞ。 Current quarter’s “ Champion ” (この四半期のチャンピオン(=稼ぎ頭))だ!」 
    確かに、私のチームはこの四半期で、数十億円の契約を獲得しました。ま、それを取るために、四苦八苦して、私は うつ になったわけですが・・・


    K役員 「結果さえ残せば、それでいい。半年休もうが、一年休もうが、一生会社に来なくってもいい」 
    そんな、極端な・・・


    K役員 「安心しろ。お前はうまくやった・・・」 
    私 「えっ?」 
    Kさん 「ただ、もっとベターな方法があったと思う。それは・・・ 自分でもわかってるよな?」 
    私 「は、はぁ・・・」 
    K役員 「それともう1つ。お前は、休職前よりも、確実に 強く なった」


    強く? って・・・ 通勤するだけでもフラフラでんがな、わし・・・

    休職は “武器” になる?!

    K役員 「お前は半年間休んだ。それ自体は、disadvantage だ」 
    そりゃ、そうだわな・・・

     


    K役員 「でも、お前は弱い人、病気になりかけている人の気持ちが理解できるようになった。これは advantageだ。半年間休んだことを、打ち消すぐらい・・・ 今後おそらく、お前のチームからは、メンタル系疾患で休職する人は、ほとんど出ないと思う」 
    もちろん、部下の健康には、これまで以上に注意を払いますけどね・・・


    K 役員 「ところで・・・ タカシ、お前いくつだ?」 
    私 「45です・・・(もう、おっさんですな・・・)」 
    K役員 「too young とは言わないが、まだ若いな。もっと上を目指せ。今回の休職を “武器” にするんだ、いいな?」


    正直、かなり グッ (T-T) と 来ました。外資では、実績を上げて成功した人が出世するわけですが(当たり前)、同時に、失敗した人にも一定の評価を与えます。パートナー昇進試験の際にも、成功体験よりは、失敗体験とそこから得た “教訓”(=Lessons Learned) を重視します。失敗体験を標準化・敷衍化して、“失敗フレームワーク” を作り、それを企業の財産としているのです。


    一方、多くの日系企業、特に、銀行業界などはその典型なのですが、1回でも失敗を犯せば、出世街道からはずれます。これでは、財産となるはずの失敗事例を、みすみす捨てているのと同じことです。


    全ての社員が、ある一定レベルの能力を有しているという前提に立てば、失敗というのは、ある確率に収斂して発生します。ということは、失敗しない人 というのは、完璧なスーパーマン か そもそもリスクの高い事案に手を出さなかった人 かのいずれかです。日系企業のトップには前者も含まれていると思いますが、その他大勢である役員連中の大半は後者です。だから、リスク耐性の低い、予測不能なことが起こった際にアタフタする企業が多いのです。この点は、日本企業における最大の弱点といえるのではないでしょうか。


    復帰して1ヶ月半となる、11月現在。 
    ・ 相変わらず、SSRI(抗うつ剤)2種、睡眠導入剤2種、胃薬1種、筋弛緩薬1種(肩がこって、頭痛がするので)を飲み続けています。飲まないと、眠れません。 
    ・ 人ごみでは、激しい動悸に見舞われるので、行けません。デパートの地下なんて、最悪! 朝夕の東京駅、会社の食堂、会社のエレベーター内・・・、どれもNG。 
    ・ 週に2回程度、帰宅時に電車に乗れなくなることがあります。そんなときは、駅の周りをひたすら歩いたり、ベンチで時間をつぶします。これから寒くなるので、辛いですね・・・
    ・ 休職前より7キロ痩せました。メタボ気味だったので、これはラッキーでした。 
    ・ ゴルゴの夢はほとんど見ません。その代わり、起きているときに、フッと横切るような錯覚が起きます。今も、私と家族を守ってくれているのかもしれません。 
    ・ K役員は、上記のように言ってくれましたが、半年も休んで仕事を放り出したわけですから、その代償(来年のボーナスは、多分ない・・・(T-T)、出世も、多分ない・・・(T-T)(T-T))は覚悟しています。ただ、もう少しやってみます。まだ、敗北宣言は出しません。パートナーの上、バイス・プレジデントも目指します!


    みなさん、このテーマに長らくお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。次回より、通常パターンに戻しますので、引き続き、『タカシの外資系物語』 を、よろしくお願いいたします!!!

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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