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タカシの外資系物語

“日本の大学生は勉強しない” に関する考察 ( その 3 )2012.04.24

    番外編 “何のために働くか ? ”

    (前回の続き) 前回までのコラムでは、「欧米の大学生は、日本の大学生よりも勉強時間が長い」という一般論に対して、私なりの見解をお話しました。 
    (1) 欧米大学生の勉強時間が長いのは事実だが、言われるほどではない(極端に長いわけではない) 
    (2) それより重要なことは、欧米の大学生の方が目的意識を持って勉強をしていること。よって、欧米の大学生の方が、大学時代の勉強が、社会人になってから役立つ可能性が高い 



    実は、コラムのお題に対する話は終わっているんですけど・・・、関連する話をいくつか、どうしてもお話したいと思いまして、「(その 3 )-番外編-」とさせていただきました(タイトル長くて、すみません・・・)。私がお話したいこととは、勉強や仕事に対する “目的意識” についてです。欧米ビジネスパーソンが抱いている目的意識について、まずは、私の体験談からお話したいと思います。 



    少し前になりますが、私がパートナーに昇進した直後に、ニューヨークの本社にて、ある会合がありました。会合の目的は、 US 本社社長からの訓示 と 本社人事部門のえらいさんとの面談、および新任パートナー同士でのディスカッションでした。 
    新任パートナーによるディスカッションの冒頭では、各人が自己紹介をしたのですが、そこで私はあることに気付いたのです。 



    新任パートナー:タカシ(日本) 「はじめまして、日本支社の金融部門に所属している奈良タカシです。本年度、私の組織では、次のような戦略を進めています・・・」 
    新任パートナー:ジェームス(アメリカ人) 「アメリカ本社のジェームスです。 2015 年に株価を倍増するという全社戦略を達成するために、私の部門では、以下の策を進めています・・・」 
    新任パートナー:タオ(中国人) 「上海支社のタオです。 2015 年ロードマップにある株価倍増を見据え、上海支社では○○部門の増強をはかっています・・・」 

    “目的” は口にしない日本人

    みなさん、私と他の新任パートナーとの差異は何か、お気付きでしょうか ? わかりやすくするために少しオーバーに書いていますが、要は、「仕事をする上での “目的” が明確か否か ? 」 ということなのです。わが社では、「 2015 年に株価を倍増する」という大戦略を掲げています。当然のことながら、私もその戦略は十分に理解しています。しかし、自分が日々やっている仕事と、「株価倍増」とは、意識の上で直接的につながってはいない。こんなこと言うと経営陣に怒鳴られそうですが、「頑張って働けば、結果として、株価は上がるだろ・・・」程度の認識しかない、というのが正直なところです。 



    一方、私以外のメンバーは、「株価倍増」という “目的” が明確で、それを達成するために仕事をしているのだ ! という論理展開で話をしています。実際には、「それをやったからといって、株価倍増にどうつながるの ? 」という話も少なからずあるのですが、多少のツッコミは気にせず、ある意味 “愚直なまでに” 「株価倍増」のために ! と言い続ける。この差が大きいのです。日本人なら、「株価倍増を目指すなんてのは、分かりきっている話だから、わざわざ口に出しません・・・」とばかりに、端折ってしまうのです。結果、日本の企業組織では、仕事に対する目的意識が、非常に希薄になってしまう傾向が強い。 
    これって、仕事だけじゃなく、勉強にも相通じるところがあるように思います。前回のコラムでお話したように、“手段” の獲得であるはずの勉強(≒難関大学への入学)が、“目的” にすりかわってしまう理由は、目的意識そのものが希薄であることの証左ではないでしょうかね。 

    “目的” を体系化する !

    「人はなぜ働くのか ? (働かなければならないのか ? )」 = ここでは、「働く」 を 「勉強する」 に置き換えても同義ですね。 



    すんごい重いテーマですよね。哲学的な見解は先人にお任せするとして・・・ 単純に考えて、勉強する理由、仕事する理由とは、“目的 を達成するため” だと思うんですよね。で、私が欧米の同僚と一緒に働いていて気付くのは、彼ら・彼女らが抱いている 主な“目的” というのは、以下の 4 点ではないかと思うのです。 
    1. お金を稼ぐため ・・・ 生きるために必須 
    2. 社会に貢献するため ・・・ キリスト教的な発想が強い 
    3. 自己実現のため(スキル向上等) ・・・ マズロー(※)が言う、人間の基本的欲求も含む (※マズローの理論については、またの機会にお話します) 
    4. 所属する組織(≒会社)の戦略を実現するため ・・・ 1.2.3. を実現するための より具体的な目的 



    ベースは、 1.2.3. の達成です。それを、どんな仕事・どの組織で達成するか、という意味で、4.がある。言い方を変えると、4.の実現を通して、 1.2.3. を達成する、という発想です。4.は “目的” なのですが、 1.2.3. を実現するための、ある意味 “手段” として位置付けられています。 
    加えて、日常的に意識して、事有るごとに口に出すのは4.です。 1.2.3. は当然のことなので、口に出さないし、ほとんど話題にもしない。あくまでも、4.主体なのです。なので、冒頭のような、全社戦略を意識した発言が、自然に出てくるのです。 



    2.については、キリスト教の発想として、「社会に貢献するのは義務である」という意識が強く根付いています。だから、ボランティア的な行動は、欧米人にとっては、“義務” に近いんですよね。3.については、特にアメリカ人は積極的ですが、会社などの公の場で、また、第三者がいる前で、それをことさらに話題にすることは少ないように思います。上司との面談では話題になることもありますが、4.を差し置いて2.を重視する、ということはない。 



    一方、日本人、特に最近の日本人というのは、1.~4.がごちゃごちゃに混在しているイメージです。4.(会社の成功)を度外視して、3.(自分のスキル向上)を強調したり、2.(ボランティア)に走ったり・・・ 会社という組織に所属している以上、まずは、4.を達成させて、 1.2.3. を実現するのが筋なのに、そうなっていないのです。 



    戦後、焼け野原になった日本では、まず1.の達成が必須でした。全員がそれに向かって邁進した結果、予想をはるかに上回るスピードで、4.を実現する企業が台頭した。これは私見ですが、この成功体験が社会のベースとなっているために、仕事に対する目的意識を整理しない傾向が根付いてしまったのではないでしょうか。目的意識がなくても、「とりあえず、いい大学に入れば、いい暮らしができる」「とりあえず頑張れば、報われる」という “幻想” が社会通念となり、常識となった。結果、目的意識やチャレンジ精神に乏しい世の中を生んでしまったような気がするのです。みなさんは、どのようにお考えでしょうか ? 



    “目的” を達成するのは楽しいはず。だから、勉強も仕事も楽しいはずなのです(やっている瞬間は、間違いなく苦しいですが・・・(T-T))。自分自身が、十分にはそうなっていないことを恥じつつ、常に目的意識を明確にして過ごしていければいいなと思う、今日この頃です。では ! 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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