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タカシの外資系物語

冬季オリンピックに見る 「日本人気質」 とは ?2010.03.16

マイナー競技が面白い !

いやぁーー、面白かったですねぇ、冬季オリンピック ! モーグル、フィギュア & スピードスケート、ジャンプ、カーリングと、連日熱戦を繰り広げてくれました。メダルを取った選手も、惜しくもメダルには届かなかった選手にも、盛大な拍手を送りたいと思います。また、遅れて開催中のパラリンピックでも選手の健闘に期待したいと思います。

 

今回のオリンピックを見ていて面白かったのは、これまでは必ずしもメジャーではない競技に脚光が当たっていたことではないでしょうか。中でもカーリングは、「チーム青森」の人気も手伝って、なんとゴールデンタイムに TV 放映されていました。ほんの 10 年前までは、考えられなかったことです。

 

実は私、10 年前までカーリングという競技をほとんど知りませんでした。今から 10 年前、私はプロジェクトでロンドンに半年間滞在していたのですが、そのときにカーリングをいうものを初めて知ったのです。

 

カーリングはイギリスが発祥の地でして、ロンドンでも非常に人気があります。冬場、日曜の午後になると、カーリングの中継を延々と放送している TV があります。その頃の私は、全くルールを知らなかったので、
「うーーむ、一体、何が面白いんじゃろうか・・・」
と、思いつつ画面に目をやっていました。わからんなら、見なきゃいいんですが、元来の負けず嫌いから、何とか英語でルールを理解してやろうと必死になっていました。

 

カーリングのほかにも、ダーツを中継している放送局もありました。ダーツのルールは何となくわかるので、見ていて理解はできるのですが、ホテルの TV がかなり小さい画面だった(予算の都合で安宿だった(T-T))ため、投げたダーツがどこに刺さったかわからない。画面の 30 cm 前ぐらいに鎮座して、かぶりつきで見ていたように思います。

 

あと、ペタンク ! ペタンクは、フランスが発祥なのですが、イギリスでも人気があるようです。日本の「ビー玉」みたいなもんだと思うのですが、どう見ても TV 向きではない。全く華がない、というか、地味過ぎる・・・ 想像していただけるとわかると思うのですが、公園で子供たちがビー玉で遊んでいる様子を中継しているようなもんでして、見続けるにはかなりの忍耐を必要とします。

 

ま、いずれにしても、スポーツというのはお国柄を端的に表すものでして、比較すると非常に面白いですよね。

前に出られない日本人

話を戻しましょう。オリンピックやワールドカップなど、世界規模のスポーツ大会を見ていると、様々なことに気付きます。例えば、柔道をなどでは、日本は伝統的な「柔道」にこだわるあまり柔軟性を欠き、その結果、レスリングまがいの「JUDO」に負けてしまう。これって、文化やビジネスの世界にも通じることのように思います(『「なんじゃコリャ」に勝てるか ? 』参照のこと)。

 

今回の冬季オリンピックを見ていて、私が一番気になったのは、スピードスケートの「ショートトラック」です。ご存知の通り、男子 500 m で銀・銅をとったのは、通常のスピードスケートで、各選手はあらかじめ決められたコースを滑ります。一方、ショートトラックは、1 周 100 m 強のコースを、4 名の選手がダンゴ状態になって滑ります。コースがあらかじめ決められているわけではないので、できるだけインコース、かつ前に出ることが重要。つまり、スタートで全てが決まると言っても過言ではないのです。

 

日本人選手のレースを見ていると、このスタートが極めてよろしくない ! よーい、スタート ! 「あわわわ・・・ あたふた、あたふた・・・」 としている間に、敵はスッと前に進んでいます。まるで、一番前に並んでいたにもかかわらず、座れなかった電車内のようです(ちなみに、私の奥さんは、始発電車で一番前に並んでいたのに座れなかったことがあるそうです。どんな運動神経やねん・・・)。

 

一方、ショートトラックを得意とする韓国や中国の選手を見ていると、スタート直後に前に出るのが非常にうまい。「おらおら、どけー ! 」「どきよしっ !(※)」 ものすごい形相で、先頭をゲットしていきます(※「どきよし」とは、「どいてください」の京都弁。女性が使う。漫才のいくよ・くるよさんがよく使っていました)。

 

「あーあ、またスタートで失敗したよ・・・(T-T)」 日本選手は、コーナーリングなどの技術が優れているだけに、見ていて本当に惜しい。もっと露骨に攻めてもいいように思うのですが、日本人独特の「奥ゆかしさ」が邪魔をしているのかもしれません。

「先行逃げ切り」のススメ

そもそも日本人は、「まず前に、先頭に出る」という考え方が希薄です。その理由は、「奥ゆかしさ」だけでなく、「スタートはビリでも、最後に勝てばいいんだろ ! 」という意識(美学 ? )もあるように思います。確かに、勝負というものは、「ゴールの段階で先頭だった人が勝ち」なわけですから、スタート地点ではビリでもいいのかもしれません。これは、「ウサギとカメ」的な発想。しかし上記で述べたショートトラックのように、スタート時点で先頭にいないことが、致命的な結果を招くケースもあります。

 

また、単純に考えても、スタート段階で 30 cm 前に行くことと、ゴール直前に 30 cm 前に行くことを比較すると、前者の方が楽な気もします。これはビジネスでも同じ。例えば、世界各国の人が集まるミーティングなどにおいて、日本人は、まず先頭の席には座りません。日本人以外の人が、前から座っていくのとは対照的です。

 

質疑応答の時間になると、両者の差はもっと出てきます。前に座っている人の方が、明らかに有利だからです。プレゼンターとも近いし、仲良くなりやすい。自分にとって有利な状況をとれるにもかかわらず、あえて前に行かずに後ろに座る。この様を見て、外国人の同僚は、「日本人というのは本当に不思議だ」と言います。確かにそうかもしれません。

 

外資系企業であるわが社では、さすがに前の座席が空くようなことはありません。しかし、日系企業のお客様を招いて、わが社の外国人役員が話すような場面で、先頭の座席が空いていることがときどきあります。講演が終わってから、わが社の役員が一言、「日本のクライアントは、私の話を聞きたくないのか ? 私の話は、そんなに面白くないのか ? 」 ・・・はっきり言って怒っているわけでして、「そんなつもりはない、悪気はない」と言っても無理。「彼ら日本人は後ろに座っていますが、前の人より話を聞いています。ゴール直前に、前の人を追い抜きます ! 」と言っても、まず通じないでしょう。

 

日本人の奥ゆかしさは尊重するとして、もう少し、大胆に「先行逃げ切り」の姿勢を見せてもいいように思います。2 ちゃんねるなどの掲示板で、スレッドの 1 番目をとった(ゲットした)ときに、「 1 get( 1 ゲト)」などと書かれていたりしますが、この精神が重要なのではないでしょうかね。ビジネスの世界では、従来の年次決算から、グローバル・スタンダードである四半期決算、月次決算に移行しています。実力があるのなら、早い段階で出した方がいい。出し惜しみしているうちに、勝負が終わることのないように気をつけたいものですね。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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