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タカシの外資系物語

昇進したくない症候群 ? -女性のワーク=ライフ志向- ( その 2 )2012.01.17

全ての女性は、バリバリのキャリアウーマン ?!

前回の続き) 年末の役員人事で、見事パートナー昇進を果たした 2 名の女性 B 子と C 子。この二人に共通するのは、仕事ができる ということ。一方で、常に上昇志向の B 子に対して、上昇志向はあるものの仕事以外の時間も欲しい C 子。今回のコラムでは、「上昇(出世)志向」 と 「ワークライフバランス」 という観点から、女性に対する人事施策の問題点を検討してみたいと思います。
(注:このテーマは女性に限定されたものではないですが、課題が顕著に出ているという意味で、女性を中心に取り上げたいと思います。男性のみなさんも、立場を自分に置き換えて読んでみてください)

 

「上昇志向」があるか・ないか、「ワークライフバランス」を重視するか・しないか(=仕事以外に時間をかけたい or 仕事に大半の時間をかけてもいい) という観点でみると、以下の 4 分類に分けることができます。

 

【ワーク=ライフ志向モデル】
(1)キャリア重視型 ・・・ 上昇志向が高く、仕事に大半の時間をかけることを厭わない
(2)ワークライフバランス型 ・・・ 上昇志向はあるが、家庭・介護など、仕事以外にも相応の時間を確保したい
(3)自己能力開発型(スペシャリティ型) ・・・ 会社での出世よりも、自分の専門性向上を重視する。仕事に時間をかけることを厭わない(が、自分の能力開発に寄与しない仕事は避ける傾向あり)
(4)ライフ重視型 ・・・ 上昇志向はそれほどなく、プライベートにかける時間を重視する

 

前回のコラムで紹介したB子は「(1) キャリア重視型」、C子は「ワークライフバランス型」に該当すると思います。(1)はいわゆる、バリバリのキャリアウーマンというやつですね。
女性の活躍推進を進めたい企業としては、(1)~(4)それぞれのタイプに対して、いかに効果的な策(対応)をうつかというのが、重要になってきます。が、実際問題として、従来は、(1)だけを重視する傾向が強かったことは否めないと思います。 80 年代の「男女雇用機会均等法」により、女性の「大卒総合職」が採用され始めたわけですが、彼女らは (1) としてしか見なされなかった。全員が「バリバリのキャリアウーマン」として扱われたわけです。

 

その結果、ごく一握りの女性は、昇進という意味では成功したものの、その代償も大きかった。婚期が遅れたり、家庭を犠牲にしたり、等々。このような代償は、男性社員には起こりにくい、というか、ほとんど起こらない。なぜなら、最後は妻である女性が折れて、家庭に入るケースがほとんどだったからです。女性に(1)のタイプを要求しておきながら、都合のいいときにだけ、「男性が仕事をして、女性は家庭を守る」という旧来の考えを並存させたところに、(男性中心の)企業側の失敗があったように思うのです。女性に(1)のタイプを要求するなら、それを後押しする仕組みやルールが必要です。形式ではない実質的な定時退社(本当の “残業なし”) や 企業内の保育園設置 などは必須でしょう。しかし、実際には対策は皆無で、女性にだけ自己努力を求めたのです。このような中で、成果を上げて昇進を果たした女性の努力は筆舌に尽くしがたいものがあったろうと察します。

 

 

ライフステージに合わせたキャリア・モデル

女性にとって働きやすい職場を作るということは、そのライフステージに合わせて、適切な仕組み・ルールを提供するということです。女性の典型的なライフステージは、以下のような感じではないかと思います。そのステージによって、取るべき 【ワーク=ライフ志向モデル】 は変わるべきなのに、男性と同様に、一律 「(1) キャリア重視型」で扱われたところが問題だったのではないでしょうか。

 

【女性のライフステージ合わせたモデルの適用】
- 新入社員~戦力化 ・・・ 「(1) キャリア重視型」 をベースに、キャリアの基礎を作る
- 結婚~出産 ・・・ 休職によるスキルの棚卸・充電期。家庭で自己スキルを磨く「(3) 自己能力開発型」もありえる
- 子供:幼児期 ・・・ 「(4) ライフ重視型」
- 子供:小学校に上がる ・・・ 「(2) ワークライフバランス型」
- 子供に手がかからない時期 ・・・ 「(1) キャリア重視型」に復活
- 親の介護が始まる ・・・ 「(2) ワークライフバランス型」 ~ 「(4) ライフ重視型」


企業が女性の活躍を期待するなら、ライフステージに合わせた特徴を理解し、それを支援する仕組みやルールを提供しなければなりません。その点において、外資系企業はかなり進んでいると思います。前述の「残業なし」は当たり前だし(実は、会社での残業がないだけで、家では仕事をしている外資系社員が大半ですが・・・)、大手を中心に、企業内幼稚園も設置するところも多い。また、休職や短縮労働期間を経ても、昇進の観点から見て、大きなマイナス評価にならない、という点も大きいでしょう。物理的な仕組みの提供 および 女性が不利にならない評価制度 が相まってこそ、女性の成功が実現します。外資における女性のトップ層を見ても、その多くが、タイプ(1)以外の時期を経たにもかかわらず、トップにまで登りつめています。これは、現状の日本企業(特に大手)では難しい。タイプ(1)以外の時期を経た瞬間に、その人のキャリアは、出世という意味では、ほぼ終わってしまうからです。

仕事がデキる女はツライ ?!

企業としては、全員が「(1) キャリア重視型」という前提に立った方がわかりやすいし、策もとりやすい。しかし、現実はそうではない。ならば、(1)~(4)のタイプに合わせた策をとる必要があります((1)については上述しましたので、以下では(1)以外について、とるべき対策を述べたいと思います)。
 
「(2) ワークライフバランス型」の課題は、本来(2)に該当すべき人を、企業側が「(1) キャリア重視型」に分類してしまっている・・・ ということではないでしょうか。先週紹介したC子などは、まさにその典型です。親の介護のために、一定時間を仕事以外に振り向けたい・・・ にもかかわらず、会社はそれを認識していない。そればかりか、他の人より優秀なために、どんどん仕事が降ってくる・・・ 企業としては、ワークライフバランスを実現するための 仕組みとルール を提供するとともに、社員の状況(というか、真の意向)を理解しなければなりません。仕事ができる人は全員、「(1) キャリア重視型」に該当するわけではない、と肝に銘じるべきです。
 
「(3) 自己能力開発型」「(4) ライフ重視型」については、次回のコラムでお話したいと思います。
(次回続く)
 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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