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タカシの外資系物語

女性の社会進出を邪魔する“レガシー”とは ? ( その 2 )2011.10.25

「女性はなぜ出世しないのか ? 」

前回の続き)今年のノーベル平和賞は、中東の女性政治家・社会活動家が受賞しました。これに呼応するように、昨今、日本においても女性の社会進出が一般化していますが、ことビジネス分野においては、話題になっている割に、大きな進展は見られていないように思います。今回のコラムでは、ビジネスの世界において、女性の活躍を阻害する 「レガシー」(ここでは、古い“遺物”的なものや考え方 を指す)について考えてみたいと思います。

先日、わが社のクライアント数十社を集めて、泊りがけの集合研修を実施しました。ま、一種の“異業種交流会”みたいなもんです。わが社をはじめ、多くのコンサルティング会社は、この手の“会合”を定期的に開催しており、担当のお客様をお連れして、定期的に研修に参加していると、タダで自己啓発をしているのと同じような効果が得られます。その分、相当気疲れはするんですけどね・・・

 

そのときの飲み会でのこと。くしくも、「女性はなぜ出世しないのか ? 」という話題になりました。
A さん 「入社後 5 年ぐらいは男性と同じように頑張ってくれるんだけど、結婚適齢期を境に、多くの女性がトーンダウンするんだよね。結果、寿退社・・・」
B さん 「感情的になりすぎるところが欠点だよね」
C さん 「物事を大局的に見ることができない人が多い。あれでは、管理職にはなれないよ」
D さん 「そもそも、“男気”に欠ける ! 」
・・・“男気”って、あんた・・・。女や、っちゅうねん !

 

女性読者のみなさん、くれぐれも怒らないでくださいね。全員、かなり酔っていましたので・・・。みなさんも“女子会”とかで、男の悪口を言っていると思います。あれと同じですから。

 

さて、世間一般としては、こういう意見が大勢を占めるんでしょう。言いたいことは、何となくわかる。D さんの言う “男気” ですら、わからんでもない。“男気”=親分肌、というニュアンスのことを言いたいんでしょう。
しかし ! 私は個人的に、これらの意見は全く支持しません。なぜなら、B ・ C ・ D さんの言う人間的特性(=性格)を持っているのは、女性に限ったことではなく、男性にもこういう人は大勢いるからです。管理職だって、“男気”のないやつなんざ、山のようにいるじゃありませんか ! つまり、これらの理由付けは、単一の性別が集まった場合に起こる、異性に対するステレオタイプ的な文句、“井戸端会議”のような会話、の域を出ないのだと思うのです。

キャリア・ウーマン R子さんの場合

 

一方で、私は A さんのコメントに、重要な示唆が含まれていると思っています。 「・・・結婚適齢期を境に、多くの女性がトーンダウンするんだよね。結果、寿退社・・・」 これを、もう少し解きほぐしてみましょう。

 

女性が結婚を意識し始めた途端、急にその能力・気力が勝手にダウンするわけではありません。結婚して、家事や育児を預かるようになる自分を想像して、「今と同じようには頑張れないな・・・」と考えてしまう。結婚後、周りのサポートが期待できそうにないから、トーンダウンせざるをえない、諦めざるをえない・・・ そういう女性が多いということではないでしょうかね ? 

 

もちろん、結婚して、出産後もバリバリと働いている女性も多数いらっしゃいます。私が銀行員時代にお世話になった R 子さんなどは、今や外資系企業のシステム部長(役員 ! )をされています(『女性のキャリア戦略-R 子さんの場合』 参照のこと。R 子さんが役員をされている会社は、世界中、ほとんどの人が知っている、超有名企業です)。


しかし、その華やかなキャリアの裏で、R 子さんが心身ともにボロボロになりながら働いていたのを、私は知っています。R 子さんは、旦那さんが銀行員で、娘さんがいらっしゃいます。私が一緒に働いていた頃、R 子さんは毎朝、娘さんを保育園に車で送って、夕方になると迎えに行って、義理のお母さんに娘さんを預けて、また職場に戻るようなことを平然とやっていました。 「自宅以外に、駅のそばにも駐車場を借りてんのよねぇ・・・ ホントにお金かかって、イヤになっちゃう。働いたお金、ほとんど消えて行くのよねぇ・・・バッカみたい ! 」

 

ある日、私は R 子さんに、次のように尋ねたことがあります。

私 「 R 子さん、よく体がもちますねぇ。どうすれば、そんなにうまくこなせるんですか ? 」
R子さん 「タカシくんさぁ・・・ 私を “超人バロム 1 ” か何かと勘違いしてんじゃないの ? (“バロム 1 ”って、古っ ! かつ、超マイナー ! ) こう見えても、毎日毎日、ギリギリのところでやってんのよ、私。旦那が転勤になるか、私が転勤になるか、義理の母親が病気になるか・・・ そのどれかが起こったら、私のキャリアなんて即刻吹っ飛ぶわね ! そんな感じ ! (イェイ ! と V サイン)」

タカシの見解や、いかに ?!

 

いつも通り、明るく対応してくれた R 子さんとは対照的に、私は不用意な質問をした自分を恥じていました。R 子さんが仕事を続けていられる基盤たるや、何と脆弱なことか ! ギリギリのバランスが少しでも崩れたら、もう仕事ができなくなる・・・。それに比べて、自分はなんて自由気ままに仕事ができるんだろう・・・

 

ほとんどの男性は、転勤になろうが、親が病気になろうが、仕事を続けることができます。しかし、女性は違う。R 子さんが例外というわけではないでしょう。多くのキャリア・ウーマンは、外からは想像できないぐらいのリスクを日々抱えながら、仕事をこなしているのです。

 

世の女性社員のほとんどは、身近にいるキャリア・ウーマンの「ギリギリぶり」を理解しています。「そこまでやるぐらいなら・・・、結婚を機に、働き方を変えようかな・・・」と考えるのは、自然の成り行きではないでしょうかね。

 

さて、話を戻します。「女性はなぜ出世しないのか ? 」 私の見解では、その真因はズバリ、「男性が悪い ! 」 のです。もう少し補足すると、「男性の振る舞いそのものが悪い ! 」 ないしは 「無意識のうちに、男性を中心に作り上げた文化・考え方(=レガシー)を捨てられず、固執し続けている男性が悪い ! 」 のです。

 

ふぅーーー、2 週かかって、やっと議論の頭だしができました。次回のコラムでは、「男性が悪い ! 」という具体的な理由とその解決策についてお話したいと思います。
(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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