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タカシの外資系物語

パートナー(役員)になろう ! ( その 3 )2010.05.25

タカシ、知能テストに大苦戦 ?!

前回の続き) パートナー(役員)昇進試験の一環として、外部評価機関である「HR Assessment 社」との面談を受けることになったタカシ。第一関門である「性格診断テスト に基づいたインタビュー」では、事前準備に 2 時間以上費やした割には、本番は 20 分程度で終わり、拍子抜けの結果に・・・。さて、残りのアセスメントはどうなったのか ?

2つめのアセスメントは、「認知力テスト」です。要は、知能テストのようなもの。3 × 3 計 9 つの図形があり、右下が空欄になっています。それらの図形は何らかの法則に従っており、その法則を類推して、空欄に当てはまる図形を選択肢から選ぶというもの。例えば、こんな感じ。

 

             ●     ○     ●
             ■     □     ■
             ▲     △    ( ? )

 

この場合、正解は「▲」ということになります。30 問を 30 分で解くのですが、はっきり言って「楽勝」!  最初の 15 問は、5 分程度で完了 !  ホントに楽勝 !

 

「さて、残りの問題も 5 分で片付けて、ちょっと休もうかな。ここ数日、あまり寝ていないし・・・ 次の問題は、と・・・ ん ? これはなかなか難しいね、と・・・ うーーむ、やっと骨の折れる問題が出てきたな、と・・・ ふーーっ・・・ ふむふむ・・・ えーーーん、全くわからんわーーーーーーーーーーーーー(T-T)」
本当に手も足も出ない。それも、後半 15 問については、ほとんど全てわかりません。知能テストで、こんな経験初めてです。一体何なんや、このテストはーーーーーーーーーーっ !
表紙を見ると、「 Raven's Progressive Matrices 」 とのタイトル。そういえば、私が愛読している植島啓司さんの 『「頭がよい」って何だろう』(集英社新書) という本に、難解な知能テストの 1 つとして紹介されていたように記憶しています。

解けないものは解けない ?!

それにしても、明らかに難解すぎる。これには、何らかの意図があるに違いない。例えば、困難な問題に直面した際に、役員として、どのように対処するのかを試しているのかもしれない・・・

 

「よし、ここは落ち着こう。まだ時間は十分にあるからな・・・。しかし、このテストは難しい。“Raven's・・・”ってことは、多分 Raven さんが考案したんだろうな。それにしても、意地悪な人だ。レーベンといえば、レーベンブロイというビールがあったな。何か、関係があるのだろうか ?(全くない ! スペルも全く違うし ! ) それにしても、早く終わってビールでも飲みたいな。そういえば、冷蔵庫に先週末買ったビールが残ってたっけ・・・ つまみはチーズとサラミがあったかな・・・ うーーむ・・・ って、落ち着いても、全く解けんわーーーーーーーーー(T-T)(T-T)」


ということで、あえなく時間切れ。苦し紛れに当てずっぽうで回答は埋めたものの、選択肢自体が 8 つもあるため、確率的にかなり期待薄。こりゃ、ダメかもしれません・・・(T-T)(T-T)(T-T)
「こんな経験、初めてや・・・(T-T)」
「知能テストが解けない ! 」 という重すぎる現実を前に、私はかなりの脱力感に見舞われていました。

タカシ、いきなり怒鳴られる ?!

HR社 担当○○さん 「では、最後のテストである “シミュレーション” に入りましょう。このテストでは、奈良さんにある人物を演じていただきます。その人物とは、デルタ・ソリューションズの社長である “佐々木宏” という人なんですが・・・ 事前に会社業績や人物紹介を記述した説明書は、熟読してもらいましたよね ? 」

私 「は、はぁ・・・ (満員電車の中で押し潰されそうになりながら、1 回読んだだけ・・・(T-T))」
担当○○さん 「 OK です。では、テストに入りましょう ! ライバル企業からデルタ・ソリューションズに社長としてヘッドハントされたあなたは、入社早々、大きなトラブルに見舞われます。トラブルの内容は、このペーパーに書いてあります・・・」


○○さんは私に、5 枚程度のペーパーを手渡しました。そもそも、説明書の本紙すら十分に読み込めていないのに、追加の情報が加わるとは・・・(T-T)


担当○○さん 「では、その追加情報を 5 分で読み込んでください。トラブル内容と “あなたがすべきこと” は、全てペーパーに書いてあります。5 分後に、大口クライアントである ABC 銀行の役員が怒鳴り込んできますから、15 分以内でトラブルを解消してください。では!」
私 「ええっ !? 怒鳴り込んでくるって、ちょっと待ってくださいよ、○○さーーーん !(T-T)」


HR社担当の○○さんは、逃げるように部屋から出て行きました。察するに、いきなり無理難題を吹っかけて、私がそれに対してどう対応するかをテストしているのでしょう。こんなときこそ、慌ててはいけません。落ち着け、落ち着け・・・
「ふーーーっ ! 」 私は深呼吸して、追加情報に目をやりました。ペーパーの最後には、“あなたがすべきこと” が次のように書いてあります。

 

【あなたがすべきこと】
( 1 ) トラブルを謝罪し、取引継続の確約を得ること
( 2 ) ABC 銀行の経営戦略を聞き出し、デルタ・ソリューションズの新製品を売り込むこと
( 3 ) 今後の取り組みにおいて、ABC 銀行に対するあなた自身の関与率を 5 % 以内に抑えること


「うーーむ・・・」 私は少し考え込んでしまいました。( 1 )( 2 )は理解できるのですが、( 3 )の意図がわからない。 「自身の関与率 5 % 以内って、なんだろ、これ ? 」

コンコンっ ! と、突然、ノックの音 !
「ABC銀行の□□ですが、佐々木社長はいらっしゃいますか !!」


早すぎるっ ! 5分もたってないやろ ! 基本情報はおろか、トラブル内容を記載した追加情報も全く読み込めてないやないかーーーーーーーーーっ(T-T)


「入りますよ、私は忙しいんだ ! あなたが佐々木社長かね、今回の不始末、一体どうしてくれるんだ ! こちらとしては、訴訟も辞さないつもりなんだがね ! 」
「は、は、はいっ (T-T)(T-T)」


佐々木宏こと、奈良タカシ。絶体絶命のピンチ ! 次回、緊迫の展開へ !
(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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