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タカシの外資系物語

外資系における 「お客様対応」 とは ? ( その 1 )2008.11.11

タカシ、留守電あふれる ?

先日、こんなことがありました。

 

私の奥さんは、ネット・オークションが大好きでして、子育ての合間を縫っては、自分の気に入った小物や雑貨を落札しています。当然のことながら、落札すると、入札者にお金を振り込まねばならないわけですが、お金の振込は私がやっています。

 

そもそも買い物自体をネットでやっているのですから、資金の決済もインターネット・バンキングを使ってやればいいのですが、私はインターネット・バンキングを「得意」としていません。

 

「そんなもんに、得意・不得意なんてあるのか ? 」 とお思いでしょうが、あるんです、それが ! クレジットカードの決済なら、実際の決済までにタイムラグがあるので、確認しながら進めるのでいいんです。でも、インターネット・バンキングの場合は、ほぼリアルタイムで決済されてしまうので、「桁を間違えたらどうしよう・・・ 0 を多くつけちゃったらどうしよう・・・」 などと、非常にビビってしまうのです。

 

ま、結局 ATM で処理しているわけで、金額の間違いは ATM でも起こりえるわけですから、非常にしょうもない理由でビビっているわけですが・・・ そもそも、金額自体が数千円なわけですから、仮に間違えたところで致命的ではない。本当にアホみたいな話なんですけどね。

 

話を戻しましょう。その日は、奥さんから数件の振込を依頼されたので、私は銀行が開店する前の午前 8 時頃に、複数の銀行の ATM を使って、振込の処理をしました。その後、私は仕事で複数のお客様との面談を実施するため、携帯電話の電源を切って、留守電モードにしていたのです。

 

「ふーっ ! やっと面談が終わった・・・」

 

私は留守電を聞くために携帯の電源を入れました。と、表示には留守電が 8 件 ! 

 

「お世話になっております、○○銀行の△△と申します。奈良タカシ様のお振込の件でご確認したいことがございます。至急、お電話頂戴できますでしょうか ? 」

 

「こちら□□銀行の××ですが、本日のお振込の件で・・・」
2 つの銀行から、私が処理した振込に関する問い合わせが入っていました。 1 つは日系のメガバンク、もう 1 つは外資系の銀行でした。 8 件の内訳は、日系の銀行が同じ担当者から 6 回、外資系は 2 回でした。

 

「げげっ ! 振込相違 (※) かな ? こりゃ面倒だにゃ・・・」

タカシ、振込相違でトラブる ?

ここで少し解説を。銀行の ATM というのは、 9:00 - 7:00 の時間帯は、日本中すべての銀行がネットワークでつながっていて、支店・預金種類・口座番号などを ATM に打ち込めば、相手先の口座情報を ATM に提示してくれるようになっています。しかし、夜間や早朝などは、銀行の ATM ネットワークが切断されており、ある銀行の ATM から、他の銀行にある相手先の口座情報を参照できないようになっています。

 

では、どうやって振込先の指定をするのか? 多くの銀行では、支店・預金種類・口座番号にプラスして、相手の名前を直接打ち込むようになっています。例えば 、「銀座支店・普通預金・ 1111111 ・ヤマダタロウさんに 10,000 円振込」 と ATM に入力しておくと、銀行はその振込内容を「振込予約」という形で受け付けてくれます。この段階ではあくまでも 「予約」 ですので、実際の資金決済はされていません。銀行では、 9:00 になってネットワークがつながった段階で、振込相手先の口座を確認して、決済処理を実行します。

 

この振込予約という処理、実は相手先の名前が一文字でも異なると、「振込相違」ということで、処理をしないようになっています。例えば、「ヤマダタロウ」 と入力すべきところを、「ヤマダジロウ」 と入れてしまうと、銀行は処理をせずに、振込の依頼をした人に確認を入れることになっているのです。

 

おそらく私は急いでいたために、振込先の情報を間違えて入力したのでしょう。もしかしたら、奥さんから伝えられた情報自体が間違っていたのかも・・・ ま、そんなことはどうでもいい。とにかく、銀行に電話を入れることにしました。あたりはすっかり日が落ち、時計の針は午後 5時半を過ぎていたと思います。

タカシ、銀行にブチ切れる ?

(メガバンク A の場合)

 

私: 「もしもし、奈良タカシと申しますが、○○銀行の△△さんいらっしゃいますか?」

担当者A: 「△△はもう帰りましたが・・・」

私: 「振込の件で、問い合わせの電話を 6 件もいただいていたんですが・・・」

担当者A: 「もう帰っちゃったんで、わからないんですよねぇ・・・」

私: 「多分、振込相違だと思うんですよ・・・ 取引がどうなっているか、確認いただけないでしょうかねぇ ? 」

担当者A: 「お客さん、銀行は普通、午後 3 時までなんですよ。こんな時間になって言われても、ちょっと・・・ ねぇ ? 」

私: 「(カチン ! ← ちょっと切れた音) 3 時に閉めてるのはそっちの勝手でしょ ? 確認ぐらいできないんですか ?! 」

担当者A: 「んったくぅ・・・ だからぁ、担当の△△が帰ったんで、わからないんですよ ! 」

私: 「(ブチッ ! ← 本格的に切れた音) そっちが電話しろって言うたんやろーーがぁーーー。うがぁーーーーーーー!(T-T)(T-T)(T-T) (別に泣くことはなんだが・・・)」

 

(外資系銀行 B の場合)

私: 「もしもし、奈良タカシと申しますが、□□銀行の××さんいらっしゃいますか ? 」

担当者 B: 「奈良タカシさん、いつもお世話になっております。本日はどのようなご用件でしょうか ? 」

私: 「振込の件で、問い合わせの電話を 2 件いただいていたんですが・・・」

担当者 B: 「さようでございますか。わざわざご連絡ありがとうございます。お電話いただいて誠に恐縮なんですが、本日の業務は全て終了いたしております・・・」

私: 「多分、振込相違だと思うんですよ・・・ 取引がどうなっているか、確認いただけないでしょうかねぇ ? 」

担当者 B: 「申し訳ございません。本日は確認作業もすべて終了しております。もしよろしければ、明日の 9 時以降に、私どもからお電話差し上げたいと思いますが、いかがでしょうか ?  時間をご指定いただければ助かります・・・」

 

・・・さすがに、これだけの差異があると、非常にわかりやすいですね。実際には、メガバンク A も外資系銀行 B も、事情は同じなんです。振込相違が起こっていて、私に問い合わせの電話をかけたが、留守電でつながらなかった。で、私が気付いて電話したときには、担当者がすでに帰っており、かつ銀行の業務時間も終わっていた。

 

事情が同じにもかかわらず、どうしてこのような対応の差が生じるのでしょうか? これは、日系と外資系における、顧客への対応方針が根本的に違うことが原因なのです。その対応方針とは・・・ 

 

それは、次回のコラムで詳しくお話いたしましょう。
( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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