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タカシの外資系物語

外資系における “いじめ” (その3)2012.09.18

    部下は “原材料” ?!

    (前回の続き) 前回のコラムでは、上司からのいじめ、いわゆる “パワハラ” について、日系企業の特徴をお話しました。 


    要約すると、日系の場合、部下にパワハラする上司には、「本当にパワハラをしている人」 と 「“愛のムチ”として、部下を鍛えている人」 の2パターンがあり、パワハラをしている人の大半は、「私は後者である」 と思い込んでいるのでタチが悪い・・・ という話。読者のみなさんも、何となく思い当たるフシがあるのではないでしょうか。今回は、外資系企業における “パワハラ” についてお話しましょう。 


    結論からいうと、外資系の “パワハラ” は、日系と比べると、いたって単純です。なぜなら、「“愛のムチ”として、部下を鍛えている人」は、まずいない。つまり、外資系で “パワハラ” をする上司は、ほぼ全員が 「本当にパワハラをしている」 のです!



    まず、外資系企業では、“愛のムチ” 的に部下を鍛える発想が、ほとんどない。なぜなら、短期間で実績を上げ、それを継続していくことに精一杯で、部下を育成する時間などないからです。 
    外資の場合、部下のスキルアップは、HRのTraining(人事の研修部門)と本人に任せられていて、上司はスキルアップを奨励はすれども、その責任は負いません。上司にとって、部下の能力・スキルは given(所与)であって、どうしようもないもの。上司ができることは、与えられたリソースを、いかに効率よく配置するか? もともと優秀な部下をフル回転させ、その一方で、イマイチな部下を当たり障りなく使って、最終的に閑職に追い込み、退職させるか? に尽きるのです。 


    ちなみに、外資系企業では、部下=社員のことを “リソース(Resource)” と呼びます。意味は、“資源”。もちろん、日本語でも “人的資源” といいますが、英語では “リソース(Resource)” といえば、一義には “人間” のことを意味します。ニュアンスとしては、“原材料” にも近い。要は、スタッフはgivenの原材料であって、それをどのように加工/料理するかが、上司の腕の見せ所なんですよね・・・) 

    外資で “パワハラ” をする上司の共通項

    話を戻しましょう。優秀な部下には、気持ちよく仕事をしてもらわなければならないわけで、“愛のムチ” なんて振るわない。そんなことをして、退職でもされたら大変です。よって、外資における パワハラ の矛先は、上司にとって、出来が悪いと思われている部下に限定される、というわけです。


    つまり、外資系企業で パワハラ を受けた場合、相当な確率で、上司はあなたを “出来の悪い部下” と判断していることになるわけです。では、もし自分が パワハラ を受けてしまったら、どう対処すればいいのでしょうか? 


    外資に転職して早や16年、かく言う私も、これまで無数のパワハラを受けてきました(No.155 『パワー・ハラスメントの功罪』 参照のこと)。 「Fナントカ YOU !」とか、最低に汚い言葉を浴びせられたことも、何回かあります。仮にもし、本当に私が出来の悪い部下で、上司にとって必要のない存在だったとしたならば、私はすでに数十回以上の転職を繰り返していたことでしょう・・・。しかし、実際には、私はまだ外資2社目。何とか、生き残っています。なぜか? それは、パワハラをする側の上司の方が、どんどん入れ替わっていくからです。だから、私が退社する必要がない。当該上司は、クビになるケースもあれば、配置転換になるケースもあります。いずれにしても、私がパワハラを受けた上司は、半年以上もったためしがありません。 


    これは、何を意味するのか? つまり、外資でパワハラをする上司というのは、総じて「出来が悪い」のです。だから、長続きしない。一般に、外資の役員クラスは、約2年で担当が替わるので、入れ替わりのサイクルは早い傾向にあります。しかし、半年で替わるというのは、外資においても早すぎる。ほぼ間違いなく、「出来が悪い」から替えられているのです。 

    合理主義が いじめ を生む!

    「出来が悪い」上司から、「お前は出来が悪い!」と言われても、気にする必要はないわけで・・・。その上司は、近いうちに消える。ひとまず、我慢、我慢・・・ 私はこの “法則” を、外資に転職して3年目ぐらいで発見しました。だから、上司からパワハラまがいの暴言を受けても、そんなにショックを受けずに飄々と生きていけるようになりました。 


    「なんか怪しいな、その法則・・・ うちの会社は外資系だけど、パワハラ上司が何年も居座っているけどな・・・」 
    そういう会社は、早めに辞めた方がいいかもしれません。もしかしたら、組織そのものが歪んでいるかも? 「逃げるが勝ち!」です。 



    これまで述べたことは、私の経験則からくる1つの見解です。もちろん、全てが正しいわけではありません。理想論でいえば、外資系だろうが、日系だろうが、本当に優秀な上司は、部下が優秀だろうが、イマイチだろうが、感情的に怒ったりしません。しかし、実際には、「人間」である以上、感情的になることもある。また、集団で仲間はずれを見つけて、ネチネチといじめを繰り返すこともある。これは、人間の本性なので、人間が集団生活をする以上、ある程度は仕方がないことなのです。 


    それに対抗したり、無理に頑張ったりする必要はありません。自然体で、飄々としていればいいのです。何度も言いますが、嫌なら逃げればいい。所詮、「仕事」です。あなたには、もっと重要なこと、守るべきもの、可能性のある未来 があるはずです。 


    昨今、日本のビジネス社会全体が、「がんばらなきゃ ダメ!」症候群に包まれているように思います。その根底には、アメリカ的合理主義、言い換えれば、MBA至上主義 ともいえる考えが横たわっています。アメリカの場合、そもそも幅広い階層が存在するため、この発想が受け入れやすい。一方、“一億層中流” の日本では、これまで和気あいあいとやってきたところに、いきなり、「優秀 or グズ」の判断指標を、全面的に採用するのは無理があるのです。大人の社会の変容を、子供は敏感に察します。私は、近年のいじめ増加の遠因は、小泉・竹中改革以降の極端な合理主義の影響を、大きく受けていると思っています。 


    この流れを修正するのは、今の政治には無理。やはり、“教育” なんです。合理主義は1つの考え方として認めながらも、“やさしさ” “思いやり” “助け合い” の重要性を、いかに子供に植え付けるか。教育がこれを担えるか否かが、その国の “地力” を表しているように思います。みなさんは、いかがでしょうか? 


    最後に、子役タレント:春名風花さん のメッセージを再掲したいと思います。 


    「・・・あのね。キモい死ねと連日ネットで言われるぼくが生まれた日、パパとママはうれしくて、命にかえても守りたいと思って、ぼくがかわいくて、すごく泣いたらしいですよ。この子に出会うために生きてきたんだって思えるくらい幸せだったんだって・・・ (中略) 想像してください。君がキモいウザいと思った人を、世界中の誰よりも、じぶんの命にかえても、愛している人たちのことを。そして、その人たちと同じように笑ったり泣いたりして君を育ててきた、君のお父さんやお母さんが、今の君を見てどう思うのか・・・」 (2012/8/17付 朝日新聞:朝刊より抜粋) 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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