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タカシの外資系物語

ディズニー・アニメ に見る発想2010.07.20

“ エビ ” の名前に気を取られ・・・

最近、 2 歳半になる娘が “ディズニー・アニメ” にハマっています。我が家の大画面TVもディズニーに占領され、ワールドカップすら見ることができません(娘は 2 歳半にして、受験生並の “夜型” なので、なかなか寝てくれないのです・・・)。仕方なく、私はワンセグのチビ画面 ( 3.5 型 ) でワールドカップをチラ見しているわけですが、これがまた、迫力がないったらありゃしない! まず、ボールがどこにあるのかわからない。次に、カメラのアングルが引き気味になると、似た色のユニフォーム同士の場合、どっちがどっちだかわからない。GOAL ! という文字が画面に出てはじめて、「おーー、入ったのかぁ・・・」と気付く始末。


加えて、サッカーばかり見て、ディズニーの方を見ていないと、娘に怒られるのです(T-T)。日本の初戦であるカメルーン戦! 例のごとく、娘は大画面でディズニー、私はチビ画面でサッカーを見ていました。


「よーし、本田! 決めてくれよぉーーー!」
娘の手前、一人で静かに盛り上がっていると、何やら横から冷たい視線。見ると、「なんで、ディズニー見ないの!」 とばかりに、娘が私に向かって、思いっきり睨みを利かせています。
私 「(や、やばっ!) ははは・・・ あ、人魚さんだねぇ。おっ!エビさんも出てきたねぇ・・・」
娘 「エビさんじゃないよ、“セバスチャン”って、いうんだよ!」
私 「セバスチャン?!」
なんと、エビさんに名前があったとは・・・ これは失礼しました、って感じ。私もディズニーについて勉強しないと、娘についていけなくなります。


と、チビ画面に目をやると、巨大な GOAL ! の文字。なんと、期待の本田選手のシュートが決まったようです!
「決定的瞬間・・・ み、見逃したぁ・・・(T-T)(T-T)」
チビ画面とはいえ、TVをつけていたにもかかわらず、あの歴史的瞬間を見逃すとは・・・ あの日、エビのセバスチャンを見ていたために、本田選手のゴールを見逃した日本人は、おそらく私だけではないでしょうか・・・ トホホ・・・(T-T)(T-T)(T-T)

『ティンカー・ベル』 を見よう!

そんなこんなで、無事ワールドカップも終了した、ある週末。私は DVD レンタルで、人気のディズニー・アニメを借りてきました。それは、『ティンカー・ベル』。奥さんと娘と一緒に、早速見ることにしました。

その前に、私と同様、ディズニーにあまり詳しくない読者諸兄に、物語の背景をお話しておきましょう。ティンカー・ベルというのは「妖精」でして、ピーターパンの脇役として有名です。つまり、本作は今流行の「スピンアウト企画」というわけです。


本編を見ていて驚くのは、 CG の迫力、なかでも光の表現力・美しさです。よくもまぁ、こんな映像が作れた感心するばかり・・・。あっっ、という間の 90 分でした。ある 1 点を除いては・・・
エンドロールが流れるなか、娘は無邪気に、「もう 1 回、見ゆーー」とせがんでいます。われわれ夫婦は、というと・・・


奥さん 「映像はすばらしいんだけど・・・ なんか、後味悪いわね・・・」
私 「確かに、考えさせられる内容だなぁ・・・」


何に釈然としていないかというと、そのストーリーなのです。詳細は省きますが、簡単にいうとこんなストーリーでした。ティンカー・ベルのいる妖精の国では、春の到来を控え、その準備に大忙し。準備というのは、種をまいたり、虫に鮮やかな色を塗ったり、といった内容です。いよいよ明日、待ちに待った春がやってくるという段階で、ティンカー・ベルの不始末で、準備したものがほとんどパァになってしまったのです。


女王様はじめ、妖精の国の首脳陣は苦渋の選択を迫られ、一旦は「今年に限って、春は“なし”」 と決めます。みんな悲しみにくれているところに、ティンカー・ベルがやってきて、準備作業の機械化・合理化を提案して、一夜にして春の準備を終えてしまうというもの。
例えば、こんなセリフがあります。てんとう虫の色(赤字に黒点)を、 1 匹 1 匹、筆で色づけしている担当者に向かって、ティンカー・ベルが次のように問いかけます。


ティンカー・ベル 「その作業、1 匹あたり、何分かかる?」
てんとう虫担当 「だいたい、15~20 分ぐらいかしら・・・」
ティンカー・ベル 「じゃ、これ(自動色づけスプレーみたいなもの)を使ってみて。ね、ものの5秒でできるでしょ?」

機械化・効率化が奪うもの

確かに、ティンカー・ベルは、妖精の国の窮地を救いました。百歩譲って、そこまではいいでしょう。しかし、その結果として、女王様からご褒美的なもの(人間の国に行けるという特権)までもらってしまうのです!


「おいおい、ちょっと待てよ。確かに、ティンカー・ベルの活躍がなかったら、とんでもないことになってたことはわかるが・・・ そもそも、せっかく準備したものを台無しにした張本人は、ティンカー・ベル自身じゃねぇのか? 結果オーライなら、何してもいいんかい?!」
これが釈然としない点の 1 つ目です。 2 つ目は、「 1 匹 1 匹、丁寧に色付けしていたてんとう虫に、機械でプシューっと塗料を吹き付けてOKというのは、いかがなもんか?」 という心理的抵抗感。塗りゃいいってもんじゃ、ないでしょう。味も風情もありゃしない・・・


実際に、『ティンカー・ベル』 のストーリーに対する是非は、インターネットでも取り上げられているようです。「あれは納得いかない。ただの、わがまま娘じぇねぇか」という意見がある一方で、「純粋に、きれいでかわいい話だからいいじゃない」という意見も。
ストーリーに関して、私はとやかく言うつもりは全くありません。考えすぎずにリラックスして見れば、本当に極上のエンターテイメントだと思います。しかし、なぜか心に引っかかる。それは、ティンカー・ベルの手法こそ、われわれ先進国が用いてきた手法に他ならないから。そして昨今、その綻びが、いたるところで目にするようになってきたからではないでしょうか。


いまや、“ものづくり”の拠点、世界の工場は、日本から中国へと移行しています。中国の工場というのは、われわれの常識を覆すほどの規模を誇ります。例えば、ある工場などは、300万平方メートルの敷地に工場棟が立ち並び、従業員数は30万人(!)といいます。これは、新宿区や四日市市と、ほぼ同規模です。


そして、中国では、工場における労働者の自殺が多発しています。自殺には、様々な原因があるでしょう。しかし、あまりにも効率化・集約化された作業は、労働者の“創造”に関する喜びを奪い去り、それが原因になっている部分もあるはずです。
以上のような問題は、資本家と労働者という枠組みの中で、古くから語られてきた話題です。何を今さら・・・ といった感もあるでしょう。しかし、今だからこそ、真剣に考えなければならない。仕組みを考えた人だけが偉いのか、同じ工場に勤める 30 万人の労働者は死ぬまで同じ作業を機械的に行えばよいのか、そして、ティンカー・ベルは賞賛に値するのか・・・ ?


私が小さかった頃、“セバスチャン” といえば、『アルプスの少女 ハイジ』に出てくる、クララの執事役が定番でした。あの頃のアニメは、手書きで味があったもんです。ディズニーだって、『ファンタジア』なんてのは、 70 年前に作られたとは思えない内容です。それが、今や、アニメのほとんどはコンピューターで作られます。『ティンカー・ベル』のエンドロールを見ながら、そこに出てくる名前のほとんどがインド人であることに目を奪われながら、以上のようなことを考えてみました。 では、また!

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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