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タカシの外資系物語

マレーシア研修顛末記 ( その4 )2010.07.06

タカシ、意を決して “発言”?!

前回の続き) グループ分けの結果、20 名中、唯一の日本人となってしまったタカシ。研修の冒頭、チーム名を決めるセッションでは、映画 『Oceans11』 をもじった “Oceans 5” が採用されるなど、積極果敢な攻め( ? )で、幸先良くスタートを切ったようですが・・・ そうは問屋が卸さなかったようです・・・


講師 「・・・さて、このケースにおいて、クライアントへの提案コンセプトはどのようなものになると思いますか ? 」
参加者A 「まずは、わが社のグローバルベースでのケイパビリティ(Capability:能力)を表現すべきじゃないかな ? 」
参加者B 「いや、その前に、過去の実績を提示しないとクライアントは安心できないよ!」


講師によるテンポのいいファシリテーションも手伝って、教室内は熱気を帯びた議論が交わされています。参加者も、“ほぼ”全員が、すでに何らかの発言をしています。
ん ? “ほぼ”全員 ? って、まさか・・・ そう、私を除いて“ほぼ”全員・・・(T-T) 「俺はブラット・ピットってことで・・・」 と発言して以来、もうかれこれ2時間が経過していますが、まだ一言も話していません・・・(T-T)(T-T) (前回コラム参照のこと)


「んったく、情けねぇなぁ・・・ もっと積極的に議論に参加しなきゃ! だから、日本人はナメられるんだよ!」 みなさん、そう思いますよね? 私もそう思います。議論の内容も、十分理解できるものだし、決して難しくはない(というか、予想通りのことしか話していない)。でも、議論のスピード自体についていけないんですよぉ、おろろーーん・・・(T-T)


これは、日本人によくあるパターンだと思います。「ペーパーに書かれたケース(事例)を10分で読んで、ポイントを述べなさい」といった、事前準備可能なものには対応できるんですが、「自由に議論しなさい」には全く歯が立たない。何を言おうか、頭の中で考えて、それを英語に翻訳している間に、議論が次から次へと進んでいってしまうのです。


さて、こんな場合どうするか? 要は、反応スピードが遅いことが問題なわけですから、それを速くすればいい。その最大の原因は、自分の言いたいことを、いちいち頭の中で英語に翻訳してから話そうとするからです。ならば、そのプロセスを省略して、言いたいことが頭に思い浮かんだ瞬間に、まずは手を上げてしまう。その後、実際に会話しながら、英語に翻訳していけばいいのです。


タカシ 「(よし、意見を言うぞ!) エ、エヘン! (落ち着け、落ち着け・・・) In this case, I think ・・・」
教室内全員注目!!!
「I think ・・・ (や、やばい、英語が出てこない) I think ・・・ I think ・・・ 」
I think なんなんやーーーーーーーーーーっ! わしは、何を「思った」んやーーーーーーーーーーっ! (T-T)
「I think ・・・ 蛇〒・奇シ蜍牙シキ励※蛤ェ縺・°繧・*_*)蜻・・・」
ついに出たーーーーっ! これだけ引っ張っておいて、結局、苦し紛れの「文字化け」かーーーーーーーーーーーーーっ (T-T)(T-T)


ま、普段から英語を使っていないと、肝心なときにうまくいかないわけでして、そんなにロジカルにはことは進まない。やはり、日々の鍛錬が重要だということです、ハイ・・・(T-T)(T-T)(T-T)

中国・インド > 日本

さて、先ほどから見ていると、議論の中心になっているのは、どうも中国人やインド人のようです。私のチームでも、議論に積極的なのは、オーストラリア人のTonyではなく、中国人のXu(シュー)や インド人のIndrahan(インドラハーン)ではないですか! やはり中国人・インド人の積極性、イケイケドンドン度はすごい! その姿勢には、本当に感服するばかりです。


そして、もう 1 つ特筆すべきことは、研修への参加人数です。今回の研修は、わが社のAsia Pacificに所属するメンバーが集められたわけですが、その人数構成を見て、私は唖然としました。


【参加人数構成(合計80人)】
 中国 ・・・ 40人
 インド ・・・ 15人
 日本 ・・・ 10人
 オーストラリア・ニュージーランド ・・・ 5人
 韓国 ・・・ 3人
 その他(シンガポール・マレーシア・タイなど) ・・・ 7人


これって、現在の国際社会の状況を、見事に表現していると思いませんか? 10年前に同様の研修を実施した際には、日本からの参加人数は全体の過半数を超えていたそうです。それが今や、8分の1。日本に代わってトップに躍り出たのは中国、次いでインド・・・ 参加人数を、「国の“勢い”」だとすると、中国は日本の4倍の勢いがある、ということです。いや、現実にはもっと差があるのでしょう。新聞やニュースでは、毎日のように中国の経済発展ぶりが報道されていますが、今回の研修では、それを現実のものとして体感することになりました。いやはや、アジアの中心は、すでに中国になってしまったのでしょうかねぇ・・・

中国人Xuさんの決意

その日のDinnerで、私はチームメンバーである中国人のXu(シュー)さんと話をする機会を得ました。


私 「・・・いやぁ、それにしても、Xuさんの英語力・積極性はすごいよね。ホントに見習うべき点が多い・・・」
Xuさん 「いや、全然ダメです」
私 「えっ?」
Xuさん 「私は、オーストラリアの大学とカナダの大学院を出て、アメリカ本社に就職しました」
私 「ふーん (どこがダメやねん。バリバリのエリートやないか!)」
Xuさん 「本社では、3年あまり、見習いのコンサルタントとして働いたのですが・・・ 実は、アメリカの競争社会にはついていけなかった。クビ同然で、中国に戻ってきたのです・・・」
実際に、英語圏の大学や大学院を出て、希望通り、アメリカで働くことができる中国人は、ほんの一握りのようです。Xuさんのように、その大半は中国に戻らざるをえない。
私 「でも、今は中国の方がすごいんだから、その方がいいんじゃ・・・」
Xuさん 「いや、やはりビジネスの中心はアメリカです。これは、そう簡単には変わらない。私の夢は、グローバルで活躍し、同時に中国社会にも貢献すること。具体的には、アメリカで起業して本社を構え、中国に生産を委託する仕組みを作りたい。そうしないと、イニシアティブ(主導権)を取れない。結局、欧米企業の下請けになってしまうのです・・・」


うーーむ、確かに。さすが、Xuさん。考えていることが違う。 それよりも、もっと驚くべきことは、Xuさんのような人材が、中国経済を支えているということ。英語圏で教育を受け、欧米人にも臆することなく議論を交わし、常にグローバルな視点で物事を捉えることができる。そういう人材が、中国やインドの国内に、ゴロゴロいるということです。
一方、日本はどうか? グローバルに目を向けるどころか、なんだか、どんどん内向きになっている。アジアにおける存在感も薄い。研修の人数構成が示す通り、このままでは8分の1どころか、「その他大勢」になる日も近いように思います。日本人は、そのことに危機感を持たねばなりません。


さて、今回のマレーシア研修。アジアにおける日本の地位低下を実感することができました。もっとグローバルに行動せねば・・・ とかなんとか言いながら、奥さんが作ったご飯とお味噌汁を前にすると、「あーーぁ、やっぱり日本がいいなぁ。もう一生、日本から出なくてもいいや・・・」などと思ってしまう自分もいるわけで・・・ ま、少なくともグローバルな意気込みだけは忘れずに、明日からも頑張っていきたいと思います。


【おわびと訂正】 『マレーシア研修 顛末記 ( その1 )』において、「マイル表示で120ということは、時速190kmのスピード!」でかっ飛ばすタクシーのお話をしましたが、読者の方から「マレーシアのスピード表示はマイルではなくkmである」という指摘をいただきました。ご指摘ありがとうございます。ということは、時速120km程度(ま、これでも結構速いのですが)で、「殺されるぅーー、助けてーーーっ!(T-T)」と叫んでいたわけですね・・・ ここでも、私の“小心者”ぶりが見事に発揮されたわけで・・・ いずれにしても、スピードの出し過ぎには十分に注意しましょう!(って、なんのこっちゃ)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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