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タカシの外資系物語

Wonderful Start to 2013 with ENGLISH ! (その3)2013.01.22

    まずは、“宿題” の回答から・・・

    (前回の続き) 前回のコラムでは、「TOEICは750点で十分! 750点がクリアできたら、英語の勉強はいったん忘れて、本業に励むべし!!」 という話をしました。しかし、議論が白熱したり、複雑な交渉事になると、TOEIC750点程度の英語力では、全く歯が立たないのも事実。特に、外資系では・・・ では、高度な英語力が要求されたとき、どうやって切り抜ければいいのでしょうか?


     まず、前回お出しした宿題の回答から始めましょう。


    【問題】 
    (役員に対するプレゼンにて) 
    タカシ 「・・・ということで、今後の発展が見込まれる当該分野に、○○円の投資をお願いしたいと思います」 
    役員A 「うーーむ・・・ で、この投資によって、どれくらい儲かるんだ?」 (←実際には、役員の発言は全て英語です) 
    タカシ 「えーーっ、と・・・」 
    役員A 「その証拠は? 数値的根拠は?」 
    役員B 「一方、リスクはどうなんだ?」 
    タカシ 「うーーん、っと・・・」 
    役員B 「その証拠は? 数値的根拠は?」  

      

     上記のように役員に突っ込まれ、英語での説明ができなくなったタカシ。さて、どうやって、この危機的状況を凌いだでしょうか? 


     ・・・ま、よくありがちな話です(というか、日常茶飯事・・・(T-T))。 「上記の質問ぐらい、事前に想定できるだろ! 回答できないのは、準備不足ってことじゃないの?」 そう言われると、ミもフタもないんですが・・・ 当然、拙い英語力で説明してるんですよ。身振り手振り、ホワイトボードに書いて説明、挙句には泣くわめくの大騒ぎ・・・ でも、ダメなものはダメ。交渉上手のネイティブ相手では、日本的な一生懸命さや浪花節は通用しない。 


     で、私はどうしたか? 



     【回答】 = 通訳を呼んだ 

    英語を一切話さずに、評価される方法とは?!

    なんじゃ、そりゃーーーーーーーーー! まぁまぁ、話を聞いてください。 


     日本に赴任している外国人の周りには、ほぼ100%の確率で、通訳さんがいます。その方に来てもらって、通訳してもらって、事なきを得た・・・ ということです。 


     「成果を上げる」ということは、「仕事を前に進める」と同義です。上記のケース、ペラペラと英語を話して、相手を納得させるのが理想ですよね。 でも、要は、伝わればいいんです。やりたいのは、「伝えること」 であって 「カッコいい英語を話すこと」 ではない。伝えるためなら、通訳を使ったって、ホンヤクコンニャク(=ドラえもんの秘密道具)を使ったって、構わんのです。 
    ただし、通訳さんに来てもらうためには、普段から、通訳さんと仲良くしておかねばなりません。出張に行ったらお土産を買ってきたり、評判のスイーツを差し入れたり・・・ そういう気配りがなければ、いざというときに頼んでも、だれも来てくれません。事前の 「種まき」 があってこそ、窮地を脱することができたのです。 


     タカシ 「・・・ということです。すいません、通訳を!」 
    通訳さん 「はい、ペラペラペラペラ」 
    役員連中 「うーーむ、そういうことか・・・」 
    タカシ 「あと一押し、お願いします!」 
    通訳さん 「はい、ペラペラペラのペーラ」 
    役員連中 「わかった・・・ bi-weekly(隔週)でトラッキングすることをcondition(条件)として、承認してやろう!」 
    タカシ 「ありがとうございます!!」 
    (通訳さんに向かって小声で・・・) 
    タカシ 「すいませんねぇ、いつもいつも・・・」 
    通訳さん 「いいんですよぉ・・・ DEBAILLEUL(ドゥバイヨル)※ のチョコ詰め合わせでOKですから~」 
    (※東京駅近くにある、かなり高価なチョコのお店) 
    タカシ 「は、はぁ・・・ (詰め合わせって、アンタ・・・。2-3個じゃ、許してもらえんのね・・・ 3,000円、下手すると5,000円コースだな、トホホ・・・(T-T))」 


     会議の別れ際、役員連中から、「タカシはもっと英語を勉強した方がいいぞ!ハハハ!」 と、冗談交じりに小突かれました。が、顔は笑っています。私のとった行動を評価してくれたからです。英語で説明はできなかったが、仕事を前に進めた・・・ これでOKなのです。 

    再び・・・ 英語は “手段” です!!!

     前回のコラムで、私は以下のようなアドバイスをしました。 


    「何とか (B) で踏みとどまって、(A) を狙え!」


    (A) TOEIC750点レベルまで到達し、英語はそこそこのレベルのまま、企業の中枢(≒役員レベル)として生き残る人 
    (B) TOEIC750点レベルまで到達し、英語はそこそこのレベルのまま、スタッフとしてなんとか生き残る人 


     キャリアとして、(A) と (B) を分けるのは、以下を認識した上で行動できるか? にかかっています。 
    ・ 自分がなすべきこと(達成すべき目的)を理解する 
    ・ 目的達成のために、柔軟な対応をする(多数のオプションを持つ) 
    ・ 多数のオプションを持つために、普段から気配りを忘れない(種をまいて仕込んでおく) 


     英語というのは、どこまでいっても “手段” でしかありません。必要最低限のみを自力でやれば、あとは、自力以外のどんな “手段” を使っても構わないのです。このことを理解するかしないか・・・、が、キャリアを大きく変えると言っても過言ではない。 
    私自身、英語が 激ショボ の割に、何とか生き残れているのは、ひとえに 「目的達成のために、手段を選ばずにやってきた」 からです。実際、すごく泥臭いし、その瞬間は、カッコ悪いことも多かった。でも、今になって、「タカシはあのとき、英語が話せなかったので、通訳に頼ったよね! カッコ悪~」 という人は一人もいません。自力で英語を話すことに固執して、仕事を止めてしまうことの方が、はるかにカッコ悪いのです。 


     さて、コラムのタイトルから、「さぞかし、スマートなビジネス英語の使い方を教えてくれるんだろう・・・」 と期待された方、すんません、期待はずれで・・・。 でも、日系・外資系問わず、“デキる人” というのは、英語や資格、業務知識以上に、柔軟性があって、なんちゅうか・・・、“マメ” だと思います。また、英語ができないなら、代替策としてどうするか? どの代替策を取れば、仕事が進むか? そういう観点で、物事を捉えています。目先のスコア獲得、資格取得も重要です。しかし、ビジネスにおける成果は、結局のところ、「(手段はどうであれ)成果を上げたか?」に尽きるということ。これを忘れてはいけないでしょう。 


    では!

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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