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タカシの外資系物語

昇進して良かったこと・・・って、何?!(その3)2013.04.09

    “SELF-INTEREST” で動かない人

    (前回の続き) 人事担当役員との面談。察するに・・・、私に近い同僚のパートナーBが、さらなる昇進対象(Senior Vice President!)となっているようで、Bの評判を私から根掘り葉掘り聞こうとしている様がアリアリと伝わってきます・・・ 少しヤケ気味の私は、Bの印象をテキトーに回答していたわけですが・・・、にわかに、その役員から、思わぬ反応がありました! 


    私 「Bさんは、リーダーシップもあるし、部下からの信頼も厚いし・・・ 私も手本になるところが多いです・・・」 
    人事担当役員 「・・・ふぅ、あのね、タカシさん・・・、わが社のパートナーは、リーダーシップがあって、部下からの信頼も厚い人しかいませんよ。もちろん、タカシさんも・・・」 
    私 「は、はぁ・・・(しまった! テキトーに答えてるの、バレたかな・・・)」 
    人事担当役員 「Bさんが、他のパートナーと大きく違うところ、それは He does NOT act by ・・・ “SELF-INTEREST” ! というところです!」 
    私 「??? “SELF-INTEREST” で動かない・・・って、ことですか?(やべっ! い、意味わからん・・・(T-T))」 
    人事担当役員 「そうです、Bさんは、“私利私欲” (=“SELF-INTEREST”) で動きません。第一にクライアントのため、第二に仲間や部下のため、そして、第三にわが社のため・・・、彼の行動原則は、全てそこから始まっています。だから、同僚のパートナーから、頭ひとつ抜きん出てるんですよ!」 
    私 「でも、それって・・・」 

      

     正直・・・、ショックでした。頭をこん棒で ガツン! と殴られた感じ。 なぜか? 思い当たるフシがあるからです!! すごく、痛いところを突かれているからです!!! 
    同僚のBは、確かにこの役員が言うとおりの振る舞いをしています。それも、バカ正直なほどに・・・ 「もっと、手を抜けばいいのに」「どうして、あんなに苦しいのに、いつもニコニコしていられるんだろう」・・・ 全てはクライアントのため、仲間や部下のため・・・ 結果、その努力が実って、昨年のわが社における最大案件を獲得することができたのです。だから、だれも彼にケチをつける人はいない。正真正銘、彼が出世することに異論は出ないのです。 

    “私利私欲” のない人は、出世しやすい?!

     そういえば、一緒にパートナーに昇進した際の挨拶で、彼はこんなことを言っていました。 

     

    「このたび、パートナー職を拝命しましたBです。パートナーになることで、権限が増えれば、クライアントのために、仲間のために、そして、会社のために、これまで以上のことができる、影響力が持てると思っています。すごく、ワクワクしています!」 

     

     なーーに言ってんだ、コイツ! と、そのときは思っていたのですが、まんま、その通りの人だったんですね、この人・・・ 勝てないです、こういう人には・・・(T-T) 

     

     パートナーに昇進して以来、私は常に悩んでいました。それは、「どうすれば、その先に行けるんだだろう?」 いや、もしかしたら、「この先なんて、贅沢なことは言わないや・・・ どうすれば、このままの状態を保持することができるんだろう?」 ということだったように思います。だから、いつも文句ばかり言っている一方で、ビクビク、クヨクヨして過ごしている・・・ だから、A子さんから、「パートナーになって良かったことは?」 と尋ねられても、何も答えられない・・・ 

     

     そして、1つ再認識したこと、それは、 

     

    「 外資で上級役員に出世していく人は、Bさんのような人(≒“私利私欲” がない人)が多い 」 

     

     ということです。これは、かなりの確率で当てはまると思います。もちろん、日系企業でも、役員の出世階段を駆け上る人の中には、そのような人が結構います。特に、会社のTOPともなれば、日系・外資系問わず、多くの人は私利私欲がない場合が多いと思います。 
    しかし、役員クラス全般に範囲を広げると、外資の方が、私利私欲がない人が占める割合が大きいように思います。 なぜか? これは私の仮説なんですが、外資の方が、自社の社是(=Company Policy)に合致した役員を選ぶ傾向が強いからではないか、と思っています。洋の東西を問わず、自社の社是(=Company Policy)に 私利私欲 が出てくる会社はありません。まずは、社会貢献であり、クライアントであり、社員のことを記載しています。つまり、Company Policyに沿った結果、同僚Bのような人材が選ばれる可能性が高いということではないでしょうか。 

    私利私欲のないBのライバルは?!

    人事担当役員 「Bさんは、“私利私欲” (=“SELF-INTEREST”) で動きません。だから、強いんですよ!」 
    私 「でも、それって・・・」 
    人事担当役員 「それって・・・、何ですか?」 
    私 「それって・・・、んーーー、その通りですね。Bさんが首尾一貫して、私利私欲のない振る舞いをしているのは、私以外のメンバーも、よく知っています。私自身、彼のようになるべきなんですが、うまくいかないですね・・・ 耳の痛い話です・・・」 


     今回のコラム、結論として、「だから私(タカシ)も、同僚Bのようになれるよう、頑張ります!」と結ぶつもりはありません。だって、なれると思えないんですよ、現段階では・・・ 悲しいですが・・・ 


     気になることが、もう1つ。人事担当役員から直接、なんでこんなこと言われなならんねん! ということ。まさか、「(3) 私がDerailment(辞めそうな人予備軍)に入っており、状況を確認するため」 に来たのでしょうか? 


    人事担当役員 「あら、もうこんな時間! タカシさん、すいません、少し脱線してしまいまして・・・」 
    私 「いやいや、こちらこそ・・・ (結構、考えさせられる話を伺えましたし・・・)」 
    人事担当役員 「そうそう、1つ言い忘れていました」 
    私 「?」 
    人事担当役員 「実は、Bさんにも時間をもらって、現状の組織についてお話を伺ったんですが・・・」 
    私 「??」 
    人事担当役員 「その際に、Bさんに対して、『同僚の中で、気になるパートナー、ライバル視しているパートナーはいますか?』 と尋ねたところ、真っ先に、タカシさんの名前が出てきましたよ。そのことを、タカシさんに言ってもいいか? と聞いたら、『いいですよ!』 って・・・」 
    私 「はぁ・・・(Bのやつぅ・・・ 泣ける・・・のか、これって? よくわからんが・・・)」 


    次回のインタビュー/面談では、「パートナーになって、良かったこと」を、スラスラと話せるように。そして、Bにしっかりと食らいついていくことで、クライアントや仲間のために、少しでも貢献でればいいな・・・、と思う、今日この頃です。 では!

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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