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タカシの外資系物語

案外気弱な (?) 外国人マネジメント2009.03.31

外国人マネジメント、吠える!

Change ! Change, Change, CHANGE !

 

・・・オバマ大統領ではありません。わが社のアメリカ人 COO である David が、全社マネージャー・ミーティングで吠えています。ま、今に始まったことではないのですが・・・


David (COO) 「金融危機の今こそ、チャンスなのだ ! お客様の声に耳を傾け、攻めのアプローチをするのだぁぁぁぁ ! 」

・・・ま、確かにそうなんですがね。景気の悪い時期には、やっぱり売れないわけで・・・


David (COO) 「・・・ということで、1st Quartor (第1四半期) も残りわずか。社員みんなの奮起に期待したい ! よろしくぅぅぅぅ !  Kiai-da (気合だ:アニマル浜口の真似) ! Kiai-da ! Kiai-da ! Kiai-da ! 気合だぁーーーーー ! 」

 

会議終了後、興奮気味のDavidとは対照的に、聞き手のマネージャー連中は、かなり冷め気味の様子。

 

「今日のDavid、すんごい気合入ってたけど、売れないものは売れないしねぇ・・・」
「一般的に、アメリカ人のスピーチって、ああいうふうにドラマチックにやるもんなんだよ。でも、気合だけではなぁ・・・」
「ま、一種のパフォーマンスだから、気にしなくていいよ。われわれは、できることから始めるしかないしね・・・」

反応は、冷めまくり。確かに、私も同様の感想を持った一人です。しかし、本当にそうなのか? つまり、アメリカ人のスピーチはパフォーマンスの一種だから、適当に聞き流せばいいのでしょうかねぇ?

 

実は、昨年私のチームにいたA子さんが、今年はCOOであるDavidのExecutive Assistant(日本語でいう秘書に近いが、もっと踏み込んだサポートもする。例えば、スピーチの原稿を一緒に考えたり、とか)をしています。ミーティング後にA子さんと話す機会があったので、Davidのスピーチについて、聞いてみたところ、予想外の返答がありました。

A子さん 「あのスピーチが単なるパフォーマンスだなんて、とんでもない!彼は、何時間もかけて、スピーチの原稿を書いているんですよ!」

外国人マネジメントは、気弱?

私 「えっ!そうなの?」
A子さん 「実は私も、Assistantに就くまでは、タカシさんと同じように考えていたんですけど・・・ キャッチーなフレーズも、オーバーなアクションも、アメリカ人独特のパフォーマンスなんだろう、毎回ああなんだろう、って・・・ でも、彼自身は本当に物静かな人で、どうすれば日本人のスタッフが反応してくれるかって、そればかり考えているんです。結構、無理してやってるんですよ・・・」
ふーーん・・・


A子さん 「その証拠に、Kiai-da!Kiai-da!・・・のフレーズも、ウケるかどうか、ちょっと古いんじゃないかって、真剣に悩んで、私に相談に来たし・・・」
そ、そうなのか・・・ 確かに、ちょっとスベっていたが・・・


A子さん 「先日も、会社を改革するアイデアを、彼自身が全社員にメールで募集したんですが、ほとんど返事が来なかったので、ひどく落ち込んでいました。会社に来たら、まずメールボックスを開いて、“今日は何通、返事が来ただろう♪” って、それはもう、楽しみにしていたんですから・・・」
そうやったんかぁーーーー!(T-T) すまん、Davidぉーーーーーーーーー!(T-T)(T-T) わしが、悪かったぁーーーーーーーーー!(T-T)(T-T)(T-T)

外国人マネジメントの涙ぐましい努力(T-T)

日本人マネジメント (経営層) なら、社員に気合を入れるスピーチの準備になど、あまり時間をかけないかもしれません。しかし、わが社のDavidと同様に、日本の外資系企業にいる外国人マネジメントというのは、神経質なまでに気を遣って、日本人スタッフと相対しています。スピーチ 1 つに対しても推敲に推敲を重ね、メールの反応に一喜一憂し・・・ その姿は、まさに涙ものです。


実はわれわれ自身も、これと同じことを体験しています。例えば、海外出張などで、大半が外国人の前で話す場合など。もちろん、英語で話さなければならないというプレッシャーがあるものですから、英語にばかり気をとられていますが、実際には、異なる考えや文化、バックグラウンドを持つ人に対して、自分の話がうまく伝わるだろうか? ということの方にこそ、準備の大半を割いているように思います。

 

多くの外国人マネジメントは、日本人に対しても英語で話をするものですから、さぞかし言いたい放題、何も考えずに言っているんだろうと思いきや、なんの、なんの・・・ 気の遣い方たるや、半端ではありません。A子さんによると、Davidはスピーチの際に、以下のことに留意しているとのこと。


● 日本人向けに、スローで正確な英語を話す
私の経験上、できるマネジメントほど、話す英語はスローです。また、文法的にも正確な英語を話します。なので、私のように中途半端な英語力しかない人間は、「俺って、こんなにヒアリング力あったっけ ? 」と錯覚してしまうわけですが、重要なことは、内容が伝わったかどうかということですから、そういう観点では「スローで正確 ! 」というのは目的を達していると思います。


● 少し考えないとわからないような、Witやアメリカン・ジョークは避ける
英語ネイティブの聴衆だけが、ドッとウケているようなケース、よくありますよね。映画館で字幕の洋画を見ていると、よく出くわす風景です。日本人の多くは、「なにがおかしいのか、よくわからん・・・ でも、一応笑っておこう、ハハハ・・・ (汗っ!)」なんていう対応をしがちな場面。できるマネジメントのスピーチでは、「ネイティブの内輪ウケ=日本人を阻害している」というイメージを与えないために、極力避けているようです。


● 日本人にとって流行のフレーズを入れる
私の経験では、 「気合だ ! 」 (アニマル浜口)、「元気ですかぁーっ ! 」(アントニオ猪木) などを外国人マネジメントが使うのを耳にしたことがあります (なんか、プロレスラーばっかりですが)。彼らの意図は、日本人にもウケるし、一体感を体感できるということなのでしょう。しかし、個人的にはなくてもいい。スベっているケースもよくあるし、そこまでしなくても、って思ってしまいます。その努力は評価に値しますが・・・

 

ま、いずれにしても、外国人マネジメントだって、涙ぐましい努力をしているということです。みなさんも、上司の外国人がスピーチをしたら、「Thank you, great speech !」「We had good meeting !」などと、声をかけることをお勧めします。それだけで、外国人マネジメントが、あなたを見る目が変わるかもしれませんよ !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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