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有元美津世のGet Global!

タカシ流 スキル UP の方法 ( その 1 )2008.06.24

タカシ、スキル獲得に励む ?

みなさん、『タカシの外資系物語』 も、今回で 400 回を迎えることになりました ! パチパチパチ ! 年間 50 回として、約 8 年。私はもうすぐ 40 歳になりますので、30 代のほぼ大半が、このコラムに凝縮されていることになります。今後とも、よろしくお願いいたします !

( 単行本 『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』 ( あさ出版 ) </A>もよろしくお願いしますね ! )

 

さて、400 回のメモリアル、どんなお題で行こうかと悩んだのですが、最近個人的に気になって仕方がないことをお話したいと思います。それは、「スキルって、どうすれば身に付くんだろう ? 」ということです。

 

実は私自身、何か目的を持ってスキル UP をはかったことは一度もありません。大学時代に英会話のサークル ( ESS ) に入っていて、ゼミで数学を専攻したものですから、その流れで ( ? ) 就職した銀行では、システム部で海外業務のシステム開発をしたり、デリバティブのトレーダーをやったりしていました。その後、銀行が破綻してしまったので、銀行を顧客とした金融機関向けの IT コンサルタントになって、現在に至ります。

 

端的に言うと、私は「その時点で自分が持っているスキルを最も活かせそうな」分野の仕事に就いています。この行動は、「たまたま」ではなくて、かなり「恣意的」です。それは、以下のような思考から、導かれた結果です。

 

( 前提 ) 私は「ムダ」なことが大嫌いである ! 一方で、飛び抜けて頭がいいわけでもなく、元来ナマケモノである (T-T) 勝負運もない(T-T)(T-T)

 

( スタート = 学生時代 )
・せっかく大学に入ったのだから、楽しく過ごしたいという思いから、どこかのサークルに入ろうと考えた。ESS なら、楽しみながら英語が身に付くと考えた → 【結果】 他の「お遊び系」サークルよりは、間違いなく退屈で面倒だったが、人並み以上の英語力はついた。

 

・経済学部の専門課程において、ゼミ選択の際、就職に強い楽チンなゼミを希望したが、ジャンケンにことごとく破れ、不人気なゼミに回された。経済史や理論をやるぐらいなら、数学をやった方がいいと考え、数理経済学のゼミに泣く泣く入った → 【結果】 高校時代に文系科目しかやっていなかったので、数理経済学の本質は一切理解できなかったが、コンピュータをいじる機会があったので、人並み以上の IT リテラシーはついた。

 

・親から「大学生というのは “大” がついている以上、大人なんだ。だから、小遣いはやらん ! 授業料も自分で稼げ ! 」 というものすごい論理で迫られ、一切資金援助がなかったため、バイトに明け暮れざるをえなかった。一番手っ取り早く、短時間で稼げるのは「塾講師」だったので、塾で働きまくった。 → 【結果】子供相手にわかりやすく伝えるスキル、面白おかしくプレゼンするスキルが身に付いた。( 実は、「ノリ」で教員免許まで取ったのですが、この資格は活用されていない )

タカシ、スキルにムダなし?

そして就職を迎えたわけですが、そのときの視点は「一番お金になりそうな職業」ということでした。マスコミ、商社などいくつか選択肢があったのですが、いずれも落ちた(T-T)ので、仕方なく銀行に入りました。

 

当時、銀行での花形は、プロジェクト・ファイナンスなどの投資業務でした。しかし、私の大学のレベルでは、そんな部署への配属は 100% 無理でした。そのようなエリート社員以外の、その他大勢は「支店配属」になって、窓口でお金を数えたり、黒い革かばんを持って営業をしたりすることになります。

 

「これじゃ普通だな … 一応、コンピュータは人並み以上にできるんだし …」 ということで、システム部を希望しました。

 

( 社会人生活開始 = 銀行員時代 )
・システム部を志望し、配属された。多少英語ができたので、海外業務のシステム担当となる。アジア部門の担当となり、香港・シンガポール・インドネシアなどへの出張も経験 ( 実は、これら出張が、生まれて初めての海外旅行だった ) → 【結果】 およそ銀行とは思えない薄暗い職場で、日夜プログラミング、システムテスト、過労で倒れる、点滴打って復活 … を繰り返す。一方で、銀行業務全般、システム開発のイロハは一応学べた。海外ビジネスにおける「ハッタリ」( =かまし方。できそうにない事をできると思わせる能力とも言えよう ) も身につける。

 

・マーケット部門が、「システムに明るい、英語のできるスタッフ」という条件でトレーダーを公募していたので応募。面接で「ハッタリ」とプレゼン能力が功を奏し、採用される。 → 【結果】 やっと華やかな職場で働けるようになったものの、なまじシステムを知っているために、日中はトレーダー、夜はシステムのお守り ( メンテナンス ) をさせられ、いいようにコキ使われた。 → 【結果】 外部のトレーダー ( 外国人 ) とやり合う中で、「ハッタリ」スキルが増した。「5 分でシステム直せ !」など、無理なオーダーに対応できるスキル ( 要領のよさ ) が身についた。

 

… 以上のような経緯を経て、「外資系コンサルに勤務する金融機関を専門とした IT コンサルタント・奈良タカシ」の誕生となるわけです。「英語力」「IT リテラシー」「システム開発」「銀行業務」「ハッタリ」「プレゼンスキル」等々、自分で身につけたスキルを、それなりに効率的に使っていることがご理解いただけると思います。

若手にありがちな「願望」

ここで誤解頂きたくないのですが、私は自分が辿った道を自慢しているわけでは決してありません。本心はむしろその逆で、「もっと計画的にスキル UP を考えて生きるべきだったな …」と、猛反省しています。「要領よく生きてきた」といえば耳障り良く聞こえますが、要は「何も考えずに、何の努力もしなかっただけ」のことで、少しでもタイミングが悪ければ、ボロボロのキャリアになっていたように思います。説明の通り、私のスキルにはほとんど「ムダ」はないのですが、逆に言うと、それしかできないわけで、少なくとも若いスタッフにオススメできるような人生設計ではありません。

 

さて本題に戻りましょう。「スキルって、どうすれば身に付くんだろう ? 」でした。最近、スタッフと面談すると、次のような相談を受けるケースが、極めて多くなっています。

 

「タカシさん、次のプロジェクトは、スキル UP につながるようなものを紹介してください !」
「私はコンサルタントとして一本立ちできるスキルを身に付けたいので、そういう指導をして下さい ! 」 等々 … うーーむ …、「スキル」って、何やねん !

 

私 「うーーん、君の言うスキルって、何なのかな ?」

ありがちなスタッフ A くん 「コンサルタントとしてのスキルですよ」

 

私 「( だから、具体的に何や ? って、聞いとんのや、イライラ~ ) 業務知識なの ? 分析力なの ? プレゼン能力、ファシリテーション能力、「ハッタリ」をかます能力 …」

ありがちなスタッフ A くん 「全部です ! 少なくとも、その全部について、タカシさん程度のスキルはつけたいので …」

私 「( 「タカシさん程度」っちゅうのは、明らかに失礼だろ ! コノヤロ …( 怒 )) そういうスキルって、プロジェクトを経験する中で自然に身についていく部分もあるだろ ? 」

ありがちなスタッフ A くん 「自然に身に付いていくんじゃ、遅いんですよ。もっと効率よく、スピーディに身に付けたいんで …」

私 「… ( あ、あのなぁ … )」

ありがちなスタッフ A くんの気持ちもわからんでもないですが、ちょっと違いますよね。次回のコラムでは、若いスタッフが陥りやすいこのような誤解と、じゃどうすればいいのか ? についてお話したいと思います。

( 次回続く )

 

★タカシさん、連載 400 回おめでとうございます ! 今後も引き続き、面白くてタメになり、時に家族愛に涙する連載を期待しています ! ( 編集部より )

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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