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タカシの外資系物語

“失敗” すれば “出世” する?!2013.02.12

    アメリカ人は “失敗” に関して寛容か?!

    『 失敗は成功のもと 』 ・・・ 日本で最もよく使われる格言の1つではないでしょうか。これを、英語で何というか、みなさんご存知ですか?


    - Failure teaches success 
    - Every failure is a stepping-stone to success 


     なんじゃ、これ? ま、言っている意味はわかるし、どこかで聞いたこともあるフレーズ。でも、日本でいう 『失敗は成功のもと』 に比べると、マイナー感ありあり。少なくとも、私自身、ネイティブがこう言っているのを聞いたことないし、英語の文章でも読んだことはない。 
     で、私は考えました。“失敗” というコトバ、概念そのものが、日英(米)では違うのではないか、と・・・。ということで、今回のコラムでは、外資系企業のビジネス現場における “失敗” の捉え方についてお話したいと思います。 

      

     よく、「アメリカ社会は “失敗” に関して寛容である」 と言われます。よって、ベンチャービジネスに挑戦する人も多いし、インキュベーションの基盤も整っている。しかし・・・ ホントか、これ? 


     アメリカでベンチャービジネスが盛んなのは、そもそも 「一発当てて、億万長者になってやろう!」、いわゆる「アメリカンドリーム」の発想が、国民の根本思想として根付いているからだと思います。インキュベーションなどは、見方によっては、「一発当ててやろう!」集団の権化みたいなもんですし・・・。 「アメリカンドリーム」 と 「“失敗” に寛容」 を同義にとらえるのは、ちょっと違う。 「“失敗” に寛容」なのではなく、ベンチャーというのはリスクが高い代わりにリターンも大きいわけですから、いきおい、失敗する人が多い。つまり、総数としての “失敗” が多いだけなのです。世の中に “失敗” が溢れているから、「“失敗” に寛容」な社会だと誤解している人が多い。 
     実際、ビジネスの現場で起こした失敗については、アメリカ人上司からも、めっちゃめちゃ怒られますし、評価も非常にドライ(つまり、厳しい)です。古今東西、世界中どこでも、“失敗” に対しては冷たく、厳しいのです。 

     

    “失敗”・・・ の 次 が重要!!

     アメリカが、取り立てて “失敗” に寛容なわけではない。しかし、日本とは大きく違う点があります。それは、「“失敗” から得た “教訓” を使って、次に “成功” を収めること」 を、非常に評価する、ということです。 
     「その考えは、日本でもそうなんじゃないの?」 その通り。しかし、日本では抽象的な理念の域を出ていない、つまり、仕組みとしては定着していない。一方、アメリカ社会(企業)では、それがプロセスとして、しっかりと組み込まれているのです。 


     例えば、大きな案件でコンペに負けたとします。まず、ボッコボコに怒られるでしょう。これは、日系も外資も同じ。しかし、その次が違うのです。日系なら、「よーし、思いっ切り飲んで、忘れようやーーっ!」となるわけですが、外資の場合は、ボッコボコに怒られた後で、地獄の “反省会” が待っています。


     わが社では、この反省会を Loss Review Meeting と呼んでおり、一定規模以上の案件では、必ず社長(!)が出席します。「あれだけ綿密な提案計画・戦略を立てたにもかかわらず、なぜ負けたのか?」 プラン実行が不十分だった点、見込み違いだった点、また、想定すらしていなかった事象・・・ これらを、内容・価格・ステークホルダー(ここでは、主に、クライアントの役員を指す)等の視点で、徹底的に分析し、今後の提案での留意点(=教訓、Lessons Learned)をまとめます。


     で、何が地獄かというと、この会議がめっちゃ長いんです。社長が納得するLessons Learnedをまとめるまで終わらないので、時間にして4-5時間、深夜に及ぶこともしばしば。案件に負けたわけですから、ただでさえ 針のむしろ なのに、負けた理由を延々と社長の前で説明しなければならないわけで、ホントに地獄。案件を獲得して評価されたいというよりも、むしろ、案件に負けてLoss Review Meetingをやりたくないというモチベーションの方が高かったりしますので、そういう意味でもうまい仕組みだといえるのかもしれません。 


     加えて、まとめたLessons Learnedは、“Loss Report” として、社内LANに公表(!)されます。同じページには、獲得に成功した案件を報じる “Win Report” もリンクされていますので、対照的に目立つ、目立つ・・・ まさに、さらし首状態です・・・(T-T) 


     しかし、こうして “失敗” を徹底的に分析して、広くアナウンスすることで、失敗した当事者だけでなく、社員全体にLessons Learnedを定着させていくのです。これによって、次回以降に同様の失敗をする確率を極小化しているわけで、その点でも本当にうまい仕組みだと思います。

    外資で生き残る “強さ” の裏づけは・・・?!

     私自身、PM or プロジェクト責任者として、“Win Report” にも “Loss Report” にも、多数登場した経験があります。それも、“Loss Report” の方が、数は圧倒的に多い。しかし、外資系企業で何とか生き残り、Partnerという、それなりの地位にまで達しています。なぜか? それは、“失敗” が多い代わりに、“教訓” も多数得ているから。そして、その教訓を、“成功” のために十分に活用しているからだと思っています。 


     実際に、私の周りを見渡しても、同僚のPartner連中には、“Loss Report” の常連が多い。それも、後世に語り継がれるような、“大失敗” を経験しています。しかし、大失敗を経験しているからこそ、強い! 強さの裏づけとして、実務的な “教訓” のストックを多数持っているのです。 
     また、達成困難な案件にチャレンジしているから、また、火中のクリを拾っているからこそ、失敗も多くなる点も見逃してはいけません。何もしない人は、“Loss Report” に出ない代わりに、“Win Report” にも出ませんからね・・・ (余談になりますが、最近、元リクルートでコンサルタントの高城幸司さんが、『火中の栗の拾い方』(日経プレミアシリーズ) という本を出されています。視点は違いますが、根本で言いたいことは私と同じ。この方の本、好きでよく読むのですが、さすが、いいところに目をつけますね・・・) 


     さて、次回のコラムでは、外資の “昇進” における “失敗” の扱い方 についてお話したいと思います。外資とはいえ、“失敗” ばかりして、“教訓” を蓄えるだけでは、評価はされません。では、どうすれば評価・昇進につながるのか? お楽しみに! 


    (次回続く)

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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