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タカシの外資系物語

“日本の大学生は勉強しない” に関する考察 ( その 2 )2012.04.17

    欧米と日本における “予習” の違いとは ?

    (前回の続き) 「 1 日平均 4.6 時間」 - これが、当世日本における大学生の勉強時間です。実際には、 4.6 時間すら、やっていないような気もするけど、まいっか・・・ 前回のコラムでは、私の個人的な反省を踏まえ、学生時代にやっておくべき勉強(英語・簿記・パソコン)・やって良かったと思える勉強(古典書の通読) についてお話しました。今回は、「じゃ、欧米の大学生は、日本人よりも勉強しているのか? 加えて、その勉強は、社会に出てから役に立っているのか ? 」 という点についてお話したいと思います。



    一般に、欧米の大学生は、日本の大学生よりも長時間勉強していると言われます。そのこと自体は、事実だと思います。欧米の大学は卒業するための単位取得基準が厳しいですし、授業も教授との双方向対話のゼミ形式が中心ですから、受身の座学形式よりも、事前の予習が必要です。私も、今の会社から、短期MBAで海外の大学院に行かせてもらいました(No.313 『あ~アメリカ、憧れのビジネス・スクール』参照のこと)が、そこでも参加者はそれなりに予習をしていました。が、極端に長時間勉強しているかというと、そうでもない。ま、“それなり” のレベル。明日の授業に備え、テキストに目を通して、概略理解したら、それで終わり・・・ です。 



    一方、“海外に留学した日本人” は、メチャクチャ長時間勉強します。睡眠時間 3 時間で、残りは全て勉強・・・というのはウソではない。というか、そうしないと、授業についていけないんですよね。テキストも、かなり本格的に読み込んでおかないと、本番のクラスでは何言ってんのかわからないし・・・。私もたった 1 週間(短かっ ! )の短期留学でしたが、大学入学以来、ここ 20 数年で最も勉強したように思います(それまでほとんど勉強してこなかったという説もあるが・・・)。 



    あと、欧米の学生と日本の学生を比較した場合、予習の “方法” もかなり違うように思います。欧米の学生は、事前にテキストを読んでわからない点があったら、「何がわからないのか ? 」を具体的にして、それで予習は終えます。実際のクラスでは、「私は、この部分がわかりませんでした。みなさんはわかりますか ? 」という問いかけをする感じで、自分がわからないことを公にし、平然と質問をします。一方、日本の学生の場合、予習でわからない部分があると、その“答え”を出すまで予習を続けます。 

    日本人の “予習” が、欧米人に “横取り” される ?

    両者の違いを、実際の授業風景として紹介すると、こんな感じになります。 



    欧米人学生 「・・・前回の宿題だった、“ネット業界における革新的なビジネスモデル事例” についてですが、ネット業界といっても、対象とする時期を分けて考えないと、議論の整理ができないと思います。ネット業界を時系列で区分する場合、どのような分け方ができるでしょうか ? 」 
    日本人学生 「えーーっと・・・、インターネット草創期・成熟期、ここまでは PC 主体ですね。次に、モバイル端末の発展と、 Facebook に代表される SNS の時代でしょうか・・・」 
    欧米人学生 「そう ! それでいきましょう。次に、それぞれの時代における代表的なビジネスモデルは ? 」 



    日本人学生 「草創期の主役は、インターネットというサービスそのものを提供していたプロバイダ、成熟期になってアマゾンなどのショッピングサイト・・・」 
    欧米人学生 「そうです ! 素晴らしい !! 教授、こんな感じですが、どうでしょう ? 」 
    日本人学生 「・・・・・・(全部、俺の回答やんけ ! (怒 !!! ))」 



    上記のやり取りにおけるポイントは、実際の作業(事前に回答を準備する=予習)は、日本人学生がほとんどやったにもかかわらず、その成果(ここでは、教授の評価)は、むしろ欧米人学生の方が高くなりがちだということです。 



    時間のかかる作業は日本人がやったにもかかわらず、外国人に仕切られて、成果を横取りされてしまう・・・ 似たようなことは、外資系企業の現場では、頻繁に起こっています。日本人の感覚では非常に理不尽な印象を受けるのですが、これこそ欧米、特に米国流の “エリート教育” に他なりません。上に立って導くリーダーとは、「問題提起をし、判断基準を与え、作業を割り振ることができる人」であって、「直接的に作業をする人」ではないのです。一方、日本におけるリーダーというのは、「直接的に作業をする人」が実績と経験を積んだ結果として、上に立っている人がほとんどです。いわば、年功序列の結果であって、欧米でいうところのリーダー像とは異なります。以上のようなリーダー像の違いが、日本学生と欧米学生の勉強の仕方に反映されていると、私は考えています。 



    いずれにしても、実際には、巷で言われるほど、欧米の学生が勉強しまくっているわけではない。「欧米の学生が勉強する」というのは、英語にハンデのある日本人留学生が、自分自身の経験(毎日徹夜で勉強せざるをえなかった苦い思い出)とごちゃまぜにして、ややオーバーに伝えているという面が大きいように思います。 

    「東大に行きたい」 は、“目的” or “手段” ?

    では、日本と欧米における学生の勉強時間は、それほど大差ないとして、異なる点はないのでしょうか ? 



    1 つ大きく異なるのは、「目的の立て方」の違いだと思います。欧米の学生(というか、欧米人一般)は、目的を中長期かつ具体的に立てます。これは、勉強に限ったことではなく、何でもそう。一方、日本の学生(というか、日本人)は、目的が短期にもかかわらず具体性がなく抽象的な場合が多い。 



    例えば、日本人の高校生には、「東大に行きたい」「早慶に入学したい」という人が多く存在します。しかし、その先の目的は “未定” という人も多数いる。本来なら、先に “目的” があって、それを実現するための “手段” として大学進学を捉えるべきなのに、そうなっていない。本末転倒と言うと言い過ぎかもしれませんが、大学進学が “目的” になっている人があまりにも多いのではないでしょうか。だから、高偏差値の大学を出たにもかかわらず、社会に出ると使えない人が結構出てくる。そういう人って、大学進学が最終目的になっていて、既に燃え尽きてしまっているんですよね、困ったことに・・・ 



    アメリカ人には、ハーバード大学に行く学力があったにもかかわらず、その先の目標を見据えて、偏差値的にはレベルの低い大学に進学した人も相当数います。その人にとっては、自分の目的のためには、手段としての「ハーバード進学」は優先度が落ちたということなのです。日本の場合なら、東大に入る学力と環境が揃っていれば、とりあえず、東大に入ると思うんですよね。 



    資格も同じです。「英語が話せるようになりたい」「簿記を理解したい」というのは、“手段” であって、“目的” ではないはずです。「英語が話せるようになりたい」 → 「なぜ ? 」 → 「外国に自社製品を売り込みたい」 「途上国で社会貢献をしたい」 ・・・、この「なぜ ? 」の後のセンテンスの方がメインなのに、それが不明確だったり、全くなかったりする日本人が多いのです。 
    私は、この点が非常に残念でなりません。日本人は、“手段” を追求して駆使する能力は高いのに、“目的” 実現の観点で見劣りする。日本の教育も、“手段” の指導は一流ですが、“目的”を実現する手助けやコーチングはほとんどしない。前述の通り、英語も “手段” です。それを使って何ができるのか、その可能性を示唆し、授けることこそ、教育の使命だと思うのですが、いかがでしょうかね。 



    さて、実はもう 2 つ、お話したいことがあります。“手段” と “目的” について、私がわが社の国際会議で体験した、ある出来事。そして、そこから見えてきた、欧米人の職業観。それらについて、次回のコラムでご紹介したいと思います。 
    (次回へ続く) 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

    「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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