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タカシの外資系物語

ボスの提案にいちゃもんをつける ? ( その 1 )2009.03.03

Thomas、提案する

先日、ボスのThomasが配下のマネージャーに対して、こんなことを言い出しました。


Thomas 「お客様の CIO (Chief Information Officer=システム部門の担当役員ぐらいのイメージ) を訪問して、現状困っていること、今後のシステム化ニーズになどについて、ヒアリングするというのはどうだ ?! 」
発想自体は、非常によくわかります。景気悪化に伴って、IT コンサルティング業界の業績もかなり冷え込んでいる中、お客様の視点に立ち返ってビジネスを再構築しよう・・・ ということなのでしょう。


私も Thomas の気持ちは痛いほどわかりますし、そのようなことをしなきゃならんという危機感もある。で、でも・・・


マネージャー連中 (私も含む) 「・・・ (シーーン)」
Thomas 「どうした ? 何か意見はないのか ? 」
マネージャー 「・・・ (シーーーーン)」
マネージャーが押し黙っているのを見て、Thomasは次のように告げました。
Thomas 「You have ・・・ no objection ! (異論はないようだな・・・)」
(や、やべー、決まっちゃうよ。いいのか ? )
Thomas 「じゃ、マネージャー 1 人あたり、End of 1st Quarter (3月末) までに 10 名の CIO と会って話を聞いてくることをノルマにしよう ! 2日以内に、どのクライアントを訪問するか、リストアップして、私まで報告するように。 以上 ! 」
(あぁーーー、決まってしもうたぁーーーーーーーー (T-T)(T-T)(T-T))
マネージャー 「・・・ (スィーーーーーーーン)」


・・・Thomasが去った会議室に残された、5 名のマネージャーたち (もちろん、私も含む)。それぞれ、不平不満を口にし始めました。


マネージャーA 「 3 月末までに 10 人なんて、絶対無理だよなぁ・・・ 決算の準備とかでクソ忙しいのに・・・」 (その通り ! )
マネージャーB 「それに、このご時世だろ ? 悠長に話を聞かせてもらう時間なんて、作ってもらえないよ ! 」 (同感 ! )
マネージャーC 「俺が懇意にしているお客様なんて、リストラで人が減らされて、部長や役員までヒィヒィ言いながら仕事してるんだから、お願いなんてできないよなぁ・・・」 (うちも一緒 ! )
マネージャーA & B & C 「で、タカシんとこは、どーよ ?! 」
私 「うーーん、うちも同じなんだけど・・・ でも・・・ じゃ、どうして Thomasが言い出したときに断らなかったんだろうね、俺たち・・・」
マネージャーA & B & C 「ん ? 」

日本人ボスに、「マイルド」な提案が多い理由

さて、みなさんは上記のやり取りを見て、どう思われましたか ? ボスのThomasは、停滞する現状を打開するために、自分なりの策を提案したわけです。しかし、部下のマネージャー連中は、その意図は理解できるものの、実施は難しいと思っている。しかし、できないとは言わない・・・ こんな構図でしょうか ?


では、この先はどうなるのか ? お決まりのパターンとして想定できるのは、マネージャー連中は、10 名の CIO の名前をリストアップして、 2 日以内に Thomas に提出してしまいます。 Thomas は 50 名分の CIO リストを手にして、自分が提案した企画で組織が活性化していることを実感し、あれこれと次の戦略を思い巡らすことでしょう。一方、マネージャー連中はどうするか ? リストを出してはみたものの、予想通り、3 月の期末で思うように CIO のアポが取れず、ほとんど会うことができません。3 月末の締め切り直前になって、「アポが取れずに、会えましぇーーーーーーーーん ! すみましぇーーん ! (T-T)(T-T)(T-T)」と、Thomasに泣きを入れて怒鳴られる・・・ というのがオチでしょうか。


実は、このようなことは、日系企業よりも、外資系企業において頻繁に起こります。なぜでしょう ?  その理由を以下で説明したいと思います。


まず、日系企業で起こりにくい理由からお話しましょう。それは、「そもそもボスが無茶な提案をしない」からです。日系企業のボスは、おそらくほとんどは日本人でしょう。ボスが日本人ならば、大抵の場合は、ヒラ社員 → 主任 → マネージャー(係長・課長) → ボス(部長以上) と出世をしてきたはずです。なので、自分が担当者だったときの経験を踏まえ、現場に反感を買われるような策を、積極的には持ち出さないことが多いように思います。

仮に、日本人のボスが「 CIO に会う!」という、 Thomas と同様の策を持ちかけたとしても、「決算時期で、景気も悪いし、忙しいし・・・ マネージャー 1 人あたり、 3 人のCIOには会うことにしよう ! 」といった、「マイルドな」案を落としどころにするのではないでしょうかね。

外国人ボスの提案は無茶なのか?

一方、外資系企業では、ボスが外国人である可能性が高い。外資系の経営層というのは、現場からのたたき上げで出世した人というのは少なく、 MBA をとった後、いきなり幹部に登用されて入社したりしています。ということで、現場感覚があまりないケースも多い。また、たたき上げの場合でも、日本の商慣習 (例えば、日本では 3 月期末の企業が多い、部長や CIO クラスでも雑用などの作業をしていて忙しい)に精通している人は少ないと思います。


となると、何が起こるか ?  良かれと思って提案していることが、現場にとってはピントがずれている (または、ずれているかもしれない) ということが、頻繁に起こるのです。


さて、ここまではいい。外国人のボスだって、神様ではありません (ときどき、自分が神様だと勘違いしているボスもいるが・・・)。 問題はその後です。だれも、それに異論を言わない ! コメントしない、訂正しない ! 異論を言ったとしても、かなり時間が経ってから ! これが、コミュニケーション上の大問題を引き起こしているのです。


上記の話でもそうです。Thomas が「 3 月末までに、 10 人の CIO と会うことを必須としよう ! 」と言い出したときに、「 3 月は決算期で、 CIO とのアポが取りにくいから、 10 人必須というのは困難だと思う」と、だれかが言えばいいだけのこと。それができない。なぜか ? そんなことをボスに言ってしまうと、アポが取れないのは能力が低いからだと思われるんじゃないか、やる気がないと思われるんじゃないか、みんな黙って従っているし、俺も黙っていよう・・・ などと考えて、躊躇してしまうわけです。


実のところ、外国人のボスの大半は、自分の提案に対するコメントは、非常にウェルカムだと思っています。「えーー、ホントにぃ・・・ ? とか何とか言って、実はボーナスの査定に響いたりして・・・」 いやいや、そんなことはない。私の経験上、かなり性格の悪いボスの場合でも、例外なくウェルカムでした。これも、日本人の大いなる誤解のように思います。


次回のコラムでは、上司 (ボス) はなぜ、自分の企画・提案に対する部下からのコメントを歓迎するのか ? 歓迎されないケースはどんな場合か ? についてお話したいと思います。

(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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