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タカシの外資系物語

“ダイバーシティ”社会におけるキャリア女性の悩み2012.07.24

    Rickがご機嫌ナナメな理由

    不謹慎ですが・・・、会議中に、同僚とヒソヒソ話。 
    私 「おいおい、今日のRick、いつにも増して、ご機嫌斜めじゃないか ? 」 
    同僚 「そうだな・・・きっと、○○が少ないからじゃないの ? 」 


    さて問題です。上記○○とは何でしょう ???

    ●「発言が少ない」 → いい線つきますね。でも、仮にRick主催の会議で発言が少なかった場合には、“ご機嫌斜め”どころの騒ぎでは済みません。短気なRickのことですから、いきなり「Come back(後日やり直し) ! 」 と言って、会議を中止し、部屋を出て行くでしょうな・・・(実際、2回ほど、私も経験したことあり)。 
    ●「給料が少ない」 → Rickは上級パートナー(専務クラス)なので、かなりもらっているはず。だから、×(ま、給料は多い方がいいに決まっていますが・・・) 
    ●「参加者が少ない」 → 惜しい ! というか、ほぼ正解。ただし、参加者は参加者でも、女性。つまり、Rickは女性の参加者が少ないために、ご機嫌斜めというわけ。 


    どうして、女性の参加者が少ないとダメなのか ? 以前から、このコラムでもお話している通り、わが社をはじめとする外資系企業では、ダイバーシティ(Diversity:多様性) が重視されています。というか、ごく自然な発想として、定着していると言った方が適切でしょうか。なかでも、女性の活躍推進というのは、ダイバーシティの骨格を成しており、会議1つとっても、女性が参加していないなんてのは、ありえないわけです。 


    われわれの上司であるRickは、女性が会議に参加することの意義は、以下の通りだと言っています。 
    (1)多様な意見が出るから ← 文字通り、「多様性」に期待しています 
    (2)女性の意見は、はっきりしていてわかりやすいから ← Rickによると、会議がstuck(行き詰る)したときに、方向性を明確にできるのは、男性の意見よりも女性の意見なのだそうです。でも・・・これって、ホントにそうでしょうかねぇ ? ま、男性は周りに気を遣うあまり、思い切った発言ができない傾向にあることは認めますケド。こう、言い切られると、男として悲しいですな。 
    (3)会議が華やかになるから。 ← これは、その通り! 男ばかりの会議は、暗くてどんよりしてるし、なんか・・・、くさい ! (=おっさんくさい(私も含め(T-T))=加齢臭 ?! ) 


    “ダイバーシティ”と言ってしまうと、何だか義務的な感じがしますが、当然のことながら、ダイバーシティを推進することで、大きなメリットが期待できるわけでして、形式的にやっているわけではない。ということで、Rickのイライラもわからんわけではないのですが、そうすることで男ばかりの会議がますます沈滞感を増しても困る。はぁ・・・、こんなことなら、同僚のA子さんを誘っておくんでした・・・と、後悔しきり。 

    まだまだ、“絶対数” が足りない !

    最近、日本においても “ダイバーシティ” の重要性が議論されるようになってきました。一部の企業では、「ダイバーシティ推進室」といった専門部署が立ち上がり、本格的な盛り上がりを見せ始めているようです。また、少しずつではありますが、女性の役員や管理職も増えてきたように思います。 


    しかし、上記に述べたわが社の会議のように、女性がいたるところに普通に存在している状況には、依然として至っていない。これは、“絶対数”が全然足りていないからなのだと思います。例えば、先ごろ政権交代のあったフランスでは、フランソワ・オランド大統領率いる内閣34人のうち、女性閣僚はなんと17人 ! 実に、半数が女性です。重要ポストは男性が多く、女性は議員でない閣僚が多いとはいうものの、さすが“ダイバーシティ”先進国のフランスです。一方、日本では閣僚の女性比率が1割を超えるかどうかというレベルですから、雲泥の差があります。民主党も、これぐらい思い切ったことをやればいいのに・・・と思うのは、私だけではないでしょう。 


    さて、遅々とした歩みではなりますが、女性のビジネス参画機会は増えつつある、としましょう。では、主役である肝心の女性サイドに、その“準備”はできているのか ? 


    先日、同僚のB子が、ある公的法人が企画した、「次世代女性リーダー研修」に参加してきました。そのときの話を1つ。

    私 「お、B子 ! 先週、女性リーダーの研修に参加したんだよね ? で、どうだった ?? 」 
    B子 「うーーん、一言でいうと・・・、打ちのめされたって感じかな・・・」 
    私 「ん ? 打ちのめされたって、どういうこと ?! 」 

    “ダイバーシティ” は長期的な視点で !

    B子によると、男性に混じって仕事をする分にはうまく行くことも、女性だけになるとうまく行かないことがわかった、というのです。 


    B子 「タカシも理解してくれていると思うけど、私こう見えても、男性と対等に仕事をすることについては、それなりに自信あるのよね・・・」 
    (理解してますとも ! あなたには、これまで何度やり込められてきたことか・・・もちろん、助けてもらったこともたくさんあるけどね) 


    B子 「でも、女性だらけのチームで何かやろうと前に出ると、なんか浮いちゃうのよね。男性の中に混じっていたときとは、明らかに違う感覚。だれも私に同調してくれないというか、私の意見を受け止めてくれないというか・・・(T-T)」 
    (おいおい、いつも強気のB子が弱音を吐いてるぞーーー ! だれか、ビデオ回せーーー ! ) 


    B子 「男性って、そうじゃないと思うの。男性だけのチームでも、力のある人はうまくやるし、成果も上げる。現実の会社組織って、ほとんどそうだから・・・でも、女性って、結局、男性がいないと何もできないっていうか、実は男性に頼っているだけっていうか・・・うまく言えないけど、なんか、そんな感じがしたのよ。だから、打ちのめされた って言ったの・・・」 
    (なるほどねぇ、B子が言わんとしていることは、何となくわかる・・・) 


    私 「それは、男性だとうまくやれて、女性だと難しいっていう話じゃなくて・・・お互い様だと思うよ!」 
    B子 「えっ?」 


    私 「B子の言うように、日本のビジネス社会は長期間、男性が仕切ってきたという事実がある。だから、男性は、そういうことに“慣れているだけ”なんだと思う。一方、女性は経験値が足りないことが問題。実際、経験したくても、そういう機会すら与えられなかったんだけど・・・。だから、B子のように、リーダーを張る女性をバンバン増やして、機会をどんどん与えて、女性に経験値が増してくれば、B子のリードについてくる人も出てくるし、B子をサポートしてくれる人も出てくる。これからだよ!」 


    日本においては、女性がリーダーシップをとる体制は、まだ緒についたばかりです。男性も、そして女性自身も、まだその体制に慣れていない。だから、うまくいかないこともある。でも、企業というシステムが、その体制に慣れてくれば、きっとうまくいくと思うんですよね。もちろん、経営層のサポートは必須ですが・・・ 


    “ダイバーシティ”は、それを取り入れることで、一足飛びに劇的な効果が現れるものではありません。即効性のある効果を求めると、結局は、ズバ抜けて力のある人しか出てこなくなる。これは、“ダイバーシティ”の目指すところではない。試行錯誤を繰り返して、長い目で見ていかないとダメなんでしょうね。

    お互い協力し合って頑張りましょうね、B子さん ! 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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