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タカシの外資系物語

手荷物チェックに見る“外資流アクション”とは ? ( その 2 )2009.12.22

アメリカで、「チェッ ! 」 と言うのは・・・ ?

前回の続き) この 12 月 1 日に実施された、空港手荷物チェックの大幅変更。機内持込手荷物が厳重にルール化されたことに対して、機内に荷物を持ち込むことができなかった日本人の多くは「チェッ ! 」と言い放って、ブツブツ文句を言う人が多いようです。しかし、文句は言うものの、結局はルールに従う・・・ という話をしました。では、同様のことが起こったとき、アメリカ人はどのような反応をするでしょうか ?


上記のお話をする前に、日本とアメリカでは、手荷物検査の趣がかなり異なります。一番の違いは、検査官の態度でしょう。そもそも検査官の仕事は、「不審な荷物がないか検査をすること」ですから、一般のサービス業のようにニコニコする必要はない。これは、私もそう思います。現に、日本の手荷物検査やパスポート・チェックの係官だって、お世辞にも愛想がいいとはいえません。しかし、アメリカの空港では、無愛想の域を超越した対応をされるケースがあります。


昨年、アメリカに出張した際に、こんなことがありました。私は、カバンにペットボトルを入れたまま、手荷物検査の機械にかけてしまいました。日本なら、ピー ! とか鳴って、ペットボトルを抜いた後に、再度機械にかけることになります。


日本人検査官 「申し訳ありませんが、ペットボトルが入っているんで・・・ もう一度通させてもらいます」 こんな感じでしょう。
しかし、アメリカの検査官にかかると、日本人の既成概念は一気に吹き飛びます。
アメリカ人検査官 「Tsk ! Hey, man ! You did not see the NOTICE ! (チェッ!おい、あんた !(ペットボトルは機械に通すなという)掲示板を見なかったのか ? )」
私 「So・・・ Sorry, very sorry ! (ご、ごめんなさい ! )」
・・・こんな具合で、もう平謝りです。ですから、アメリカの手荷物検査で引っかかったときは、乗客が「チェッ ! 」言う前に、検査官が「チェッ ! 」と言う場合が多いとなります。


1 つお断りしておきたいのですが、私は日本の検査官が丁寧な対応で、それに比べて、アメリカの検査官が横柄だと言っているわけではありません。その国に行けば、その対応が普通なのであって、国をまたがった比較は単純にはできないからです。「アメリカ人の検査官は横柄でけしからん ! 」ではなくて、その多様性を受け入れてこそ、グローバルに通じるビジネスパーソンになりえるのかな、と考えています。

アメリカ人乗客は、「チェッ ! 」 と言わない ?

話を戻しましょう。検査官が「Tsk ! (チェッ ! )」という話はさておいて、手荷物検査で引っかかったアメリカ人乗客は、どのように振舞うのか ? 私の経験則からいうと、「黙って従う ! 」というケースが多いように思います。上記例のように、「Sorry ! 」と必死に謝っているアメリカ人も、よく目にします。一方で、「チェッ ! 」などと悪態をついたり、文句をタラタラ言い続けたりするようなケースは、ほとんど見たことがありません。


なぜか ? それは、アメリカ人の基本的な考え方として、「一度決まったルールについては、つべこべ言わずに黙って従う」 というのがあるからだと思います。一般的に、アメリカ人は、物事が完全に決まるまでは、徹底的に議論をします。持論とそのメリットを切々と述べ、自分の思う方向にルールを持っていこうとします。しかし、ひとたびルールが決定されれば、その後文句を言うようなことはしない。一度決まったことをウダウダ言うのは非効率だし、何よりもカッコ悪いと考えているフシがある。


一方、日本人の場合は、ルールを決める際にも、持論をゴリ押しするようなことはほとんどない。仮に、そのルールよりも、持論の方が優れていると思っていたとしても、自己主張しない。で、いざルールが決まってからも、「あれは、こうした方がいい。こうすべきだった・・・」と、文句を言い続ける・・・ こんな感じでしょうか。


「アメリカ人は自己主張が激しく、自説を曲げない」と、よく言われますが、それは上記の通り、ルールが決まるまでの間であって、ルールが決まった以降は非常に従順です。「アメリカ人は謝罪しない」も同様に、あくまでも議論中の話であって、確立されたルールのもとでは、彼らは日本人以上に「Sorry !」 と謝ります。「アメリカ人は、どんな場合でも、決して謝罪しない」 - このことは、アメリカ人に対する一種のステレオタイプ的な誤解だと思います。

ビジネスに有利なアメリカ人の対応

では、ビジネスの世界において、アメリカ人と日本人における上記対応の違いは、どちらが「有利」に働くのでしょうか ? 私は、アメリカ人的な対応の方が有利だと思います。


みなさんの周りで、出世している人を見れば一目瞭然でしょう。彼ら(彼女ら)出世頭の特徴は、「ルールや方針決めなど、議論の際には自己主張が激しい一方で、いったんルールや方針が決まれば、極めて従順にそれに従う」 ということです。「今は議論の場面です。意見や文句があれば、どんどん言ってください ! 」 「今は実践の場面です。つべこべ文句など言わず、黙って作業してください ! 」 この 2 つがはっきりしている。言い換えれば、リーダシップを発揮する場面と、会社の歯車として割り切る場面のメリハリがはっきりしているのです。私自身思い返してみても、日系の銀行に勤めているときも、外資コンサルに転職してからも、出世する人には上記の共通項があったように思います。よって、これは日系・外資系問わず、出世するための、一つの普遍的な要素なのかもしれません。


出世しないその他大勢(私も含め)にとっては、「なんだアイツ、目立ちやすいときにだけ自己主張して、普段はいい子ちゃんぶりやがって・・・(怒)」 などといった妬みにつながっていくわけですが、上記のように整理してみると、決して「いい子ちゃん」ぶっているわけでもないことがわかる。議論すべきとき、文句を言うべきときは言って、いったん決まったことには黙って従う・・・ という非常に合理的でわかりやすい行動パターンを示しているにすぎないのです。


上記だけでなく、アメリカ人の行動パターンというのは、一般的に非常にシンプルでわかりやすいものが多いように思います。シンプルでわかりやすい方法は、認識されやすい。認識されやすい方法は、評価されやすい。出世する人(会社で評価される人)というのは、「シンプルでわかりやすい方法を使って、会社に貢献している」 という言い方もできます。


私など、自分では努力しているつもりでも、その方法が極めて「自己流」でわかりにくい。だから、認識されない。おまけに、ひとたび決まったことについても、後から「ブーブー」と文句を言っている・・・ まさにこれは、評価されない典型的なパターンのようですね・・・(T-T)


手荷物検査について。乗客の立場としては、まずはルールが守れるように事前の準備を怠らないこと。そして万が一、検査に引っかかった場合には、「すいません ! 」と一言言って、機内持ち込みを諦めて、コンテナ預かりに切り替えること。と同時に、航空会社に対しては、必要に応じてルールの見直しをはかるよう要求していくこと(航空会社としては、積極的にアンケートなどをとるといった対応が必要でしょう)。言ってしまえば当たり前のことですが、こうすればシンプルでわかりやすいし、何よりも気持ちよく飛行機に乗れるように思います。自分自身でも、心がけたいと思います。


さて、このコラムが、本年最終号となります。みなさん、体調には十分留意されて、素敵な年末年始をお過ごしください。

 

Merry Christmas! & よいお年をーーーっ!

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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