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タカシの外資系物語

告白! “タカシ復活” までの 道程 (その4)2013.10.22

    タカシ、退院する

    (前回の続き) 自分の体質に合った “飲むべき薬” が特定され、薬の力を借りてではありますが、朝6時に起きて、夜10時に寝ることができるようになったタカシ。「奈良さん、ここからが、本当の意味での “治療スタート” ですよ!」 という主治医の言葉に励まされ(?=内心、「まだ、“スタート”すら切ってなかったのか・・・(T-T)」と、愕然・・・)、6月はじめに退院をしました。


    では、タカシは療養中、何をしていたか? ま、基本的には “ヒマ” なんですよね、これが・・・。 こんなこと言うと上司や同僚に怒られそうですが・・・。だからといって、仕事をするわけにはいかない。そもそも、仕事が原因で、こうなっているのですから。じゃ、自己啓発でもするか・・・ 結構、そういう人、いるらしいです。


    かつて、私の主治医の患者さんで、退院後自宅療養中に、時間を持て余して、英会話教室に通い出した人がいたとか。それも、ここぞとばかりに、「マンツーマン・スペシャルセッション(急に海外赴任が決まった人が行くような、連日&終日の短期集中講座)」に申し込んだそうです。で、その人、どうなったか? 退院後、1ヶ月で症状が再発し、また入院。その後も入退院を繰り返した結果、復職までに2年を要したそうです。


    要は、「何もするな! 大手を振って、自信満々で、休め!!」 ということなんですね。特に、初めてこの病気になった人は、最初に下手な “悪あがき”(時間があるからといって、自己啓発に励む等) をすると、かえって治療が長引く可能性が高いらしいです。できる限り短期での復帰を希望していた私は、主治医の言いつけを守って、ホントに何もしませんでした。


    というか、現実には、退院直後の私は、“悪あがき” をすることすら困難な状態でした。人ごみの中では動悸が止まらない、散歩に出ると失踪するかもしれない、電車に乗ると飛び込むかもしれない、薬のせいで頭がボーっとしているので車の運転は禁止されている、そもそも、車を運転させたら、どっかに突っ込むかもしれない・・・ 様々なリスクを内在していました。本人はそんな気持ちは一切ないのですが、自殺する人の大半は、突発的にそうなるらしく、基本的に、家でじーーっとしているのが一番安心なわけです。


    つまり、いい年したおっさんが、“モラトリアム生活” に徹しなければならないわけで、本当にぜいたくな話ですが、これはこれで、相当苦しかった。退院後も、日に何度かは、“黒いドロドロした涙” が止まらなくなり、嗚咽する発作が起きますから、それに耐えねばなりません。ただただ、早く3ヶ月が過ぎ去らないか、そればかり考えていました(退院時に、主治医からは、「最低3ヶ月の自宅療養」と聞かされていましたので、私は3ヵ月後には、仕事に復帰する気満々でした。ただ、奥さんには、「比較的順調ですが、あと半年から1年は覚悟してください」という話があったそうです)。

    ビジネス書は読むな! 小説を読め!!

    上記の通り、基本的に、無為な時間を過ごしていたわけですが、いくつかの “収穫” もありました。1つには、「小説を読むようになったこと」。以前、このコラムでもお話したかと思いますが、私は「中学国語1級」という教員免許を持っています(高校or中学で国語を教えることができる。取得後20年以上経っていますので、もう期限切れかもしれません・・・)。大学は経済学部だったのですが、『三年B組金八先生』フリークだった私は、文学部に通って必要な単位を取得し、教育実習もこなし、教員免許を取得しました(教員になるためには、さらに、採用試験に合格しなければなりません)。

     


    が、結局のところ、半沢直樹よろしく、バブル景気で大量採用され、銀行員になっているのですから、宝の持ち腐れもいいところ。ただ、国語が好きなこと・文学に詳しいことは確かでして、いわゆる古典の名作は、古文・漢文から現代文まで、枕草子から夏目漱石・小林秀雄に至るまで、ほとんど読破しています(特に、古文の随筆は、“文学部としてのタカシ” の専門分野なので、枕草子・徒然草・方丈記などは、かなりマイナーな部分まで、今でも暗誦して言えます。実際には、何の役にも立ちませんが・・・)


    しかし、就職してからというもの、特に、コンサルタントになってからは、ビジネス書以外は読まなくなってしまいました。このビジネス書、“買い始めると止められない地獄” に陥ってしまいます。要は、「これも読んでおかないと、あれも頭に入れておかないと、クライアントや上司にバカにされる・・・」という脅迫観念に囚われるのです(みなさんも、経験あるんじゃないでしょうか?)。


    あと、私の場合は、家庭がかなり貧しかったため、子供時代に本を買ってもらえなかったトラウマにより、少しでも気になる本は、買わないと気が済まない。いわば、“読まないけど、買えば満足する症候群” にかかっていまして、結果、ろくに読みもしないビジネス書が、自宅の相当部分を占拠しています。


    かつ、ビジネス書の大半は、基本的に古典の “パクリ” でありまして、目から鱗が落ちるようなことは、ほとんどない。どれもこれも、同じようなことしか書いてない。極端なことをいうと、ビジネス書なんて、基本の数冊(※)を押さえていればいい。そのほとんどは、同じような内容を、手を変え品を変え、おいしい部分だけをパクッているだけですから、ほとんど無意味なのです。


    ビジネス書 : 基本の数冊 by タカシ】 
    ・ 『競争の戦略』 M・ポーター 
    ・ 『マネジメント』 P・ドラッカー 
    ・ 『マネージャーの仕事』 H・ミンツバーグ 
    ・ 『マーケティング・マネジメント』 P・コトラー 
    ・ 『企業参謀』 『続・企業参謀』 大前研一 
    ・ 『人を動かす』 『道は開ける』 D・カーネギー 
    ・ 『考える技術・書く技術』 バーバラ・ミント 
    ・ 『リーダーシップ論』 ジョン・P・コッター 
    ・ 『タカシの外資系物語』 奈良タカシ ← 蛇足

    個人的には、森信三先生の 『修身教授録』 も加えたいところですね。

    出世したけりゃ 『蝉しぐれ』 ?!

    入院している間、気分が落ち着いているときの大半は、小説を読んでいました。自宅にはビジネス書しかありませんので、読むべきストックがない。結果、病院の売店で買うしかないわけですが、当然のことながら、病院の売店では、文庫本は20冊程度しか置いていません。しかも、作者も偏っていて、売れ筋系の東野圭吾さん とか 宮部みゆきさん とか。

     


    「ま、仕方ないか・・・」 (東野先生、宮部先生、ゴメンナサイ!)


    と、お試し気分で買い求めたところ、これがたまらなく面白い! 今まで知らなかったことを後悔するほど、久しぶりに知的興奮を得ました。東野先生の本にいたっては、この夏も映画化された ガリレオ・シリーズ、加賀恭一郎シリーズを、入院中に読破してしまったほどです。


    以前、あるメガバンクの役員と宴席を持った際、“読書” の話になったことがあります(ちなみに、その役員は、シカゴ大ビジネススクール卒のMBAホルダーです・・・)。前述の通り、私はビジネス書に関しては古典も含めて、ほぼ頭に入っていますから、その役員との会話にも何とかついていけるだろうと思って話を聞いていたのですが、予想に反して、役員はこんな風におっしゃっていました。


    「ビジネス書? 確かに、会計や法律の本は読むべきだが、なんちゃら戦略・・・ なんて本は、読んでも意味がない。あんなもんで、収益が上がるなら、経営者なんかいらない。要は、すでに起こった結果を、さも難しそうに汎用化しただけの話に過ぎんからな。読むべきは、小説。藤沢周平とか、池波正太郎とか・・・ 『蝉しぐれ』、読んだことある?  

    奈良さん・・・ 良質の小説には、日本人の根底に流れるカルチャーというか、考え方が溢れている。感覚として、それを理解できるやつは、当然のように、仕事でも成功するんだよ・・・」


    その時点で、藤沢周平さんの 『蝉しぐれ』 を読んでいなかった私は、冷や汗ものだったわけですが、同じことは、流行りの小説にも当てはまります。宮部みゆきさんから入って、高村薫さんを経て、山崎豊子さんに行き着く。それだけで、ビジネス書を100冊読むよりも、世の中というものが理解できると思います。


    外国人の同僚と話していると、彼ら・彼女らが、相当な時間を読書に割いているのがわかります。それも、ビジネス書ではなくて、流行りの小説が大半を占めます。TVドラマも同じ。コンスタントにTVドラマを見るので、『24』 や 『LOST』 のように、継続的に良質のドラマが作られる。一方、日本のバリバリキャリアのビジネスパーソンの多くは、小説もTVも見ない。だから、人間的な魅力が薄い人が多いのではないか・・・と、考えたりもします。


    今年は、『あまちゃん』 や 『半沢直樹』 など、良質のドラマの当たり年です。通勤時間だけでなく、日に1時間は時間を取って、ビジネス書以外の読書やニュース以外のTVドラマの鑑賞に充てることをお勧めします。


    おっと! もう紙面が残り少なくなってきました。前回予告した通り、このシリーズは、あと2回で、いったん打ち止めとします。うち1回は、私がうつになった理由と、今回の休職を通じて、私が得た教訓についてお話します。 そして、もう1回は・・・ 実は、今回書こうと思ったのですが、どうしても書けなかった・・・。書くと、うつが再発しそうで・・・ でも、私を含め、私たち家族の人生観を変えるほどのインパクトを与えた、忘れられない事柄。結果的に、私の早期復職を可能にした、不思議な出来事。 次回のコラムでは、そのお話をしたいと思います。

     

    (次回へ続く)

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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