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タカシの外資系物語

外資における “欠席裁判”2013.02.26

    “欠席裁判” キターーーーーーーーっ!

    まずは、よくある光景から。

    部長 「それでは、緊急ミーティングを始めようか・・・。あれ? D課長は?」 
    A課長 「なんか、忙しそうにしてたんで・・・ すぐ来ると思いますけど・・・」 
    部長 「そうか・・・、じゃ、先に始めよう。 いや、実はね、みんなも知ってると思うんだが、○○社との契約がトラブっていてねぇ・・・ 来週までに、新しい条件を飲んでもらわないと、マズいことになるんだよ」 
    A & B & C 課長 「・・・ (来るぞ、来るぞ・・・)」 
    部長 「・・・でね、経験豊富なみなさんの中から、“先方との交渉役” を選びたいと思ってね・・・」 
    A & B & C 課長 「・・・(キターーーーーーーーーーーーっ!)」 
    部長 「どうだろう・・・ だれか立候補してくれないかな?」 
    A & B & C 課長 「・・・(するわけねぇだろ!!)」 
    部長 「うーーむ・・・(頼む!だれか、引き受けてくれ・・・」 
    ・・・ 長い沈黙 ・・・ 
    A課長 「あ! そういえば、D課長は主任時代に○○社を担当していたはずですよ! D課長が適任じゃないかな?」 
    B課長 「そうそう、確か、○○社との大型案件で、社長賞もらったんじゃなかったっけ?」 
    C課長 「噂では、今でも先方の役員と、定期的に飲みに行ってるらしいし・・・」 
    部長&A & B & C 課長 「D課長にしましょう!」 


     典型的なパターン、いわゆる “欠席裁判” というやつ。ご存知の通り、欠席裁判 というのは、「ある人が欠席している会合で、その人に関して不利な事柄を勝手に決める」 ことを指します。このコトバ、“裁判” という名が示すとおり、もともとは法律用語でして、「訴訟当事者が欠席したことから、ただちにその者の不利に言い渡される裁判、または被告人欠席のままでなされる裁判」 を指します。元の法律用語は、当事者が意図的に欠席しているわけですが、上記会話の例に示すとおり、一般的には、当事者の預かり知らんところで、勝手に決められてしまうニュアンスが強いと思います。 

      

     前々回のコラムで紹介した、高城幸司さん著 『火中の栗の拾い方』(日経プレミアシリーズ) の中でも、欠席裁判で決められた損な役回りをクリアすることで、成長を遂げるビジネスパーソンの例が多数掲載されています。その話は高城さんの著書に譲るとして、今回のコラムでは、日系と外資系における “欠席裁判” に関する考え方の違いをお話したいと思います。 

    会議に欠席した時点で ×

     英語の世界でも、I was selected a team leader in my absence・・・ とかいって、“欠席裁判” に該当する表現は存在します。ただ、実際には、ほとんど耳にすることもないし、経験したこともない。なぜか? それは、日本に比べて、“欠席裁判” となるケースが、極端に少ないからです。 


     まず、欧米の文化として、当事者が欠席のまま、その人が不利になる決定を下すことは、ほとんどありません。よって、“欠席裁判” で物事が決まることは、ほとんどないのです!  
     ・・・とかいうと、非常にgentleな印象を持たれるかもしれませんが、実は違います。出席すべき会議(例えば、冒頭例のような、部長が召集した緊急ミーティング)に欠席した時点で、「話し合いを放棄した」とみなされ、その人には最低ランクの評価がなされるのです。 
     この考えは徹底していて、たとえどのような用事があろうとも、許されはしない。代行出席者を立てて、「私は出席できないが、E係長にdelegate(権限委譲)して出席させる」 旨、会議の参加者全員に、事前に周知しておく必要があるのです。

     

     

     実際、日系から外資系企業に転職してきた人は、この過ちを犯しがちです。「社内ミーティングなんかより、お客様対応の方が重要だ。休んでしまえ!」・・・ この発想は、一見正しいように見えますが、外資的にはNGです。外資でも、当然のことながら、お客様対応は優先されます。じゃ、お客様対応以外は何もしなくていいかというと、そうではない。仕事に優先順位をつけて、適材適所の観点から人的リソースを配分するのは、マネージャーとして必須の仕事ですから、それができない人は、当然のことながら、最低ランクの評価となってしまう、ということなのです。 


     私も、この考え方には賛同します。とかく、日系企業では、お客様と接する営業部門が一番偉いという風潮があります。しかし、社内のサポート部門がなければ、営業部は仕事をすることができません。「顧客のために」 というと聞こえはいいのですが、日系企業のそれは、どうも、営業部至上主義と同義のように聞こえます。会社は、組織、チームで回っています。営業のためなら、それ以外は後回し、というのは、外資では全く通じないと考えたほうがいいでしょう。 

    外資では・・・ 立候補殺到?!

     次に、会議における物事の 決め方 を見てみましょう。冒頭の例では、部長は、課長連中から自発的に立候補者が出ることを期待しています。しかし、この進め方は、外資では考えにくい。 
    このケース、外資の場合なら、会議の冒頭において、部長から “先方との交渉役” を決める基準・条件が提示されるはずです。それとともに、“交渉役” を引き受けて、トラブルを収束させた場合の具体的な評価などの説明があるかもしれません。常識的に考えて、このような 損な役回り、立候補者なんて出るわけないのです。そのことが事前に明らかならば、どうすれば決まるのか、決める段取り、引き受けた人への報奨について準備することは、組織の長として、そして、会議のchairpersonとしての部長の責任なのです。 


     仮に、外資に優柔不断な部長がいて、「どうだろう・・・ だれか立候補してくれないかな?」 と言ったとしたら、どうなるか? おそらく、即座に手が上がると思います。だって、チャンスですからね。もちろん、引き受ける場合も、ボランティアで引き受けることなどありえません。立候補の手を上げると同時に、山のような条件を突きつけるはずです。もちろん、成功した場合の報奨についても・・・(これは、部長と2人きりで握るのかもしれませんが・・・)。 


     以上が、外資のルールです。よって、“欠席裁判” は成り立ちにくいというわけ。私も最初は面食らいましたが、こういうもんだと理解すれば、むしろ “欠席裁判” を正当化している日系の方が異常に思えてきます。みなさんの会社ではいかがでしょうか? 


     あ、1つ言い忘れていました。欧米、特にアメリカは、みなさんもご存知の通り、超がつくほどの “訴訟社会” です。また、ディベート(Debate)の訓練もなされている(No 230 『外資系とディベート』 参照のこと)。そんな相手(アメリカ人)に対して、“欠席裁判” を仕掛けようなどとは、くれぐれも考えないほうがいいです。返り討ちにあって、ひどい目に遭いますから。っていうか、そもそも、日本人同士であっても、“欠席裁判” なんて止めたほうがいい。自戒も含め、正々堂々と、仕事をしていきたいものだと思う、今日この頃です。では! 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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