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タカシの外資系物語

インフルエンザ狂想曲 ( その 2 )2009.06.02

日本は過度に慎重すぎるのか ?

前回の続き) 今回の新型インフルエンザについて、日本の対応が過度に慎重すぎるという声が、マスコミなどでもよく聞かれます。感染の恐れのある海外渡航者は、10 日間程度、ホテルか自宅で様子を見てから外出すること。京阪神地区の学校では休校が相次ぎ、修学旅行が中止になるケースも多く見られたこと。マスクが品切れで、店頭からなくなったこと・・・


ま、確かに、少しやりすぎの感は否定しません。しかし一方で、「日本の対応が過度に慎重すぎる」という論にも、実は決定的な論理矛盾があります。なぜなら、インフルエンザ発症の初期には、だれもが恐れていたにもかかわらず、「弱毒性で、季節性インフルエンザと変わりなさそう・・・」とわかった段階になって初めて、「慎重すぎる」と言っているからです。初期の段階で、「大げさだ、普通の風邪だ!」と言えた人がいたでしょうか。結果を踏まえて論評することぐらい、だれでもできるのです。


弱毒性か強毒性かの議論についても、初期には、「現状は弱毒性であっても、ヒト - ヒト 感染によって、強毒性に変異する可能性がある」と言われていたように思います。そんなこと言われたら、だれだってビビるじゃーないですか、ねぇ ? 加えて、日本人は元来心配性なんですから、脅かされたら、過度に反応する人が多い。しかし、過度に反応するからこそ、リスクを極小化できている面もあるわけです。製造業における歩留まり向上のための念入りな確認作業などは、心配性・潔癖症の日本人ならではのもので、それこそが日の丸製造業の競争力となっている側面もある。もう少し、日本人の気質に誇りと自信を持ってもいいのではないかと思います。


あと 1 つ、「マスク意味なし論」 (マスクをつけてもつけなくても、感染確率にはほとんど影響しないという論) については、真っ向から反対します。絶対に効きますって、マスク ! つけた方がいいに決まっているじゃないですか ! 前回お話したように、私はノドが弱いので、風邪の流行に関係なく、人ごみではマスクをつけることが多いのですが、つけるのとつけないのとでは雲泥の差があります。そもそも、直感的に、「マスク意味なし論」って、何かおかしいような気がしませんか ?  そりゃ、何日も同じマスクを使ったり、外出時にはずしたりしちゃダメですよ。でも、継続的に着用している限りにおいては、効き目があるに決まってるじゃないですか、ねぇ ? 何でもかんでも、外野の声に踊らされちゃいかんのですよ、まったく・・・

休校による 「機会損失」

以上述べたように、基本的には、私は慎重な対応をとった日本 (政府) を擁護する立場をとります。しかし、慎重「すぎる」部分があったのも確かです。その 1 つが、学校の休校。感染者が出た学校を休校にするのは仕方ないですが、それ以外の学校を休校にしなくても良かったのではないかと思っています。
その理由は、学校とは「教育の場」だからです。手洗い・うがい・マスクを徹底することで、自分に降りかかるインフルエンザというリスクをヘッジする術を、学校は生徒に教える必要がある。一律に 「休校」 ということは、せっかくの教育の機会を逸している、または放棄しているように思えるのです。


「そんな乱暴なことを言って。学校に行って、もし新型インフルエンザにかかったらどうするの ?  責任取ってくれるんでしょうね ! 」 いや・・・ だから、少しでも心配なら、親の判断で休めばいいじゃないですか。風邪をひくのは本人の問題であって、学校の責任ではありません。もちろん、明らかに風邪をひいている生徒に、「家で寝てろ ! 」 という責任は、学校にあるという前提ですが。結局のところ、モンスター・ペアレントを恐れた結果が、一律に 「休校」 ということになっているように思います・・・

「一律対応」 は悪いのか ?

外国人が日本人に抱く違和感の 1 つに、この 「一律対応」 が挙げられます。
「どうしてみんなマスクをしているんだ ! そういう法律があるのか ? 」
これは、わが社のアメリカ人役員が言った言葉なのですが、アメリカ人にとっては、全員が同様にマスクをしている様子が、かなり異様に映っているようです。どうして、ほぼ全員がつけるのか ?  どうして一律なのか ? 


私の同僚に、こんな人がいます。彼は都内の大規模高層マンションに住んでいるのですが、先日こんなことがありました。その日、彼は会社に遅刻しそうになったので、慌てて家を出たそうです。ちょうど、新型インフルエンザが流行の兆しを見せていた頃なので、いつもならマスクをして出て行くのですが、その日は着けるのを忘れてしまいました。で、帰宅後・・・


彼 「ただいまぁ・・・」
奥さん 「お帰り。ねぇ、あなた・・・ 今日、マスクせずにマンションの中歩いたでしょ ? 」
彼 「あ、あぁ・・・ 慌てて家を出たからなぁ・・・」
奥さん 「隣の奥さんに、『お宅の旦那さんは、このご時世にマスクもせずに外出するの ? 信じられない ! 』って、言われちゃった。知らない間に、マンション中の噂になってるみたいなの。あたし、もう悔しくて、悔しくて・・・(T-T) 明日から、必ずマスクしてよね ! 約束よ ! 」
彼 「あ、あぁ・・・ (なんじゃ、そりゃーーーーーーーーーーーーっ (T-T)(T-T)(T-T))」


おそらく日本人が一律対応を好むのは、「自分の意思でそうしたいから」 ではなく、「他人と同じでいたいから。同じだと安心だから。突出したくないから」 という理由なのだと思います。西洋的な個人主義の観点から見ると、確かに違和感があるかもしれません。しかし、日本人的には、ま、ありえる話かな、と。高度成長期において、大きな格差もなく、「一億総中流」 として国全体が発展できたのも、この 「一律同じ」 の発想が貢献しているように思います。


さて、今回のインフルエンザ騒動も収束に向かっています。世界で同時多発的に何かが起こるとき、われわれは、お互いに学ぶことができるように思います。水際対策を徹底した国は被害を最小限にしている、過度に慎重になりすぎなくとも大丈夫・・・ それぞれの国や民族が学んだ教訓をシェアすることで、より強い社会が築ける。これは、企業社会においても同じことがいえるように思います。


「それにしても、日本人はみんなその風邪にかかったのか ? 風邪ひいたなら、家で寝てればいいのに・・・」
これも役員の言葉。確かに、家で寝てればいいのに・・・ みなさんも、風邪をひいたら無理せずに、たまにはゆっくり休みましょう、ね!

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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