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タカシの外資系物語

メール時代におけるコミュニケーション “危機” ( その 2 )2012.05.08

    おっさんvs若手:コミュニケーション不足の原因とは ?

    (前回の続き) 最近、若手社員のコミュニケーション能力を高めるために、独身寮を復活させる企業が増えているとのこと。そういえば、直接会話をせずに、全てメールで済ませてしまう若手が、そこかしこに見られます。パソコンに向かってパチパチすることが仕事だと勘違いしている輩の、いかに多いことか・・・なーーんて、ボヤいている“おっさん世代”のみなさん(私も含む) ! コミュニケーション不足の原因を作っているのは、本当に若手社員だけなのでしょうかねぇ ? 



    おっさん代表△△ 「入社2年目の○○ときたら、全ての返事をメールで返しやがる。俺が若い頃なんざ、先輩や上司に対しては、どんなささいなことでも、直接目を見て話したもんだ ! まったく、最近の若いやつときたら、なっとらん ! 」 
    若手代表○○ 「△△さんはああ言ってるけど、全てのコミュニケーションを直接会話で行うなんてナンセンス。メールという便利なツールがあるんだから、それを使いこなした方が合理的。自分がメール嫌いだからって、それを若手のせいにするのは本末転倒だよね ! 」 



    みなさんは、どう思われますか ? 冷静に考えればわかることなのですが、この話は「どっちもどっち」なんです。コミュニケーションは、基本的に直接行う方がいいに決まっています。その際は、相手の目を見ながら、誠意を持って話すのは当たり前。しかし、全てのコミュニケーションを直接行っていたのでは、時間ばかりかかって、仕事になりません。前回のコラムでお話したように、多数の人に対する周知連絡などは、メールを使った方が明らかに合理的です。つまり、直接会話かメールか、1か0か・・・の話ではない。適材適所、常識的に考えて、合理的な方を選択すればいいだけなのです。 
    にもかかわらず、どうして、企業におけるコミュニケーションが問題になるのか ? それは、コミュニケーション方法を常識的に選択する以前に、そもそも、「特定のコミュニケーション方法を採れない人が多くなってきたから」 なのです。最近の若手が、直接会話する形式のコミュニケーションを不得手とするのは、その典型例です。独身寮を復活させたりするのは、1つの改善手段といえます。一方で、おっさん側に問題はないのか ? 

    “おっさん世代” が IT に苦手意識を持っている理由

    私はむしろ、おっさん側こそ、深刻な問題を抱えていると考えています。それは、メールに代表されるようなコミュニケーション・ツールを使いこなせない、という問題です。使いこなせないのは自分に原因があるにもかかわらず、「最近の若い連中は、メールばかり使いやがって・・・」と “逆ギレ” している。こんな状態では、どんどん取り残されていってしまいます。 



    IT を使いこなす能力格差のことを、“デジタル・ディバイド”と言います。数年前までは、「若手」は“OK”、「年寄り」は“NG”という単純な構図だったのですが、最近は少し変化が出てきました。それは、会社を「リタイヤした層」が IT を使いこなすようになってきたため、会社に勤めている「おっさん層」を追い抜いてしまったのです。確かに、仕事以外で使うインターネットは楽しいし、使い方もすぐ覚える、というのは理解できる。iPadをはじめとするスマート機器は直感的に使い方を理解しやすく、ご年配の方にも受け入れられやすい。 
    一方、「最近の若い連中は、メールばかり使いやがって・・・」と “逆ギレ” しているおっさん層は、スマート機器を使おうともせず、旧来の“アナログ世界”の論理を振りかざして、文句ばかり言っている。結果、若者が先頭を走り、リタイヤ層がそれに続き、おっさんだけが取り残される・・・、という、新たな “世代間デジタル・ディバイド” の構図が台頭してきているのです。 



    では、どうしておっさん層(40代後半~50代)は、ITの世界で脱落する傾向にあるのか ? それは、企業におけるIT草創期の経験から来ているように思います。1980年代の後半から、通常の部署にもPCが導入され始め、いわゆる “OA(Office Automation)” の時代が始まりました。現在のオフィス環境の原型ができたわけですが、一方で、この時代のPCをはじめとしたIT機器は、本当に扱いにくかった。日に1回程度は何の前触れもなくダウンし、せっかく作った資料は水の泡・・・なんてのはザラでした。機器同士の接続も非常に難しく、プリンター・ドライバーを使ってプリンターと接続し、紙を印刷するだけでも一苦労。そして、その当時、末端の担当者としてIT機器と日々格闘していたのが、何を隠そう上述の “おっさん世代” に他ならないのです。 



    技術の進化に伴って、IT機器は安定し、複雑な設定なしに機器間の接続も可能となりました。オフィスPC黎明期に起こったトラブルなどは、今では笑い話にしかなりません。しかし ! 当時、ヒドい目に遭った “おっさん世代” には、その苦労と苦手意識が潜在意識として残ってしまったのです。「ITは厄介で、難しい・・・」 この潜在意識のために、“おっさん世代”は自らを閉ざしているのです。まずは、便利なITを体感し、二十数年前の “悪夢” から解放することが必要なのです。 

    飲み会か、Facebookか・・・ ?!

    実は、外資系企業にも、“おっさん世代”は存在します。しかし、日系企業と異なる点は、“おっさん世代”が苦手意識を持っていることを、企業がきちんと理解しているということでしょう。私が知っている米系企業では、“おっさん世代” 向けに、iPadの講習会を設けたり、スマホの優待販売を実施したりしています。IT施策については、“おっさん世代”に手厚く、若手は原則“放置プレイ”。若手は、放っておいても勝手にやりますからね。 
    もちろん、“アメ”とともに、“ムチ”もある。“おっさん世代”に対しては、社内システムの理解度をテストして、それを人事評価に反映させることも行っています。いずれにしても、企業として一貫しているのは、「どのような世代であっても、ITを使いこなせない者はダメ ! 」という姿勢を崩していないということでしょう。 



    コミュニケーションの問題も、根本は同じところにあるように思います。時代によってOA環境が異なるのと同様に、コミュニケーションの方法も変わってくる。以前は、face to faceが大半だったコミュニケーションも、時代を経るにつれ、メールの方が便利になってきた。それを是として受け入れるか、逆ギレして無意味に反発するか。また、独身寮を復活させるなどして、あたふたと対応するか。本当に重要なことは、企業としての “あるべきコミュニケーション” とは何か ? を真摯に追及することなのです。それなしに、表面的な印象のみで対応している感がぬぐえない。そこが悲しいですよね。 
    “おっさん世代”のみなさん(私含む)、夜の飲みも結構ですが、ときには、Facebookやtwitterを使って、部下や後輩とコミュニケーションしてみてはいかがでしょうか。設定が大変なんじゃないか、って ? 心配ご無用。最近のIT機器は、ほとんど設定なしに使えます。さぁ、苦手意識を捨てて、一緒にやってみましょう ! では !

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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