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タカシの外資系物語

“なでしこジャパン”の活躍に思う2011.08.02

常に冷静だった“なでしこジャパン

いやぁー、すごかったですねぇ、なでしこジャパン ! ワールドカップ優勝ですよ、世界一 ! 以前から、女子サッカーのレベルの高さは認識していたんですけど、ここまでやるとは・・・ キャプテンの澤選手はじめ、選手のみなさん(監督はじめ、関係者のみなさん全て ! )には、頭が下がります。本当にご苦労様でした。

 

実は私、こう見えても高校時代に演劇部とサッカー部を掛け持ちしていた(単に、サッカー部の人数が足りなくて、試合のたびに借り出されていただけなのですが・・・)時期がありまして、サッカーについてはそれなりにうるさいのです。私のポジションは、「スイーパー(Sweeper)」、今風にいうとセンターバックというやつですかね。センターバックといえば、守備の要ですから、私のような素人が対応できるポジションではないのですが、“なんちゃってサッカー部” だったので、そこはご愛嬌。あるときなどは、味方キーパーの蹴ったゴールキックが私の後頭部に直撃して、脳震とうを起こしてフラフラしているうちに点を取られた ! (オウンゴールにならないだけよかった・・・)なんてことがあるぐらいですから、実力の程はご理解いただけると思います。

 

そんなサッカー通( ? )の私から見ても、今回のなでしこジャパンは強かった。私が感動したのは、決勝の延長戦で、アメリカに先行されたにもかかわらず、同点に追いついたところ。澤選手の技ありシュートも見事だったのですが、私はそれ以上に、選手のみなさんの「精神力の強さ」を評価したい。これまで、私が目にしてきた典型的なパターンからいくと、だいたいにおいて「決勝まで来て御の字だ。それも、王者アメリカを延長まで追い詰めたんだから、大したもんだろ。これでよし ! 」みたいな雰囲気が、見ている側からにじみ出てきます(選手には失礼なんだけど・・・)。もちろん、選手の方は最後まで諦めるわけではないので、必死の形相で試合を続けるわけですが、色んな策が空回りして、ほぼ失敗に終わる。そして、試合終了・・・ こんなパターン。99.99%は、こんな感じだと思います。


今回は、何が違ったのか ? それは、見ている側(主にテレビの前)は「よくやった ! 」と諦めかけていたにもかかわらず、選手はいたって冷静だったことではないでしょうか。その冷静さが、普段練習していた、ややショート気味のコーナーから、澤さんのトリッキーなシュートにつながったのではないかと思っています。

“冷静さ”は外資での成功ポイント

「よくやった、もういいじゃないか・・・」という周囲の雰囲気に対し、それに反発して空回り するのか ? 周囲に惑わされず冷静さを保つ のか ? 実はこの差異、外資系企業での成否を分ける大きなポイントと一致しています。

 

例えば、ある収益目標のターゲットがあったとして、期末まで残りわずか、目標数値の達成がかなり困難となり、周囲に諦めムードが出てくる。そんなとき、「いや、だれが何と言おうと、目標は達成するのだ。今日から期末まで、徹夜で頑張るのだ ! ウォーー ! 」とやるリーダーに限って、ほぼ空回りして失敗します。その結果、周囲のスタッフも大いに疲弊する。


一方、追い詰められても成功するリーダーは、常に冷静です。それまで打ってきた策が正しいと信じていれば、期末が迫っていようが、その策を継続する。これまでの策に修正が必要なら、日数が限られていようが、淡々と修正する。そういうリーダーの方が、明らかに成功する確率が高いように思います。

 

これは外資にかかわらず、日系企業でも同様にいえることなのですが、私があえて「外資系企業での成否をわける・・・」と外資に限定した理由は、日系企業の多くは、「よくやった、もういいじゃないか・・・」という周囲の雰囲気が出た途端、現場もそれに同調する傾向が強いように思うので、分けて考えました。かなりステレオタイプ的で極端な見方ではありますが、私の経験則から来る感覚としてはこんな感じです。

今こそ、女性の抜擢を !

経済が右肩上がりで発展する時代なら、気合で頑張れば、相応の成果が期待できます。また、「もうこんなもんでいいよ」と手を抜いても、それなりの成果がついてくる。

 

しかし、日本経済はもはや踊り場を過ぎ、下降時代に入っています。今こそ、あきらめムードに迎合するのではなく、また、反発するのでもなく、冷静に局面を分析する能力が必要になってきます。

これもステレオタイプ的で極端だと言われるかもしれませんが、私は、あきらめムードのときに冷静に局面を分析する能力は、男性より女性の方が高いと思っています。上述のなでしこジャパンもそうだし、私の周囲にいる女性社員などもそれに該当する人が多数いる。俗に言う“肝っ玉”が座っているんですよね。一方、男性というのは総じて“弱い”。周囲に流されるか、周囲に反発するか、“おこちゃま”的な反応が多いように思います。

 

例えば、社長クラスの上級役員に呼び出されて叱責された場合、男性のほとんどは、シュン・・・としょげかえるか、むきになってから元気を飛ばす。一方、女性の場合は、常に冷静で、ときにはその上級役員に向かって、極めて端的な切り返しをしたりもする。横で見ていて、「すごいな、この人・・・」と思う女性は、私の周囲にもかなりいます。

 

「私の周囲には、そんな女性は見当たらないなぁ・・・」というアナタ、そんな女性を見かけない理由は、会社が能力の高い女性を引き上げていないから。アナタの横にも潜在的にいるんだけど、それが可視化されていないだけなのです。このことは、企業だけでなく、日本という国にとっても大損害です。早急に、能力の高い女性を引き上げなければ、社会的な損失につながります。

 

幸い、外資系企業というのは、評価・昇進において、男女間の差別はありません。私の会社などは、「総じて、女性は男性よりも潜在的な能力が高いことが多いので、評価が全く同等だった場合には、女性を優先して昇格させるようにする ! 」なんていう役員もいたりして、男性陣は肩身が狭い・・・(T-T)。家でも肩身が狭かったりしますので、もう、踏んだり蹴ったり・・・(T-T)(T-T)。

 

能力の高い女性を引き上げるには、制度・インフラが重要です。掛け声だけでは一過性に終わり、抜本的な改革につながりません。評価・昇進において男女間の差異を設けないことを経営が宣言し、女性のキャリアパスを明確にするとともに、ロールモデルとなる女性役員を複数名抜擢する。ここまでできればかなりの先進企業なのですが、残念ながら、日系企業でこのレベルに達している企業は、ごく一部に限られます。なでしこジャパンの活躍を意気に感じた役員のアナタ、変えるなら今ですよ、今っ !

 

制度・インフラの整備は、女子サッカー界も同様です。彼女たちが安定した生活を確保し、未来のなでしこ予備軍が後に続くようにしなければならない。これができるか否かは、日本という国が、女性という“宝”を活かせるか否かの試金石になるのではないかと思う今日この頃です。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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