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タカシの外資系物語

日本のオフィスが整理・整頓されている理由2009.08.04

アメリカ人が驚く日本の "整理・整頓"

「それにしても、日本のオフィス、いや、日本人というのはスゴイねぇ・・・」


1 ヶ月前に、ニューヨーク本社からアサイニーでわが東京オフィスにやってきた、同僚の Tom 。何やら、しきりに感心しています。


私 「何がスゴイの ? 」
Tom 「いやぁ、どこに行ってもオフィスが整理・整頓されていて、本当にキレイなんだよなぁ・・・」


確かに・・・ 自分で言うのも何ですが、わが社のオフィスはきれいに整理・整頓されています。文房具は一ヶ所にまとまっているし、コピー用紙も散乱していない。机の上には、何もない。チリ 1 つ落ちていない・・・


私 「アメリカだって、そうだろ ? そもそも、東京オフィスのレイアウトって、ニューヨークの本社を真似してるって聞いたけど・・・」
Tom 「朝一番だけだね、キレイなのは・・・ 昼ごろになると、すでにグチャグチャになってる」
私 「どういうこと ? 」
Tom 「朝一番に清掃のスタッフが掃除してくれるんだよ。だから、朝一番はキレイ・・・」


確かに・・・ 私も半年ほど海外のオフィスで働いたことがありますが、昼ごろには見るも無残な状態になってましたっけ・・・


私 「でもさぁ、俺が以前働いていた日系の銀行なんて、ヒドイもんだったぜ。書類が山のように積んであって、その中を縫うように仕事をしていたんだから・・・」
Tom 「ふーーん、でも、"整理" はされてただろ ? そんな中でも、仕事はやってるんだから。アメリカ人がそんな状態に置かれたら、仕事なんてできやしない ! 」

「空間」 と 「機能」 で分ける役割分担のちがい

日本のオフィスが整理・整頓されていることに感心しているTom。わが社についてはその通りなのですが、一般の日本企業の中には、書類が散乱している所もあると説明すると、「整理はできているはずだ」と反論されました。Tomの指摘を整理すると、以下のようになります。


( 1 ) 一般的に、日本のオフィスは整理・整頓されている(書類が散乱している場合も、それはそれなりに整理されている)
( 2 ) 日本人は、ひとたび整理・整頓された状態を、長期間保持することができる


一部異論がないわけではないですが、一般的にはそうかもしれません。アメリカ人に比べると、日本人は整理・整頓が得意だと認識されている。しかし、理由はそれだけなのでしょうか ?


私の見解は少し違います。「整理・整頓が得意」なのではなく、「整理・整頓を自分でやるか、やらないか」の差ではないかと思うのです。アメリカ人の場合、整理・整頓や掃除は、専任のスタッフがやることになっています。事務などのオフィスワークをしているスタッフは、それをやろうとしない。というか、自分の役割ではないから、あえてやらないのです。オフィスワークをしている人が掃除までしてしまうと、掃除専任スタッフの仕事を取ってしまうわけで、役割が違う以上、それぞれのエリアには踏み込まないという思想が徹底しているのです。


そういえば、以前ニューヨークにいたときに、資料の製本作業を自分でやろうとしたら、「You cannot get me rid of my work!!!」( 私の仕事を取らないで ! )と文句を言われたことがありましたっけ・・・ (『私の仕事を取らないで ! ( ニューヨーク紀行その 3 )』)。


日本人の場合は、オフィスワークだろうが掃除だろうが、基本的には何でもやる。自分が占有している「空間」に関する仕事は、全てやるわけです。一方、アメリカ人は、「機能」で仕事を分ける。「空間」 と 「機能」、この発想の違いが大きいように思います。


加えて、元来日本人は整理・整頓や掃除が得意だというのも、それはそれで正しい。初等教育において、整理・整頓の実践に、どれだけの時間を割かれていることか ! 今思うと、小学校時代の、少なくとも 1/3 程度は、もっぱら掃除をやっていたように記憶しています。

 

日本の 「ものづくり」 の強さも、実はそこに起因していて、工場などの生産現場では、 「5S」 などの活動が盛んです。 「5S」 というのは、 「整理・整頓・清掃・清潔・躾(習慣化)」 を指します。これは、 「"整理・整頓・清掃” を通して、"清潔" な状態を、"習慣化" しよう ! 」ということ。「習慣化」というのは、言い換えれば、「継続的に実施することで、よくない点を改善していこう ! 」ということと同義、つまり 「PDCAサイクルを回そう ! 」 ということなのです。日本人は、伝統的にこれを実践することで、国民性にまで高めたわけですから、やはりスゴイのではないでしょうか。

日本の街がきれいな理由

最近、欧米の雑誌などを読んでいると、外国人記者が日本ついて、以下のように記述しているのをよく目にします。
「日本は不景気だ、不景気だと言っているが、とんでもない ! 街中を歩いていて、あれほどきれいに清掃がされている国が、不景気なわけがない ! 」


私に言わせれば、これは認識違いです。日本人の国民性を理解していない。この外国人記者の頭には、「 不景気 → 町を清掃するスタッフを雇えない & 国民のモラルが下がる → 町が荒れて汚くなる 」 という欧米流の図式があるように思います。しかし、これは違うでしょう。日本人の場合は、不景気だろうが何だろうが、一定のモラルを保って、自ら整理・整頓・清掃をするのです。だから、仮に景気が一層悪くなったとしても、欧米の都市のように、荒廃していくことはないように思います。


株価は回復の兆しを見せているものの、依然として求人率は低く、失業率は高止まったまま。不景気は長期化の様相を呈しています。おまけに、夏になっても夏らしいスカッとした天気にもならず、なんか気分が滅入る今日この頃。そんなとき、日本人の原点に返って、「掃除する」っていうのはどうでしょうか ? 気分がスッキリして、「やるぞーーっ ! 」って感じになってきますよ !


ん ? お前の言うことはよくわかるが、それは町やオフィスの話であって、自宅には当てはまらない って ? 俺の部屋は、手がつけられないぐらい、荒れ放題だ って ? ハハハ・・・ それは私もその通り。アメリカのような庭付き大邸宅ではなく、「ウサギ小屋」に住んでるんですから、掃除しないと住む場所がなくなります。私も早速、週末に自宅の掃除しよっと・・・

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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