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タカシの外資系物語

自称 "アイデアマン" の悲哀2009.06.09

アイデアに必要な 3 要素

「私、こう見えても “アイデアマン” なんですよ ! 新規商品を企画するようなプロジェクトがあれば、是非入れてください」
最近、こんなことを言う若い人が増えています。そういえば、学生さんの採用面接でも、同じようなことを言う人がいましたっけ ? 自分は新規のアイデア出しが得意だから、クリエイティブな仕事に就きたいとか、何とか・・・ 
しかし、自分でアイデアマンだという人に限って、そのアイデアは、仕事ではほとんど使えないことが多い。具体的には、次のような質問に耐えられないことが多いのです。


( 1 ) そのアイデアには、どのくらいのコスト (手間) がかかるか ? = Cost
( 2 ) そのアイデアを実施すると、どのような効果があるのか ? = Effect
( 3 ) そのアイデア以外で、同様の効果を得られるものはあるか ? = Alternatives


例えば、部内の親睦を深めるために、飲み会を計画する場合を考えましょう。どのような飲み会にするか、いろいろとアイデアが出てくると思います。 「フレンチの三ツ星レストラン」 「高層ビルの最上階で夜景を見ながら」 「東京湾でクルージング」 ・・・ さて、そりゃ理想を上げればキリがないでしょう。私も 「高級鯛めし」 なんて、一度は行ってみたいし。しかし現実には、参加者の懐具合 (コスト=Cost) も考えてやらないと、独りよがりの企画になってしまいます。


また、その企画を実施することで、本当に目的を達成できるのか ? つまり、効果 (=Effect)は上がるのか ? 三ツ星レストランでフォーマルにかしこまって食事をとっても、部内の親睦は深まらないかもしれません。

 

もう 1 つ重要なのは、その目的を達成するためには、飲み会以外の手段はないのか ? つまり、代替案 (=Alternatives) はないのか ? ということです。中には、夜は家庭でゆっくりと過ごしたいと考えている人もいるかもしれません。ならば、飲み会にしなくとも、少し豪華なランチの方がいい場合もあるでしょう。
いずれにしても、アイデアというのは、Cost、Effect、Alternatives の 3 つが揃ってこそ、実用に耐えうるものだということです。

自称 “アイデアマン” は使えない?!

さて、自称 “アイデアマン” の悲しいところは、Cost、Effect、Alternativesの 3 要素がなく、単にアイデアの言いっぱなしにすぎないというところです。行きたいレストランを片っ端から挙げろというなら、情報誌やインターネットを見ればわかること。そこには、ほとんど価値はありません。ビジネスにおける「アイデア」とは、Cost、Effect、Alternativesの 3 要素が明確で、実用に耐えうる状態のものを指します。

 

みなさんも経験があると思いますが、ビジネスで企画を固めていく場合、それぞれの作業に、どの程度の時間を割いているでしょうか。おそらく、アイデアだしは 10 % 以下、残りの 90 % 以上はCost、Effect、Alternativesの 3 要素を固めるために使っているのではないでしょうかねぇ。つまり、ビジネスにおける “アイデアマン” というのは、単にアイデアを出して終わりの人ではなくて、その実現性を高めることができる人を指すということ。この基準でいえば、自称 “アイデアマン” の多くは、ビジネスにおいては、あまり使えない人だということになります。


では、本当の “アイデアマン” になるためには、どのようにすればいいのでしょうか ? 言い換えると、アイデアに付随するCost、Effect、Alternativesの 3 要素を明確にできるということを意味します。もちろん、常識力や最近流行のロジカル・シンキング=地頭力も必要といえば必要でしょう。しかし、私に言わせれば、最も重要なのは 「経験」 です。多くのアイデアというのは、膨大な経験の積み重ねで構成されています。過去の経緯=経験や実績 を知らない人には、アイデアは生み出しにくいように思います。

真の “アイデアマン” になるために

結局、こういうことなのでしょう。自称 “アイデアマン” というのは、悲しいかな、ビジネス上有効なアイデアとは何か ? ということを知らない人が多い。アイデアというのは、経験に裏打ちされる部分が多く、才能を使ってポンポン出るようなものではない (もちろん、アートなどではそういう世界もあるでしょうが) 。つまり、地道な下働きが重要だということです。


これは私の感覚なのですが、自称 “アイデアマン” は、下働きを避けている人が多いように感じるのです。 「私には “アイデアマン” という才能があるのだから、下働きは他の人より少なくてもいいはず」 「私は短期で戦力になるはず」 「だから、あなたは初めから私を主要な役割で使うべきである」・・・ おいおい、ちょっと待って ! そんな、言いっぱなしのアイデアなんて、全く使えないんだから。もっと、経験を積んでくれよ !


最近、私は自分の言い分を曲げない、自称 “アイデアマン”に対して、以下のように対処しています。
スタッフAくん 「タカシさん、僕は新規業務のアイデアだしが得意なので、そういうチームに入れてください。業務フローを描くのは、僕じゃなくてもできるから・・・」
私 「(おいおい、自称 “アイデアマン” がまた出たよ ! ) ふーん・・・ ところでさ、業務フローはどのくらい速く描けるの ? 」
スタッフAくん 「は ? 」
私 「他の人より速く描けるんなら、その余った時間で新規業務のアイデアを考えてよ。仮に、フローを描く時間が他の人と同じなら、先にそっちの腕を磨いてくんないかな? アイデアだしのうまい人って、何やらせても、うまくて速いもんだから。君にもできるはずだろ ? 」
スタッフAくん 「・・・」
こう言うと、大抵の自称 “アイデアマン” は引き下がります。引き下がるってことは・・・ やっぱり下働きから逃げているんですよね、これは・・・。


若手のみなさんに一言。どうか、下働きから逃げないように。就職していきなりアイデアだしや企画業務に就いている人はいません。それは人事部の嫌がらせではなくて、それなりの理由がある。ある程度の下働きを経験しないと、有効なアイデアが出ないから、そういうルートになっているのです。

 

あと、自称 “アイデアマン” は、見ていてちょっとダサい。「ダサい」という言葉自体がかなりダサいのですが、それ以上に「ダサい」。もうちょっと、スマートに自己主張してよって、感じです。今やってる仕事を、半分の時間でやっちゃうとか、そんな実績の出し方がいいように思います。


みなさんが、自称ではなく、真の “アイデアマン” になりますように・・・ 私も応援しています !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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