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タカシの外資系物語

女性の社会進出を邪魔する“レガシー”とは ? ( その 3 )2011.11.01

男性が女性に抱く、畏敬の念からくる“恐怖心”とは ?

前回の続き) 前回のコラムでは、「女性の社会進出(会社での昇進も含め)を阻害している元凶は、“男性” にある」 というお話をしました。今回は、私がそのように考える理由からお話したいと思います。

私が、「“男性” が悪い」と言い放っている最大の理由は、女性の社会進出を声高に叫びながら、行動が全く伴っていないからです。“ダイバーシティ推進室”を作って、女性を室長にするだけで、具体的には何も施策を打たない(「それは、アナタが考えろ」と女性室長に振る)・・・ “イクメン”が流行りだと大騒ぎしていながら、だれも休暇を取らない(無言の圧力で「取らせない」)・・・ 等々、数え上げたらキリがない。なぜ、こういう事態に陥るのか ? それは、やる気がないから です。では、なぜ、やる気が出ないのか ? それは、何も変えずに、現状維持でいることの方が心地いいからです。

 

物事の是非、有効性を問う以前の問題として、「やる、やる」と言っておきながら何もしないのは、極めて悪質で罪が重い(もちろん、“ダイバーシティ推進”や“イクメン”策が功を奏している企業もあります。しかし、大多数は上記のような、分詰まりの状態ではないでしょうか)。

 

男性が、女性の社会進出を心地よく思わない理由は、「恐怖心」があるからではないかと思います。自分の地位を脅かされるのではないか(今以上に肩身が狭くなるのではないか)、という恐怖心もさることながら、そうなった世界 - 自分の上司または同レベルのランクに、普通に女性が配置されている状況 - が、想像できないから恐い。とかく、人間というのは、未知のことに対して、過剰な恐怖心を抱くものです。

 

私だけの個人的な感覚かもしれませんが、男性の多くは、女性に対して、潜在的に「畏敬の念から来る恐怖心」を抱いています。それは、自分ができないことができる人、自分より優れている人に対するコンプレックスに似ています。男性はどう頑張ったって、子供を産めません。世の中の女性全員が、「子供産まない」ストライキでもやれば、人類はいとも簡単に滅亡します。ま、これは極端な話だとしても、例えば、学生時代の成績 1 つ取っても、女性には敵わなかった印象がある。男性の場合は、ガリガリと死ぬほど勉強して、やっと一番をとるようなタイプが多い一方で、女性の秀才はドラえもんの静ちゃんみたいに、平然と成績上位をキープするタイプが多い。そういえば、大学の学部でも、首席は女性だったように記憶しています。

 

体力面も同様で、男性は力作業や瞬発力に優れる反面、持続力というか、“底力” がない。私なんぞも、過度にプレッシャーがかかると、すぐにお腹が痛くなる(実は、こういう男性は非常に多いのです。弱っ ! )。最後の踏ん張りは、間違いなく、女性の方に分があるように思います。

“女性の社会進出” における発想の違い

 

日本における伝統的かつ典型的な考え方として、「男性は外で仕事をする、女性は家庭を守る」というものがあります。これは“狩猟型”社会の考え方で、“農耕型”社会の日本に、どうしてこのような考え方が根付いたのか不思議で仕方ないのですが、一方で、高度成長期においては、これが大いに寄与しました。高度成長期というのは、乱暴に言えば、だれがやったって、儲かるし、発展する。だから、男性にやらせておけばいい。女性は、より重要な“任務”、つまり、子供を育て、教育し、次世代のリソース(人材)を供給する側に特化した。その結果、前線で馬車馬のように働く有能なリソースが、切れ目なく市場に供給され、長期にわたる経済発展を遂げたのだと思っています。

 

しかし、時代は変わりました。単純な労働では発展しない時代を迎え、より高度なリソース・これまでとは発想が異なるリソースで勝負しないと、日本は沈下する一方です。今こそ、女性に前線に立っていただかないと、えらいことになってしまう・・・ というのが、私の主張の根本です。男性としては、かなり自虐的な考え方なんですが、偽らざる本心です。

 

上記のような考え方は、日本の、特に男性においては“異端”ではないかと思います。そりゃそうでしょうね、自己否定ですから・・・。異論反論はあると思うのですが、言っていることは理解いただけると思うんですよね。

 

一方で、この話を外国人にしても、一向に理解されないのです。その理由は、「男性は外、女性は内」とか、「外の仕事においては、男性の方が優れている」といった発想そのものが、彼ら・彼女らの中に存在しないからです。もっといえば、“女性の社会進出” という言葉そのものが、日本とは違う次元で使われています。それは、女性が優秀であることを前提に、「優秀な女性にもっと社会進出してもらわなければならないにもかかわらず、社会や企業のルールがそうなっていない。だから、積極的に、よりよく変えていこう」 という発想です。 「女性が重責に就いて、本当に大丈夫 ? やっていけるの ? 」 から入る日本とは、この点で大きく異なります。日本に求められるのは、まずは、女性が優秀であることを前提にできるか ? 言い換えると、高度成長期の成功モデル(=“レガシー”)を捨てられるか ? ということではないでしょうかね。

数年後の役員会

 

このコラムを執筆中に、以下のニュースが飛び込んできました。

 

『 IBM の「新世紀」導く女性 CEO 』 - 米 IBM は 25 日、バージニア・ロメッティ上級副社長(54)が来年 1 月 1 日付で社長兼最高経営責任者( CEO )に昇格する人事を発表した。IBM 100 年の歴史で女性 CEO は初。市場の変化に取り残され、巨額の赤字を計上した“巨象”の意識改革を成功させたルイス・ガースナー氏、果敢な企業買収や事業売却で事業構造を抜本的に変えたサミュエル・パルミサーノ氏の後を継ぐ次期 CEO は、 IBM が迎える「新世紀」に改革を続けることができるのか。 (日経新聞電子版より抜粋)

 

とうとう、あの IBM において、“ガラスの天井(Glass Ceiling)” を突き破る女性が現れました(“ガラスの天井”については、『ガラスの天井を突き破れ !』参照のこと)。米 IBM は今年、創立 100 周年を迎えるとのこと、やってくれますね。

 

では、日本ではどうか ? 大企業のトップに女性が就任するという事例はまだないですが、私はそれほど悲観視していません。というのも、先日、こんなことがあったんです。

 

その日私は、上司である Peter (アメリカ人)と、あるクライアント(某銀行)の役員会に出席していました。いくつかの議題をこなし、会議もそろそろ大団円をむかえようとする、ちょうどそのとき・・・

 

クライアント側進行係 「・・・Peter さん、奈良さん、本日はご参加ありがとうございました。全体を通して、何かコメント等ございますか ? 」
Peter 「本日のアジェンダについては、特にありません。ただ 1 つ、非常に気になることがありまして・・・」
クライアント側進行係 「な、何でしょう ? 」
Peter 「どうして、この役員会のテーブルに、女性が 1 人も座っていないのですか ? 御社は経営戦略上、ダイバーシティを推進すると言っているのに、おかしくないですか ? 」
Peter ぁぁぁぁぁぁ・・・ 何言い出すんじゃ、このおっさん ! ・・・(冷や汗、ダラダラ (T-T))

 

すると、頭取が一言。
クライアント側頭取 「 Peter さん、コメントありがとう ! 心配いりません、5 年後・・・ いや、3 年後、もう一度、役員会に来てください。そのときには、数名の女性がこのテーブルに座っていると思います」
頭取ぃぃぃぃぃぃ・・・ カッコええやないですか・・・(感涙 (T-T))

 

間違いなく、日本も変わっていけると確信しています。では ! 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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