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タカシの外資系物語

“日本の大学生は勉強しない” に関する考察 ( その 1 )2012.04.10

    「1日平均4.6時間」 の持つ意味

    春爛漫 ! この原稿が掲載される頃には、多くの地域で、桜の花も満開に近い状況なのではないでしょうか。通勤電車の車内でも、スーツに不慣れな、明らかに “新入社員”然 としたみなさんが、眠い目をこすりながら新聞記事を読んでいる光景を目にします。毎日朝早くに起きるのはキツいっすよね ? 20 年以上社会人をしている私ですら、この季節は特に眠いのですから、 3 月まで昼過ぎまで寝床でゴロゴロしていた学生のみなさん(失礼 ! )の眠さたるや、相当なものでしょう。ま、そのうち体も慣れてきます。頑張っていきましょう ! 



    先日、以下のような記事が新聞に載っていました。

    「 1 日平均 4.6 時間」。 日本の大学生が講義を含めて 1 日に費やす勉強時間という。文部科学省の中教審はこの倍が必要だとして、問題視している。「学生の勉強時間をもっと増やしなさい」と、大学に求めるかどうか検討を進めているところだ・・・ (2012/3/22 読売新聞朝刊) 



    まず、 4.6 時間が多いか、少ないか・・・ 私の感覚では、「 4.6 時間て・・・ 実際には、そんなに勉強してないだろ ? 」という印象です。大学の講義が、 1 コマ 90 分として、 3 コマ出席すれば 4.5 時間。一見すると、 4.6 時間というと妥当な感じもします。が ! “平均” ですからね、“平均”  ! 全く勉強しなかった日があるとすれば(結構あるはず)、その不足分 4.6 時間を、どこかでリカバリーしないと、平均 4.6 時間にはならないわけで・・・ 当たり前ですけど。 余談ですが、日本数学会の調査によると、「大学生の 4 人に 1 人が、“平均”の意味を正しく理解していない」という結果も出ているようで、もしかしたら、「 1 日平均 4.6 時間」を導き出した大学生の回答そのものに誤解があったんじゃないか、と勘ぐりたくもなります。 



    もちろん、文系と理系、また学年によっても勉強時間に違いは出てくるでしょうが、日本の大学生の大半を占めるであろう文系学生において、「 1 日平均 4.6 時間」という勉強時間は、かなり怪しいように思います。私の経験( 20 年以上前で恐縮ですが・・・)も踏まえると、ま、いいところ 「 1 日平均 3 時間」程度ではないでしょうか。ですから、中教審の要請をまともにとらえると、現状の 3 倍必要だということになります。こりゃ、ハードル高いですね・・・ 

    大学時代の勉強は、役に立つのか ?

    では、実際問題として、学生時代に勉強したからといって、それが役に立つか ? という観点で考えてみましょう。 



    私の経験( 20 年以上前で恐縮ですが・・・)でお話しすると、勉強すべきだったこと、勉強して良かったことの 2 つがあるように思います。 
    まず勉強すべきだったと後悔しているのは、「ビジネスを進める上で必要な技やルールの習得を、本当の基礎レベルでいいので勉強すべきだった」ということです。ここでいう “必要な技やルール” というのは、英語・簿記・基本的な法律・・・ などです。現在なら、 PC スキルなんてのも含まれるでしょうね。もちろん、これらの習得は社会人になってからでも十分間に合いますし、むしろ就職後の方が、自分が習得すべきスキルが明確になって、勉強の効率が増すのも確かでしょう。しかし一方で、社会人になってからでは、絶対的な “時間” が足りない。特に、英語は勉強した時間数に比例してスキルが伸びます。「学生時代、ダラダラと遊ぶヒマがあったら、英語をきちんとやっておけば良かった・・・(T-T)」という後悔の念は非常に大きい。 ESS という英会話サークルに所属して、それなりに英語を勉強していた(つもりの)私ですらそう思うのですから、これは世のビジネスパーソン一般にいえることなのではないかと思います。 



    次に、大学時代に勉強して良かったこと。私がそれなりに胸を張って 「勉強した」 と言えるのは、経済学(かなり浅い)・数学(限りなく浅い)・複雑系(いまだに、何のことかわからん)・・・等々です。実は、 10 年ぐらい前までは、「大学で勉強したことなど、社会に出てからは、一切役に立たない ! 」 と、私自身でも思っていました。しかし最近は、少しだけ考えが変わってきています。 
    1 つの理由としては、「私が大学で勉強した内容で、クライアントと盛り上がることが多くなった」ということ。最近は、商談時に話す相手に、同世代の人が多くなってきました。私は典型的な文系学生だったので、私と同様の学生時代を送った人は、企業の部長・課長クラスに相当数存在する。つまり、私と同じような人が商談相手になる確率が高いわけです。 
    「マクロ経済学 ? やりましたねぇ・・・、中谷(巌)先生の赤い本でしょ ? 」  
    「複雑系って、当時流行りましたよね ? 1/f ゆらぎ、ってやつですね」  
    などと、会話が弾むわけです。ま、これをもって、役に立ったと言えるかどうかは別として、顧客との円滑なコミュニケーションには、間違いなく寄与しています。 

    “コピペ” ではない 知識 を身に付ける

    大学時代の勉強が役に立っていると思える、もう 1 つの理由。それは、いわゆる “古典書” をそれなりに読み込んだ(というか、正しくは「無理やり読まされた」・・・)ことでしょう。それにより、知識のベースというか、思考の重みというか、そういうものが得られたのは確かです。 
    私にとっての “古典書” というのは、マルクスの『資本論』 や ケインズの『一般理論(※)』 などです(※正式には、『雇用、利子および貨幣の一般理論』です。長いわーーっ ! )。正直、社会人になってしまうと、このような古典は、よほどの物好きでない限り、まず読まんでしょう。しかし数百年も読み継がれている古典というのは、やはり、読む価値がある。マルクスの『資本論』は社会主義革命の啓蒙書のように思われていますが、実際には、資本主義の矛盾を衝いた内容で、資本主義に生きるわれわれに、大きな示唆を与えてくれます。もちろん、社会主義国家における考え方のベースも理解できます。また、ケインズの『一般理論』における “有効需要の創出” という考え方は、今でも先進主要国の経済政策の支柱となっています。 



    経済学にかかわらず、哲学・中国思想・歴史書(特に世界史)・長編小説(私のオススメは、ドストエフスキーの『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』などロシア小説!)の古典には、学生時代に是非接しておくべきでしょう。取り組むにはそれなりの覚悟と準備が必要です。だからこそ、時間のある学生時代にすべきなのです。しっかり読んで、人類の叡智の一端に触れることで、人間性に厚みが出ます。古典書の通読というのは、十分におつりが来る、価値の高い “勉強” なのです。 
    最近は、インターネットでお手軽に知識や情報を収集することが可能です。いわゆる “コピペ” でレポートを仕上げれば、効率的でしょう。しかし、対人関係において “コピペ” はできません。お手軽検索ではなくて、古典に真正面から取り組むことで、臨機応変に操ることが可能で、普遍的な “知識” を得ることができます。特に、現役の学生のみなさんにはトライしてほしいと思います。 



    さてさて、なんか、おっさんの説教みたいな内容になってしまいました。今回のテーマに関して、実はもう 1 つお話したいことがあります。それは、「じゃ、欧米の大学生は、日本人よりも勉強しているのか ? 加えて、その勉強は、社会に出てから役に立っているのか ? 」 という点。結論から言うと、時間の過ごし方という意味では、日本の学生も欧米の学生も、大差はないと思います。実際には、巷で言われるほど、欧米の学生が勉強しまくっているわけではない。では、どうして、「欧米の学生は勉強する」という一般論がまかり通っているのか ? 一方で、日本と欧米における学生の勉強時間が大差ないとしても、 1 つだけ大きく異なることがある。それは、何か ? ・・・ 次回は、これらについてお話したいと思います。 
    (次回続く) 

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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