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タカシの外資系物語

「日本のサービス」 なんか、おかしい ・・・ ( その 2 )2009.04.28

自分勝手なサービス

前回の続き) 前回のコラムでは、私が飛行機の機内で体験したエピソードをもとに、日本の顧客サービスに関する「矛盾」をお話しました。サービスを必要としていない人に対してものすごくおせっかいだったりする一方で、ルールを守らないクレーマーを優遇したり・・・ やっぱり、なんかおかしい・・・


実は、前回のコラム掲載後、読者のみなさまから何通かのコメントをいただきました。内容としては、「(タカシの言い分に)同感だが、実際の現場では、クレーム客には対応せざるをえない」「 1 社が特別なサービスを始めると、他社も追随しなければ生き残れない。よって、サービスがゆがんだ方向に、かつ過剰に提供されることもある」・・・ といったものでした(コメントを頂戴したみなさま、ありがとうございます ! )。


「サービスの過剰提供」については、私も同感。私は小売店で店員さんに付きまとわれるのが大嫌いなので、店に入ったら開口一番、「必要なら呼びますから ! 」と宣言することがあります(「放っておいてくれ宣言」)。もしかしたら、「なぁに、この人・・・ 変わった人ねぇ・・・」と変人扱いされているかもしれません。でも、自分で買うものぐらい、ゆっくり選びたいわけです。


ところが、「放っておいてくれ宣言」をしたにもかかわらず、「どうなさいましたか ? 」「これが最近のトレンドですよ ! 」としつこい店員さんもいます。その一方で、買うものが決まって、「すいませーーん ! 」と店員さんを呼んだときに限って、忙しそうにして、だれも来てくれないことが多い。どないやねんっ ! 今来てくれてこそ、本当のサービスやないかーーーっ !


つまり、サービスを提供している主体が、自分の手が空いたときにだけ、自分勝手なサービスをすることを、本当の「サービス」だと勘違いしているわけです。ま、実際の現場では難しい部分も多々あるでしょうが、何とか改善してほしいポイントの1つだと思います。

サービスの “出し惜しみ” ?

私の上司である Thomas は、よくこんなことを言います。
「タカシを含めて、日本人というのは本当に気が利くなぁ・・・ アメリカ人の部下は、こんなことしないよ ! 」


私は Thomas にレポートを上げる際に、常に関連するデータを合わせて提示しています。例えば、部門の収益データを要求された場合には、他の部門のデータや同業他社の状況なども、資料に追加しておくわけです。 Thomas は、それについて感心しているというわけ。


Thomas 「これほど気が利くのに・・・ どうして、お客様向けのサービス提供は下手なんだろうね ? 日本では、品質が良くて売れることは多いのに、サービスが良くて売れる例を、あまり聞いたことがない・・・」


確かに、Thomasの言うとおりかもしれません。なぜでしょうか ?

 

私 「日本では、サービスよりも品質を重視してきたことは確かだね。その結果、サービス業よりも製造業の方が、国際的な競争力が高いのは事実だし・・・」


Thomas 「ふむ、それはそうなんだが・・・ でも、私の感覚では、日本でもサービス業が発達する素地はあると思う。本当はできるのに、"出し惜しみ" してるんじゃないのか ? 」
私 「"出し惜しみ" ?」


上司の Thomas には的確なサービスが提供できているのに、肝心のお客様には、不十分なサービス提供しか実施していない・・・ それは、"出し惜しみ" ? 
Thomas 「私の感覚では、日本人というのは、非常に practical (実務的) な考え方をしていて、ほぼ百発百中、確実に喜んでくれる相手にしか、本当のサービスを提供しないように思う。効果があるかどうか見えない相手には、進んでサービスを提供しないようにしているんじゃないのかねぇ ? 」

成熟国家における未成熟なサービス

Thomas の言い分は、かなり当たっているのではないでしょうか。つまり、サービスの「ムダ打ち」を恐れて、確実な相手にしかサービス提供しない。だから、大きくはずすことはない代わりに、大当たりもしないわけです。


ディズニーランドのサービスが、日本人にとって新鮮なのは、客が見ていようが見てなかろうが、手を抜かないところにあるのではないでしょうか。客がいないところで、ダラダラ歩いているミッキーマウスはありえません。そこには多大なサービスの「ムダ打ち」があるわけですが、いつでもどこでも質の高いサービスを提供しているからこそ、われわれに訴える何かがあるように思います。


戦後、日本が奇跡の高度成長を実現していく中で、われわれは、限られた資源を品質の高い「モノつくり」に集中させました。ムダを極力排除して、効率性を究極に追求した結果、サービスにまで効率性を求めるようなった。そのため、「ムダ打ち」があってこそ成り立つサービスの分野において、その土台(基礎)が未だに形成されずに終わっているわけです。土台が脆弱なために、やれクレーム客だ、やれコンプライアンスだ・・・ と、その表層部分で踊らされているのではないでしょうかね。


ご存知の通り、日本の高度成長期は終わり、すでに成熟した国家の仲間入りをしています。一方で、G7 の中では、まだまだ「新参者」の域を出ません。今後は、「モノつくり」だけではなく、サービスの提供においても強みを発揮していかなければ、ますます国際社会から孤立していくことになりかねません。


Thomas 「タカシ、"Client First" って、知ってるよな ? 」
もちろん !  "Client First" (顧客第一主義)というのは、わが社における経営理念の大きな柱です。


Thomas 「俺へのレポートで気を利かせてくれている分の何割かを、客に回してみようか。ハズしても構わないから、やってみよう。多分、どこかで大当たりするはずだから・・・」


うーむ、そりゃその通り。少し、反省しますね。 ただ、Thomas への「サービス」が低下したら、それはそれで怒られるわけで・・・。一度、ハイレベルのサービスに慣れると、レベルは下げられないもの。ま、サービスというのは、魔法にもなり、魔物にもなる・・・ 難しいもんです、ホントに・・・ 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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