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タカシの外資系物語

外国人エグゼクティブとのコミュニケーション術 (その1)2012.10.16

    タカシは “英単語” 嫌い?!

    まずは二十ン年前、高校時代の話から。 


    先生 「タカシ、前回の単語テスト、結果はどうだった?」 
    私 「20点でした・・・」 
    先生 「どうしてそうなるの?」 
    私 「全然勉強してなかったからです・・・」 
    先生 「あなた・・・、大学に進学する気あるの?」 
    私 「あります!」 
    先生 「・・・で、これからどうやって勉強していくの? まずは単語を覚えなきゃ、英語の点数なんて上がんないわよ!」 
    私 「毎日、30個の単語を覚えます。入試まであと3ヶ月ありますんで、日数に直すと、ざっと90日。30個 × 90日 = 2,700個 の単語をマスターしますんで、これで国公立の2次試験に臨もうかと、ハイ・・・(汗っ)」 


     何を隠そう、私は単語を覚えるのが大嫌いでして、学生時代にも、というか生まれて一度も真剣に取り組んだ経験がありません。学生時代については、経済的な問題もあり、私立文系への受験を全く考えていなかったのと、数学が(文系にしては)わりと得意だったので、数学で挽回するのでナントカなるか、と楽観的に構えていたのがその理由。しかし、それにしても、単語知らなすぎ! コツコツ勉強する気、まるでなし!!

     高校の英語クラスで、市販の 『試験に出る英単語 ナンチャラ』 みたいな本が配布されていて、その範囲を区切って、定期的にテストが実施されていました(しかし、前述の通り、20点以上を取ったことがありませんでしたが・・・)。その本では、ABC順に重要な単語が並んでおり、1つ目は “accept” これは今でも覚えています。2つ目は “beat”。 
    「お、“beat” といえば、“Beat it !” 息抜きに、マイケル・ジャクソンの “Thriller”(な、懐かしい・・・(T-T)) でも聴くか・・・」 となってしまい、“beat” の先、C以降に一向に進めず。ま、これでは駄目ですわな、ハハハ・・・。 


     私の英単語嫌いは、仕事で英語を使うようになって、ボディブローのように利いてきまして、今でも後悔をしています。経験的に、英会話の8割は、単語を知っていればナントカなります。高校までに習う基本的な英単語3,000語 プラス 仕事で使う専門用語500語 ぐらいを知っていれば、ビジネスにおける最低限の英語コミュニケーションは可能なんですよね。私の場合、仕事で使う専門用語は必要に迫られて覚えたんですが、基礎となる3,000語が 「“accept” と “beat” しかない!」(というと、極端ですが・・・)ため、どうにもならんわけです。繰り返しになりますが、英単語を真剣にマスターしなかったことについては、心底後悔しています。くれぐれもみなさんは、同じ轍を踏まないことを心から祈るばかりです・・・ 

    “ロジカル・シンキング” は必要か?!

    さて本日の本題である 「外国人エグゼクティブとのコミュニケーション」 に話を移しましょう。相手は “外国人” なわけですから、コミュニケーション手段としては、当然のことながら 英語。前述の通り、基本的な英単語力は必須となります。 
    しかし、英語はそれなりに話せているつもりでも、相手とのコミュニケーションがままならないことが、少なからずある。必死で話しているのに、相手はポカーンとしていたり、「ダメだこりゃ」的に両手のひらを上に上げるジェスチャーを連発したり・・・。挙句の果てには、「こいつでは話にならん!」とばかりに、会議を切り上げて、部屋から出て行かれる始末・・・。私も何度となく、同様の経験をしています。どうしてこうなるのか? 


    「論理的(ロジカル)に話せていないからではないか?」 


     その通り! 外国人というのは、物事をロジカルに話さないと受け入れてくれません。「AだからB。BだからC・・・」という具合に、話をつなげて、筋道立てて説明しないと、理解してくれないのです。 
    私の経験則では、これは英語に限った話ではない。英語を母国語としていない外国人と英語を話す際にも同様のことが起こる。つまり、英語が特殊なのではなく、われわれ日本人の方が、“非論理的” すぎるのです。 


     ということで、昨今、“ロジカル・シンキング” なるものが流行っています。物事を論理的に説明する方法やその考え方を紹介した本が書店に溢れかえっています。挙句には、“フェルミ推定(Fermi Estimate)” とかいって、「日本全国に郵便ポストはいくつあるか?」なんていう問題を、論理的に概算するような問題を扱った本がバカ売れする始末。特に、私が所属するような外資系のコンサルティング業界では、入社試験にこのような問題が出るとか言って、一種のブームになっています。ま、このような考え方は一種のツールとして重要であることは確かだし、説明に迫力が出るのも事実でしょう。 


     しかし! 外国人とのコミュニケーションで必要とされる 「論理性」 とは、こんな大げさな話ではない!! 相手の外国人だって、「日本全国に郵便ポストはいくつあるか?」なんてわかりもしないし、知りたくもありません。 

    “線形” の英語、“非線形” の日本語

    英語以外の理由で、外国人とのコミュニケーションがうまくいかない最大の原因は、「問われていることに的確に答えていない」ことにあります。どういうことか、説明しましょう。実は、冒頭の会話は、非常に的確に応答している例を挙げています。 


    先生 「タカシ、前回の単語テスト、結果はどうだった?」 
    私 「20点でした・・・」 
    → テストの点数を聞かれているので、20点と答えた 


    先生 「どうしてそうなるの?」 
    私 「全然勉強してなかったからです・・・」 
    → 20点しか取れなかった理由を問われているので、勉強していなかったからだ、と答えた 


     こう書くと当たり前のように見えますが、日本人がビジネスで英語を使う場合には、このような回答になっていないケースが多々ある。例えば、「先月の営業成績はどうでしたか?」と問われた際、営業成績が悪かったことを追及されているのだ、ヤバイなぁ・・・ と “先回り” して考えてしまうために、「いやぁ、実は別件のトラブル対応に手間取りまして・・・、予定した新規先を回れなかったんですぅ・・・」などと答えてしまう。「先月の営業成績」について問われているのですから、実績値はいくらか、予定をクリアしたのか、下回ったのか、それだけを答えればいいものを、先にその理由から答えてしまっているので、相手の外国人がイライラするのです。 


     もちろん、次に来る質問としては、まず間違いなく、「営業成績が悪かった理由は何か?」と問われるんですよ、実際のところ。でも、それは実際に質問されてから答えればいい。今問われているのは、営業成績の良し悪し、結果そのものであって、そうなった理由ではないのです。 



     私は、“英語の論理性” とは、このような単純な話なのだと思っています。英語のコミュニケーション(というか、日本語以外のコミュニケーション)は、いわば “線形” なんですよね。一方で、日本語は、“非線形”。話の先を見越して、どんどん先に進んでも、会話は成り立つ。「AだからB。すっ飛ばして、結局D・・・」とやってもいい。日本人の感覚では、「面倒くさいなぁ・・・ そんなこと、話の流れでわかるだろ!」ということも、いちいち丁寧に説明しないといけない。しかし、これこそが、論理的に話す、ということなのです。 



     さて、次回のコラムでは、相手を “外国人のエグゼクティブ” だと仮想して、論理的な説明の仕方を例示したいと思います。 


    (次回へ続く)

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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