グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

タカシの外資系物語

Simplify the Process! ( その 1 )2009.03.17

承認プロセスを簡素化する

先日のこと、わが社の社長 (日本支社の支社長です。よく登場する Thomas より、さらに偉い人) が、Monthly Meeting (月例全社会議) で、こんなことを言い出しました。


社長 「I promise … Simplify Approval Process ! (私は、わが社の承認プロセスを簡素化することを約束します!)」
Zzz・・・ Zzz・・・ ん ?  眠っていた (失礼 ! ) 私も、思わず目が覚めました。

「承認プロセスを簡素化する、ってか・・・ そりゃいいや。すぐにでも、やってほしい ! 」


自慢じゃないですが、わが社の承認プロセスは、異様に複雑です。例えば、こんな感じ。

 

【通常の承認プロセス】
(1) 担当者が契約書を課長に提示 → (2) 課長が承認 → (3) 部長が承認 → (4) 管理部門がチェック → 晴れて、承認 !

 

【例外承認プロセス 1 】・・・金額が 1 億円以上の場合
(1) 担当者が契約書を課長に提示 → (2) 課長が承認 → (3) 管理部門がプレチェック → (4) 部長が承認 → (5) 管理部門が最終チェック → (6) 役員承認 → 晴れて、承認 !

【例外承認プロセス 2 】・・・金額が 1 億円以上、かつ、汎用契約書が使えない場合
(1) 担当者が契約書を管理部門に提示 → (2) 管理部門がレビュー → (3) 担当者が契約書を課長に提示 → (4) 課長が承認 → (5) 管理部門がプレチェック → (5) 部長が承認 → (6) 管理部門が最終チェック ・・・ あーーーーーーっ、もう ! 書き切れんわーーーーーーーっ !


金額の大小、契約書が定型フォーマットかどうか等々、それぞれの条件に応じて、承認プロセスが異なります。万事がこんな感じ・・・ ちなみに、私はこれら全ての承認プロセスを覚えるのに、1 年以上かかりました。また、私の同僚のマネージャーは、こんなプロセスなど覚えちゃいません。なので、事あるごとに、私に聞きに来る。いちいち教えるの、面倒くさいわーー、自分で覚えろやーーーーーーっ !


ま、それもこれも、全てはプロセスが複雑なことが原因です。チェックや承認行為には、明らかに重複やムダもあるわけですから、それをシンプルにするのは大歓迎 !  会社としては、Overhead (間接コスト) の削減にもつながって、万々歳というわけです。

いつの間にか、増えるプロセス?!

社長いわく、「管理部門のチェックを削減し、Delegation (権限委譲)を進める ! 」とのことでしたので、こんな感じになるんでしょう。


<新>【例外承認プロセス 1 】・・・金額が 1 億円以上の場合
(1) 担当者が契約書を課長に提示 → (2) 課長が承認 → (3) 部長が承認 → (4) 管理部門が最終チェック → 晴れて、承認 ! 
 部長の承認権限が1億円以上に上がり、管理部門のプレチェックがなくなると仮定すると、旧プロセスで「 6 」だったプロセス数は、新プロセスでは「 4 」に削減されます。こりゃ、かなりの効果が見込めそうです。


それから数日後のある日、新しい承認プロセスが発表されました。内容は、私の想定した通り ! 「やったー ! こりゃ、画期的だ ! 」 従前の複雑フローに悩まされてきたわれわれは、一様に歓迎の声を上げました。 「これで、少しはサービス残業が減る。よかった、よかった・・・(T-T)」
し、しかし !  歓喜の宴は、その翌日に発せられた次のようなメールによって、はかなくも砕け散ったのです・・・

「to 金融部門メンバー
 X月XX日付アナウンスにて、一部承認プロセスの簡素化が発表されましたが、金融部門においては、処理の正確性を期するため、部長承認前に、金融部門スタッフによるプレチェックを部門判断で実施することにいたしました・・・」

(ちなみに、私は金融部門の所属です)

・・・は ?  何でっしゃろ ?  ・・・ て、ことは、金融部門だけは、こんな感じ ?

 

<新・新>【例外承認プロセス 1 】・・・金額が 1 億円以上の場合
(1) 担当者が契約書を課長に提示 → (2) 課長が承認 → (3) 金融部門スタッフがプレチェック (4) 部長が承認 → (5) 管理部門が最終チェック → 晴れて、承認 ! 


せっかく減ったもんを、わざわざ増やしてどないすんじゃーーーーーーーーっ! アホかーーーーーーーーーーーーーーっ! (T-T)(T-T)(T-T) ハァハァハァ・・・・

トップの知らないところで・・・

トップダウンでプロセスの簡素化を決めて実行したにもかかわらず、いつの間にか、現場自らがプロセスを増やして元通りにしてしまう・・・ これは往々にして、よく起こることです。しかも、いつの間にか、自然発生的に、プロセスが増えている。21 世紀の七不思議の 1 つと言っても過言ではありません。

 

たちが悪いのは、トップはこのこと(プロセスが元に戻っていること)を知らないケースが多い。悲しいかな、トップにしてみれば、現場のプロセスは劇的に減っているわけで、その分、営業活動などの前向きな仕事に振り向けられていると信じています。しかし現場では、プロセスは減っておらず(むしろ増えていたりする場合もあり ! )、後ろ向きの仕事が一向に減らないわけです。


なぜ、このようなことになってしまうのか ? また、実は日系企業よりも外資系企業の方が、このようなワナに陥りやすい。その理由は ? 続きは次回、お話しましょう。
( 次回続く )

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

ご意見・ご感想フォーム

合わせて読みたい

---