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タカシの外資系物語

部下から「辞めたい … 」と言われたとき ( その 2 )2008.08.05

給料は下がらないこと !

前回の続き ) 「会社を辞めたい … 」と言い出した M 君との面談にて。M 君が転職しようとしている会社の条件を聞いたところ、どうもピンと来ない私。さて、一体何が欠けているのでしょうか ?

 

私 「聞いていて、納得感がないんだよね。転職するほどの魅力あるか、それ ? 」

>M 君 「でも、今よりはいいと思うんですけど … じゃ逆に聞きますけど、どんな条件だったらタカシさんの “基準” に合うんですか ? 」

私 「まず、わかりやすいところから行くと、給与面。オファーされた給料は、今の給料の … ざっと、1.2 倍ってとこかな ? 」

M 君 「そうですね、十分とは言えませんがそんなもんじゃないかと・・・」

私 「1.3 倍は欲しいね … 」

M 君 「ど、どうして、1.3 倍なんですか ? 」

 

【転職の基準 ( 1 )】 給料は下がらないこと。 少なくとも、現状の 1.3 倍はもらうべし !

よく、「自分のやりたいことができるのだから、給料は下がっても構わない ! 」という人がいます。しかし、こと転職に限って言えば、この考えは非常に危険です。転職する限りは、給与 UP は絶対に死守しなければならない必須条件だと思います。

 

もちろん、例外もあります。例えば、ずっと歌手になりたいと思っていた会社員が、オーディションか何かに合格して、「全く売れない、一文無しになるリスクを覚悟で会社を辞めよう ! 」といったケース ( かなり、レアですが … )。このような、「かなり大胆な夢をかなえる」系の場合は、給料は問題にならないこともありえるでしょう。

 

しかし、しかしですよ ! こんなケースは、まずない。大半は、「会社員→歌手」などといったレベルの転身ではなく、同じような業界・会社の間での転職が殆どでしょう。つまり仕事の内容は、それほど劇的には変わらないわけです。

 

劇的に変わらない=ほぼ同じことをやる … にも関わらず、何で給料を下げないといかんのですか ? 現時点で会社から認められている「価値」を下げてまで、転職に踏み切るべき会社なんてありません。自分を安売りしてはいけない。今の会社に不満があるとしても、自分の価値を下げるような会社に転職すべきではないのです。

給料を 1.3 倍は欲しい理由

では、どの程度給料が上がればいいのか ? 私が基準にしている「1.3 倍」も、何か根拠があるわけではなく、これまでの経験から来ています。

 

私はこれまで 2 度の転職を経験しています。2 回の転職の際にも、いろいろな事情があったとはいえ、それなりに希望を抱いて転職したわけです。しかし ! 最初の半年ぐらいは、非常に辛いことが多い。会社の仕組みにもすぐには慣れないし、わからないことを聞こうにも、知り合いも殆どいない。また、中途の即戦力入社の場合には、「即戦力のくせに、そんなことも知らないのか。前の会社で何やってたんだか … 」的な、軽い “イジメ” を必ず経験します。

 

こんな時、よほど強靭な精神力がないと、多くの人は思い悩むことになります。「あーぁ、あんなに慣れていた会社をどうして辞めてしまったんだろう … 」私もそうでした。「どうして辞めたのか ? 」 を考えたとき、やはり一番に考えるのは「給料が UP したから ! 」なのだと思うのです。その基準が「1.3 倍」というわけ。「1.2 倍以下」だと、「前の会社の方が良かったにゃ … (T-T)」 となるのですが、「1.3 倍」だと、「給料上がったんだから、少しぐらいの苦労は我慢しよう ! 」となる。「1.3 倍」というのは、その境目の数値だと思うのです。

 

もちろん、これは私の主観にすぎません。しかし、経験から言わせてもらうと、「1.3 倍」という数値は、現実に私の弱気心を払拭してくれました。なので、私がアドバイスする場合には、1.3 倍を 1 つの目安にしていますし、中途採用の面接でも、このことを話すようにしています ( 話した結果、私の会社が出したオファーが 1.3 倍未満だったりして、結構困ることも多いのですがね … )。

役割を少しでも変えるべし !

M 君 「ふーーん、そんなもんですかね … 1.2 倍でも、1.3 倍でも、そんなに変わらないような気がしますけど … 」

私 「ま、この 1.3 倍をどう捉えるかは君次第だけど … 」

M 君 「じゃ、給料面で自分が納得できればいいんですかね ? 」

私 「もちろん、それだけじゃないよ。転職先ではどんな役割になるの ? 肩書きは ? 」

M 君 「今と同じ。“コンサルタント” ですけど … それが何か ? 」

 

【転職の基準 ( 2 )】 仕事内容は同じでも、役割が明らかに変わる部分があること !

ここで私は、見た目の役職が上がればいいと言っているわけではありません。「スタッフ」が「マネージャー」という呼称に変わったところで、名ばかり管理職になっても仕方ないので。私が言いたいのは、「今までに経験したことのない役割に就けるか ? 」ということなのです。

 

上で述べたように、世の転職の多くは同じような業界・会社の間で起こります。ということは、仕事の内容自体はあまり変化がないケースが多い。給料が 2 倍以上になるなら別ですが、1.3 倍程度にしかならないとしたら、同じ仕事を繰り返しても、自分のスキルアップという意味では殆どメリットがないのです。どうせ転職するなら、これまでやったことがない役割を担って、少しでもスキルアップにつなげた方がいいに決まっています。

 

理想的には、「マネージャー」などの管理職にステップアップできれば、同じ業界の転職であっても、長期的に見て、意味のある転職になるかもしれません。しかし、全く同じ「スタッフ」レベルで転職して、現状と同じことを期待されるだけでは何も身につきません。伸びる要素がなければダメなのです。

 

M 君の場合、今もスタッフレベルの “コンサルタント” で、転職後も同じです。これでは、苦労して転職する意味が極めて薄い。マネージャーでなくてもいいので、社内の若手に対する教育係になるとか、同業他社の内情を知っている強みを活かして中途採用に関与するとか、何らかの「Brand-new ( 真新しい )」ものがないと、成長する可能性が低いといえます。

 

M 君 「今と同じでいいじゃないですか ! 相手もそれでいいって、言ってるんだから … 」

私 「そういうのを、Job-Hopper ( 明確な意味もなく、職を転々と変える人 ) って言うんだよ !  転職ってのは、自分の成長の為にやるんだぞ ! アホか君は … 」

M 君 「ふんっ ! で、タカシさんの “基準” ってのは、『給料』と『役割』の 2 つで終わりなんですか ? 」


実はもう 1 つ、非常に重要な “基準” があるのです。それは …、次回にお話しすることにしましょう。ヒントはズバリ、「仕事よりもはるかに大事なこと」 です。

( 次回続く ) 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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