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タカシの外資系物語

ボスの提案にいちゃもんをつける ? ( その 2 )2009.03.10

ボスが嫌うコメント、好きなコメント

前回の続き) 今回は、外資系企業の上司 (ボス=外国人の場合が大半) はなぜ、自分の企画・提案に対する部下からのコメントを歓迎するのか ? 歓迎されないケースはどんな場合か ? についてお話したいと思います。


まず、ボスが歓迎しない (嫌う) コメントについて、例示してみましょう。


ボス 「 3 月末までに、 10 人の CIO を訪問して、現状困っていること、今後のシステム化ニーズになどについて、ヒアリングするというのはどうだ ?!」
部下A 「それはいい考えですが、日本では3月末決算の企業が多いので、特に役員は非常に忙しい。だから、無理だと思います。」
ボス 「・・・」


次に、ボスが歓迎する (好む) コメントというのは、こんな感じでしょうか。


ボス 「 3 月末までに、 10 人の CIO を訪問して、ヒアリングするというのはどうだ ?!」
部下A 「それはいい考えですが、日本では 3 月末決算の企業が多いので、特に役員は非常に忙しい。3月末という期限を重視するなら、3人程度が現実的だと思います。」
部下B 「人数を重視するなら、CIOの下の情報システム部長や課長でも可とする、という手もありますね。」
ボス 「うむ・・・ 重要なのは、Executive (役員) の意見を聞くことだ。よし ! 3 月末までに、最低3 人のCIOからインタビューしてくれ!」


一目瞭然ですね。要は、単なる否定・批判のコメントを嫌い、代替案を提示しているコメントを好むということです。「なーんだ、簡単じゃん・・・」 いやいや、一口に代替案といっても、日本人にとっては結構難しい。なぜか? それは、その手の議論に慣れていないからです。

「意見を尊重する」 とは ?

「他人の意見を尊重する (Respect the opinions) 」 という発想は、日本にも欧米にも存在します。しかし、そのニュアンスが微妙に違うのです。
日本の場合、意見の尊重とは、「その意見をそのまま (加工せずに) 活かすこと」 を指す場合が多いように思います。上記の例ならば、「 3月末までに、 10 人の CIO を訪問して、ヒアリングする」ことを文字通り実行することこそ、意見の尊重と考える。 3 月末という期限や、 10 人という人数が少しでも変われば、尊重していない雰囲気があるわけです。


一方、欧米の発想は、その意見が断片的に、一部でも結果に活かされていたら、尊重しているとみなされるように思います。上記のように、「 3 月末までに、 10 人の CIO を訪問して、ヒアリングする」 が、「 3 月末までに、最低3人のCIOを訪問して、ヒアリングする」 となったとしても、ほぼ 100 % 尊重しているイメージ。仮に、「 4 月末までに、最低 5 人の情報システム部門管理職に電話アンケートをする」なんて具合に、原型をとどめていないような結果に落ち着いたとしても、欧米的には「意見は尊重されている」部類に入ります。なぜなら、Thomasの最初の意見がなければ、このような結果すら得られなかった、と考えるからです。つまり、議論の中で最も評価される対象は、最初に議論の土台 (基準) を提示したThomasである、という考えが根付いているのです。

コメントは先手必勝!

とはいうものの、ボスの「意見」に「意見」するのは、やはり抵抗感があります。
 
ボス 「3月末までに、10人のCIOを訪問して、ヒアリングするというのはどうだ ?!」
部下A 「それはいい考えですが、日本では3月末決算の企業が多いので、3人程度が現実的だと思います。」
ボス 「なんだとぉ ! 俺の言うことがきけないのか ?!」
 
・・・ なんてことになるんじゃないかって、思いますよね。しかし私の経験上、自分の意見に対して、部下が代替案を踏まえたコメントをした場合に、ムキになって怒るマネージャーは1人もいません。むしろ上司が怒るのは、単なる否定のコメントや、コメントそのものがない場合ではないかと思います。
 
代替案つきのコメントをする上でのコツとしては、上司から意見を求められたときには、できるだけ早くコメントをした方がいい。なぜなら、先にだれかにコメントを言われてしまうと、言うことがなくなってしまうからです。
 
部下A 「日本では 3 月末決算の企業が多いので、 3 人程度が現実的だと思います。」
(あーーん、それ言おうと思ったのにぃ・・・(T-T))
部下B 「CIOにこだわらず、情報システム部長や課長でも可とする、という手もありますね。」
(そ、それも、取られたぁーーーー!(T-T)(T-T))
ボス 「タカシは、何かコメントないのか?」
私 「ありましぇん・・・(先に言われてしまいました・・・(T-T)(T-T)(T-T))」
これでは最悪ですね。
 
一方、有効なコメントをもらうには、マネージャー側の努力も必要です。活発な議論を組み立てる上で、外資系企業のマネージャーに必要な素養は、まずは部下から議論の土台を引き出し、それが出ないようなら、さりげなく自ら提示することです。
 
マネージャー 「ビジネスを最大化するために、われわれはだれの意見を聞くべきだと思う ? 」
部下 「・・・、やっぱりお客さんですかね ? 」
マネージャー 「そうだね、どんなときでも “お客様の声 (Voice of customer) “ を最重要としなければならない。では次に、お客様のどのレベルの人の意見が有効だろう?」
部下 「そりゃ、役員層でしょうね。意思決定者じゃないと、具体的な案件につながらないし・・・」
 
・・・ こんな感じ。要は「誘導尋問」みたいなもんでして、部下が答えたというよりは、マネージャーが言わせているだけなのですが、部下に参加意識を持たせるという意味では非常に有効です。特に、バックオフィスや管理部門など、自ら意見を発しない傾向が強いスタッフには有効でしょう。上記Thomasの例のように、まずマネージャーが議論の土台を切り出すのも手っ取り早いのですが、本当にうまいマネージャーというのは、自分は黒子に徹して、土台から結果に至るまでの全てを、部下から引き出すことができる人ではないかと思います。
 
さて、今日から早速みなさんも、自分の上司に「いちゃもん」をつけてみませんか ? 代替案をつけて誠実にコメントすれば、あなたの上司も、きっとあなたの意見を評価してくれるのではないかと思いますが、いかがでしょうかね ? 
 
え ? 部長に意見したら、スネちゃった、って ?   ん ?  こっちでは、泣き出したぁ ?  そこまでの面倒は見切れませんので、あしからず・・・

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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