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タカシの外資系物語

上司へのブリーフィング ( その 2 )2009.04.14

上司のパターン2類型

前回の続き) 上司を連れて、顧客を訪問するのに際し、事前に内容を簡単に報告しておくことを、「briefing (ブリーフィング)」と言います。ブリーフィングの内容を踏まえて、その上司は顧客に対して何らかのコメントやプレゼンをすることになるのですが・・・ 前回のコラムでは、ブリーフィングにおける上司の振る舞いパターンとして 2 種類ある、というお話をしました。

 

● パターン A  「私のセリフを考えて!」 or 「俺のコメントを考えてくれ ! 」
 恥をかかない程度に、当たり障りのないコメントができればいいというタイプ。日系企業に多い。
● パターン B  「私のセリフに合わせなさい ! 」
 自分なりの見識をもって、カッコいいプレゼンをしたいというタイプ。外資系企業に多い。


以上のように比較すると、何となくパターン B の上司が頼もしく見えます。ま、確かに頼もしいのでしょうが、どちらも結構手間がかかります。
パターン A の上司の場合、ブリーフィング自体は簡単に済むので楽チンですが、当日、顧客との面談において、ちゃんと話してくれるだろうか・・・ とヒヤヒヤしてしまいます。一方、パターン B の上司の場合、当日話してくれるかどうかという心配は少なくて済むのですが、説明資料を上司の言い分に合わせなければならないなど、事前の準備に骨が折れます。


あと、パターンAもBも、本質的には顧客とのビジネスを理解しているわけではないので、深い質問をされるとハマります (パターンAの上司が状況を理解していないのは、おわかりでしょう。一方で、パターンBの場合も、自分の勝手な言い分を話しているだけなので、実は理解していないのですな・・・)。ま、いずれにしても、懇意の顧客のところに、たまに上司を連れて行くのは、日系だろうが外資系だろうが、気を遣うということに変わりはありません。

「必殺パターン」 を持っているか?

さて、パターン A の上司と B の上司、どちらがいいか ? と問われれば、扱いやすさでいうと、やはりパターン B だと思います。なんだかんだ言っても、何も話さない上司よりは、積極的に話してくれる上司の方が、お客様にもウケがいい。少なくとも、黙りこくっているよりは、信頼感もあるでしょう。


では次に、パターン B の上司が、日系よりも外資系に多い (つまり、外国人に多い) 理由を考えてみましょう。「外国人は自己主張が強いので、自分の意見を押し付けがち・・・」 ま、そういう傾向が強いのは確かです。しかし、外資系の外国人ボスの全てが、「俺が、俺が!」のタイプではありません。中には、普段は本当に寡黙な外国人ボスもいます。しかし、普段は寡黙なボスも含め、ほとんどの外国人ボスは、かなりの確率でパターン B に分類されると思います。逆に、日本人上司で「俺が、俺が!」のタイプの人でも、パターン A が結構いたりします。


私は、パターン B というのは、その上司の「性格」もさることながら、むしろ「素養・スキル」といった側面に依存している部分が大きいように思います。では、その「素養・スキル」とは何なのでしょうか? それは、自分の話に持ち込む「ネタ」を持っているというか、いわば「ストーリー構築能力」という類のものです。少し具体的にお話しましょう。


例えば、結婚式でのスピーチとか、簡単な報告書を書くとか・・・ を想像してください。きっと、みなさんも、自分なりの「必殺パターン」「定石」「勝利の方程式」・・・ のようなものを持っているのではないでしょうか。私の場合、結婚式でのスピーチは、以下のようなパターンで定型化しています。


・ 自己紹介
・ (部下の式で話すのが圧倒的に多いので) 「コンサルとか、SE というのは、わかりにくいですよね・・・」という話を持ち出して、「将来、新郎新婦が家を建てたとしましょう。コンサルというのは設計士で、SE は大工さん・・・」などと例える
・ 仕事上のエピソード (バカ話が多い) を入れて、笑いを誘う
・ 最後は決まり文句で締める


私の場合、上記の内容をパターン化 (類型化) して持っているので、極端なことを言うと、 10 分もあれば結婚式のスピーチをすることができます。新郎新婦の名前を入れ替えて、エピソードを考えて、暗記すれば終わりですから、即できる。これと同じことが、パターン B の外国人上司にも言えるのです。

フィードバックで、「玉」 と 「石」 を分ける ?

パターンBの上司は、このように類型化された得意ネタをたくさん持っていて、状況に応じて使い分ける術に長けているのです。得意ネタは 「アセット(Asset:資産)」 として格納されていて、いつでも出せる引き出しに入っている。そして、経験を積めば積むほど、そのアセットは増えていくので、ますます雄弁になっていく・・・ といった連鎖が起こっているのです。

 

一方、パターンAの上司は、得意ネタのアセットがほとんどありません。だから、話すネタを部下に頼るしかないのです。
「パターンBは性格に依存しない」 と書きましたが、私は、この能力は後天的に身に付けることができると考えています。まず前提として、自分の専門分野・関連分野に対しての、それなりに深い知識と、全く関係のない分野も含めた幅広い知識が必要です。これらが、アセットの「元」として豊富に存在しなければ、アセットは枯渇していきます。


次に重要なのは、「話す機会」と、その話について他人から「フィードバックを受ける機会」を持つ、ということでしょう。より重要なのは、「フィードバックを受ける機会」でして、他人の反応をダイレクトに受けることで、話した内容がアセットとして蓄積すべきものなのか、単なる駄話なのかに分類することができるのです。また、相手の役割やバックグラウンドによっても、反応は変わりますから、それもアセットの属性情報として持てば、得意ネタの幅が広がることになります。


従来、日本の教育というのは、知識の蓄積がほとんどでした。しかし、蓄積一辺倒では、アセットの「元」はたくさん蓄えることができますが、「使えるアセット(玉)」と「駄話(石)」に分けることができません。最近になって日本の教育現場でも、2way方式で、生徒にも話をさせる教育方式が積極的に取り入れられているようですが、それでもまだ、「フィードバック」の機会に関しては不十分だと思います。特に高等教育である大学では、知識の蓄積をいったん止めて、話をさせてフィードバックを受ける形式の講義がカリキュラムの大部分を占めるべきなのではないでしょうか。そうすればもっと、社会で即戦力の人材を育成できるように思うのですがね。


日本では多くの場合、「雄弁」 と 「(単なる)おしゃべり」 は、表裏一体の関係です。つまり、「よく話す」 という状況を、良く言うか、悪く言うか、だけの差でしかありません。しかし欧米では、両者は明らかに違います。ちなみに、「雄弁」を英語でいうと「silver tongue」、「(単なる)おしゃべり」は「cracking tongue」「long tongue」 などと言ったりします(※「cracking」は、ニワトリがコッコッと鳴く様を表しますが、「つまらない」という意味もあります。また「long」には「長い」のほかに、「あてにならない」などの意味もあります)。


さて、みなさんの上司は、パターン A と B のどちらのタイプでしょうか ? また、みなさん自身はどちらでしょう ? 上司へのブリーフィングは、自分が話した内容をフィードバックしてもらう絶好の機会です。ブリーフィングを通して、得意ネタのアセット化をはかっていただければと思います。では!

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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