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タカシの外資系物語

Show Your Leadership ! の本質 ( その 1 )2011.08.09

リーダーシップ = 結果を残すこと ?

最近、わが社役員層(外国人)からのメールに、頻繁に出てくるフレーズがあります。それは、

Show Your Leadership !!!


「リーダーシップを見せてくれよ。頼りにしてるからな、おい ! 」てな感じの意味でしょうね。業績が悪くなると、この手のメールが増えてくるんですよねぇ、まったく、ハァ(T-T)って感じ・・・ この業績のままじゃ、早晩、呼び出しをくらいますね、トホホ・・・(T-T)(T-T)

 

さて、泣き言はこれぐらいにしまして、今回のコラムでは、この「リーダーシップ」という言葉について考えてみたいと思います。

 

みなさんは、「リーダーシップ」と聞いて、何を思い浮かべますか ? 政治の世界であれば総理大臣、会社であれば社長、スポーツなら監督やキャプテン。どうやら、組織を引っ張って行く立場にある人が保有すべき能力・スキルを、「リーダーシップ」と呼んでいるようです。

 

では、「リーダーシップ」とは具体的に何を指すのでしょうか ? 統率力、行動力、判断力、包容力、カリスマ性・・・ いろいろとそれらしい言葉は思いつくのですが、そのどれもが極めて抽象的な概念でしかありません。また、親分肌で統率力がありそうに見えても、人間的な魅力がなくて、だれもついてこない人や、包容力はあっても、行動がからっきし伴わない人もいます。結局のところ、「リーダーシップ」というのは、非常に多数のパラメータからなる“総合力”であって、単純な言葉で定義できるようなものではないとも言えます。

 

もう 1 つ重要なことは、「結果を求められる」ということです。どんな立派な人物であっても、結果が伴わなければ、リーダーとは呼べないわけで、弊社の外国人役員が「Show Your Leadership ! 」と言っているのは、「業績という“結果”を残しなさい」と同じことを意味しています。とはいえ、結果を残した人全てに「リーダーシップ」が備わっている(いた)かといわれると、何か違和感ありますよね。「リーダーシップ」の定義って、何なんでしょ ?

リーダーシップ = 平時 or 有事 ?

 

少し視点を変えてみましょう。あなたにとって、「リーダーシップ」のある人とは、どのような人を指すか ? 仮に私が問われたら、次のように回答します。
『リーダー(リーダーシップのある人)とは、次のリーダー( = 自分の後釜 = successor)を育成できる人を指す』

 

社長の最大の仕事は、次の社長を育成し、選ぶことだと思います。部長の最大の仕事も、課長も同じ。社員全員が、上のランクを意識して仕事を回せば、業績は上がる。人材育成がうまくいっている会社は、必ず成功します・・・ これが私の持論です。
リーダー(リーダーシップ)に関するこの持論、それなりに自信を持っているのですが、実は大きな欠陥があります。それは、“変革のリーダーシップ”について説明できていない、ということです。変革が必要なタイミングとは、有事のこと。例えば、会社が倒産の危機に瀕した場合、リーダーはどのように振舞うべきか ? ということです。リーダーの真価は有事・緊急時に、いかに短期で成果を上げることができるかという点にこそ問われるわけでして、私の持論は、平時の、かつ中長期的な視点でしか捉え切れていないという点で不十分なのです。

 

“変革のリーダーシップ”を理論的に説明したのが、ジョン・P・コッターです。コッターは、リーダーシップ理論の「グル(大家)」と言われている人で、読者のみなさんも、その著書をご覧になった方がいると思います。
コッターはまず、「リーダーシップとマネジメントの違い」を明らかにします。
・リーダーシップ = 組織をより良くするための“変革”を成し遂げること
・マネジメント = 複雑な環境にうまく対処し、“既存のシステム”の運営を続けること

 

これを見ても、リーダーシップというのは有事に必要とされることがわかります。リーダーに関する私の持論は、コッターによると、「リーダーシップ」というよりも、「マネジメント」に要求されるスキルに近いような気がしますね。

コッターの 「8段階プロセス」

 コッターは、リーダーによる変革は、以下の 8 段階プロセスで実行されるべきだと説明します。

1.緊急課題であるという認識の徹底
2.強力な推進チームの結成
3.ビジョンの策定
4.ビジョンの伝達
5.社員のビジョン実現へのサポート
6.短期的成果をあげるための計画策定・実行
7.改善成果の定着とさらなる変革の実現
8.新しいアプローチを根づかせる

 

自分自身の経験に照らし合わせてみても、この 8 段階プロセスは、非常に含蓄のある、また納得感の高いものだと思います。
まず、 1 は当たり前のように見えて、実は「徹底」できていない。組織の存続が危ぶまれるような局面でも、ノホホンとしている人は結構いるもんでして、そういう人の存在は、変革推進に水を差すことになります。 2 も重要ですね。例えば、業績が悪いときに、経営陣は現状の体制を全く変えることなく、ムチをふるうことばかりに躍起になるわけですが、業績が悪いときこそ、その状況を一変させるフレッシュで強力なチーム(人材)を投入することが重要です。政治の世界を見ていても、強力な推進チームの不在が、政策の停滞を招いているような気がしてなりません(菅さんの素養も大きいですが、私はむしろ、「チーム菅」全体が弱すぎることが原因だと思っています)。

 

3・4に至っては、日本では皆無、アクションすら取られない。「ビジョンって、何やねん ! そんな悠長なこと考えている暇があったら、 1 つでも多く売ってこんかい ! 」 しかし、いまや気合で売る時代は終わりました。組織としてビジョンを共有し、同じベクトルで行動できるか否か、それが企業の雌雄を決するといっても過言ではありません。

 

次回のコラムでは、コッター以外のリーダーシップ理論を俯瞰した上で、外資系企業におけるリーダーシップ教育についてお話したいと思います。
(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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