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タカシの外資系物語

タカシ流ワーク・ライフ・バランスの実践 (その 3 ) 2010.11.09

帰宅時間をコントロールする

前回の続き) 前回のコラムでは、ワーク・ライフ・バランスを実践する上で、必要不可欠な要素として、「(1)ルールと支援の仕組み」 「(2)職場の雰囲気」 「(3)本人の意識と能力」 の 3 点があることと、うち(1)について詳細に説明しました。今回のコラムでは、残りの(2) (3)についてお話したいと思います。


ワーク・ライフ・バランスを実践するための必須条件として、「帰宅時間を自分でコントロールできる」ということが挙げられます。単に、早く帰ればいいというものではない。だれにも気兼ねすることなく、自分のペースで仕事の終了時間を決めることができる・・・ このことが重要なのです。


よって、職場の雰囲気というのは、非常に大事。就業時間を過ぎたら、自由に帰ることができる職場がベストということになります(本来、これは当たり前なのですが・・・)。ありがちなパターンとしては、上司や先輩が残業していると、なかなか帰りにくいという状況ではないでしょうかねぇ・・・


若手社員 「(そろそろ帰りたいんだけど・・・ 課長、まだまだ残業しそうだよなぁ・・・ よーし、思い切って、席を立つか ! ) あ、あの、課長・・・ 私、そろそろ失礼させていただきますので・・・」
課長 「ん ? ああ、もうこんな時間か・・・ お疲れ様 ! 」
若手社員 「失礼いたします ! (ホッ ! )」


ま、これなら御の字。勇気を出して、席を立ったかいがあったというものです。しかし、こんな物分りのいい上司ばかりとは限らないわけで・・・


若手社員 「課長・・・ 私、そろそろ失礼させていただきますので・・・」
課長 「・・・・・・」
若手社員 「(む、無視かよ、おい ! (T-T) 帰るに帰れんわーー ! (T-T)(T-T)) ・・・・・・」

残業の多い上司と部下の相関関係

残業を強制するわけにはいきませんから、「帰るな ! 」とは口に出して言えないわけですが、あからさまに「帰るな」オーラを出し続ける上司って、結構いますよね。そんな上司についてしまうと、気の弱い部下は、まずもって先に帰ることなどできません。

 

私は、このような上司のやっている行為は、一種の「パワハラ」だと思っています。ある意味、無言の圧力ほど恐いものはありません。また、残業が多いということは、仕事が下手だということと同意です。そういう上司についていると、その部下も下手な仕事しかできんわけでして・・・ いずれにしても、残業の多い上司は、その部下も同様に残業が多いというのは、見事に相関関係が成り立っています。


職場の雰囲気というのは、経営層をはじめ、管理職層が醸成すべきものです。ですから、まずは管理職層への教育を通じて、意識を浸透させなければならないでしょう。
一方で、個々の社員も、常に自分の都合を優先して行動するのではなく、ときには残業に付き合う意識も必要です。仕事の大半はチーム作業であって、全てを独力で行っているわけではありませんから。


実は、外国人上司の多くは、上記のような心配がいりません。まず、残業をすることが極めて稀ですし、仮に仕事が残業時間まで及んだとしても、露骨に「もう終わるぞ」オーラを発し続けるからです。または、残業時間になった途端に、ウルトラマンのカラータイマー並みに、エネルギーレベルが極端に枯渇する上司もいます。いずれにしても、そういうわけですから、職場の雰囲気もへったくれもなく、部下は自分の好きな時間に帰宅することができるわけです。

ワーク・ライフ・バランスは過酷な制度 ?

最後に、本人の意識と能力についてお話しましょう。実は、よく見過ごされがちな点なのですが、ワーク・ライフ・バランスというのは、社員に対して、かなりの能力を要求する制度なのです。なぜか ? そもそも、ワーク・ライフ・バランスの本質は、「以前より少ない時間で、同様(またはそれ以上)のアウトプットを出す」ことを前提としています。つまり、常に改善と成長を要求されているということです。これって、過酷な制度だと思いませんか ? 「勤務時間中は常に頑張り続けることで残業をなくしなさい、家に帰っても休むことなく地域や家族や自分の成長のために時間を使いなさい・・・」ということを半ば強制しているわけで、なんか、息がつまりそうな感じじゃありませんか!

 

また、仕事を効率的にパッパッパとこなす人にはいいのですが、じっくりと熟慮して進めるタイプには、不向きな部分もあります。私はどちらかというと後者のタイプなので、急かされて仕事をやるぐらいなら、早く帰れなくてもいいと考えてしまいます。しかし、それでは本末転倒ですから、そういう考えを持つ人のために、制度的な“味付け”が必要だと思います。例えば、「残業なしの定時勤務」だけではなく、「昼ごろ出社して残業する」など、勤務時間帯のバリエーションを設定する必要もあるでしょう。もちろんその場合でも、ダラダラと勤務時間が長くならないように、帰宅時間の目安を設定するなどの工夫も必要です。


私は、日系の銀行から外資系企業に転職して、はや 14 年が経過しようとしていますが、残業時間はかなり減りました。もちろん、外資の方が日系よりも残業時間は少ないことは明らかです。しかしそれ以上に、年齢を重ねて、役割も変化するなかで、労働集約的な仕事から知識集約的な仕事に切り替わってきたことの方が、残業時間の削減に対するインパクトは大きいように思います。

 

個人的には、若いころは倒れる手前ぐらいまで、働けるだけ働いたほうがいいと思います。下手な鉄砲を数撃った方がいいのです。そうすることで、うまい撃ち方、効率的な仕事のやり方が見えてきます。
年をとって、経験を積んだら、うまい撃ち方を実践する。そして、次世代の若手に伝える。このような仕事は、時速あたりの密度が濃いので、長時間の残業を伴わずにできるはずです。


つまるところ、ワーク・ライフ・バランスとひとことで言っても、人によってどのような「バランス」をとるかについては、千差万別なのでしょう。重要なことは、自分にとっての“バランス”を見つけること。今は残業してでも仕事をすべき時期なのか、自分に投資してスキルを高める時期なのか、会社以外の外部と接点を持って人脈を形成する時期なのか・・・ いずれにしても、日本人の大半は働きすぎであることは間違いないので、まずは残業時間を一律カットするという策も、それなりに意味はあるかな、とも思います。時間がなければ、何もできませんからね。みなさんも、自分なりの“バランス”を見つけて、納得できる人生を送っていただければと思います。では !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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