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タカシの外資系物語

"KY" なタカシ ?2010.07.13

お前・・・ 本当にKYだなぁ・・・

先日、わが社専務のRさんが、日本での赴任期間を終え、米国本社に帰任することになりました。私もRさんにはいろいろとお世話になったものですから、某ホテルで開催されたFarewell Party (送別会) に駆け付けることにしました。そのときのエピソード。

 

「カンパーーイ! Cheers !」


会場は満員御礼のスシ詰め状態、立錐の余地もありません。信望の厚かったRさんの人柄がうかがえます。
実はその日、私はクライアントとの飲み会と掛け持ちしていたため、Rさんの送別会には30分程度しか参加できない予定でした。限られた時間の中で、直接Rさんと対面してお礼を言いたい・・・ しかし乾杯後、多くの社員がRさんに挨拶しようと、既にながーーい列をなして並んでいます。その数、ざっと10人以上! このままでは、時間内にRさんと直接会話することができません。


「うーーむ、こりゃ困った・・・ でも、このまま挨拶できずに帰ったんじゃ、来た意味が全くないし・・・ よし、こうなったら、“奥の手”を使おう! ・・・ ちょ、ちょっと、ちょっと失礼、ごめんなさいねーー (ササッ、サササーーーッ!)」
“奥の手”とは何か? それはズバリ、「割り込み」(順番抜かし、とも言う)です。人気アーティストのチケットを買い求める列ではないわけで、シラーーッと列に割り込んでも、バレません!


「ふーーっ! 前から数えて、1、2、3・・・ 5番目か。これなら早めに挨拶できそうだ・・・」
ほっと一安心。ビールを片手に挨拶の順番を待っていると、同僚のカズオが、私の方を見ながら、首を横に振ったり、指で×(バッテン)を作ったりしながら、しきりに目配せをしています。
「カズオのやつ、何が言いたいんだろ。ハテ・・・?」


無事、Rさんとの挨拶を済ませ、会場を後にしようとしていると、例のカズオが私のところにやってきて一言。
「お前・・・ 本当にKY(空気の読めない奴)だなぁ・・・」

タカシ = 超えらいさん ?

Rさんに挨拶をしただけで、なぜ "KY" と言われなければならないのか ! ( 怒 ! )

私 「な、なんで、俺がKYなんだよ ! 挨拶しただけなのに・・・」
カズオ 「挨拶はいいんだよ。そんなことじゃなくて、お前が並んでた列、他にだれが並んでたと思う ? 」
カズオによると、私が並んでいた列には、私以外は “超えらいさん” しか並んでいなかったとのこと。そう言えば、私が列に割り込んだとき、私の前は常務で、後ろも役員でしたっけ・・・ Rさんに対して、社長 - 専務 - 常務 - タカシ - 役員 - 役員 - 役員 ・・・ みたいな感じだったと思います。


実は私、カズオの指摘には気付いていました。でも、内々の送別会だし、私はクライアントとの約束があって急いでいるんだし、そこまで気を遣う必要はないと思って、割り込んだんですよね(もちろん、“割り込み” 自体は、社会人としていかがなもんか、という問題は残るが・・・)。


さてみなさん、カズオの言うように、私はKYなのでしょうか ? 


確かに、日本人の常識からすると、少しKYなのかもしれません。日本企業のイベントで、たとえそれが内々の無礼講スタイルであったとしても、役員を差し置いて、ヒラのマネージャーが順番を抜かして、先に何かをするというのは、違和感があるようにも思います。


しかし、私はアメリカで同様の送別会に参加したことがありますが、アメリカではそんな気遣いは全くしていないようでした。参加者は役職の区別なく、完全にフラットな関係。日本とアメリカ、どっちが正解というわけではないのですが、Off timeに実施されている送別会なんだから、挨拶したい人がすればいいし、急いでいるなら先にすればいい、ただそれだけのことだと思うのですが・・・ みなさん、どうでしょう ?

“KY” 基準とは ?

こんな光景もよく目にします。複数人で昼食に出かけてオーダーを取るとき、日本人グループの典型的なパターンはこんな感じでしょう。
最初に一番えらい人が、「んーー、カレーにしようかな」と言うと、「私もカレー」 「俺も」 「同じでいいや」 と、全員がカレーを注文。結果、全員が同じカレーを食べるという、傍から見ると奇妙な“カレー集団” が出来上がります。
こんなときに、「んーー、カレーにしようかな」 「私もカレー」 「俺も」 「同じでいいや」 「俺は天丼」 などと言った日にゃ、"KY" 扱いされるのが目に見えています。


上記のような行動については、「日本人は自主性がないからねぇ・・・ 自主性の強い外国人は、絶対に違うものをオーダーするんだよ・・・」 こんな分析をする人が多い。しかし私の経験では、外国人の行動パターンは、この分析とはちょっと異なります。外国人の場合、基本的には自分の食べたいものをオーダーします。しかし、時間がなくて急いでいるときには、極力みんなに合わせます。時間がない場面で、「私はカレー」 「俺も」 「私も」 「俺は天丼」 というのは、外国人から見ても、"KY" に該当するわけです。


この場合、外国人の "KY" 基準は、「合理的かどうか」ということに尽きます。だから、わかりやすい。一方、日本人の場合は、合理性以前に、その状況に応じた日本人だけに通用する “常識” のような基準があって、非常にわかりにくい。送別会の例でいえば、「急いでいるのはわかるが、たとえ送別会のような Off の場であっても、役員を差し置いて先にするのはいかがなもんか ? 」、オーダーの例でいえば、「たとえ急いでいないときであっても、自分が天丼を食べたいからと言って、他の全員がカレーといっている中で、違うものをオーダーするのはいかがなもんか ? 」 ということ。加えて、その基準となる "KY" が、集団ごと、組織ごとに違っていたりするので、輪をかけて複雑になるわけです。あーー、ホントにややこしい ! 


1つ明確に言えることは、日本では、どんなに合理的な理由があるにせよ、他人より目立つことは一律に "KY" に分類されるということです。日本人独特が持つ “奥ゆかしさ” の効用を認めないわけではないですが、今の時代、一律に 「目立つ = "KY" 」 としてしまうのはどうでしょうかねぇ。アメリカ人のみならず、中国人・インド人なども、合理的な "KY" 基準を持っているように思います。グローバル社会の中で、彼ら・彼女らと互角にやっていくためには、人に迷惑をかけない範囲においては、日本人的な "KY" 基準を捨てる必要があるように思う、今日この頃です。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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