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タカシの外資系物語

「ルール」を作る人になれ ! ( その 1 )2008.06.10

タカシ は 堅物なのか ?

先日、私はスタッフのリュウジくんとオフィスの外を歩いていました。しばらくして、道路を隔てて、向こうに渡ろうとしたときのこと。道路には車は一台も通行しておらず、見渡しても来る気配なし。

 

「今だ ! 渡っちゃいましょうよ、タカシさん … あ、あれ ? 」 
おもむろに道路を横断したリュウジくんは、何やら驚いています。なぜなら、道路を走って横断したリュウジくんを尻目に、私は少し先にある横断歩道の手前まで歩いてから、その横断歩道上を歩いて渡ったからです。

 

リュウジ 「いやだなぁ、タカシさぁーん。いい子ぶっちゃって … 車通ってないんだから、わざわざ横断歩道渡らなくてもいいっしょ ? 」

私 「ルールは守らなきゃ … 」

リュウジ 「いや、そんなことぐらいわかってますよぉ … でも、確実に安全なことがわかっているんですから、ちょっとぐらい、ねぇ … 」

随分前のことになりますが、「赤信号、みんなで渡ればこわくない ! 」なんていうフレーズが流行りました。確かに、車がビュンビュン走っている道路ならいざ知らず、車がほとんど通っていないような道路なら、赤信号であっても渡ることは可能です。一人で渡るのは何となく気が引ける … という場合でも、何人もの人が赤信号で渡っていれば、引け目を感じることはありません。「赤信号、みんなで渡ればこわくない」 というのは、そういう集団心理のことを言っています。

 

さて、では本当にこわくないのか ? 交通ルール上は、赤信号は「止まれ」、青信号は「進め」です ( 厳密にいうと、青信号は「進んでもよい」です。たとえ青信号であっても、前に人や障害物がある場合には、進んではいけませんから。運転免許の試験で、よく出される引っ掛け問題ですね )。車の運転手の立場に立ってみると、車が赤信号 ( =歩行者が青信号 ) の場合は、細心の注意を払ってくれるでしょうから、事故になる可能性はかなり低いでしょう ( もちろん、どんな運転手がいるかわからないので、注意は必要ですが )。一方、車が青信号 ( =歩行者が赤信号 ) の場合は、車は進むことを前提に走っていますから、たとえ大勢で「赤信号、みんなで渡れば … 」と渡っていても、かなり危険度は増すはずです。

 

冒頭の話に戻りましょう。私がわざわざ横断歩道を渡った理由は、車が来ないことがわかっていても、横断歩道を渡った方が、事故に遭うリスクが少ないからです。もしかしたら、車が来ているのを見落としているかもしれません。そんなとき、横断歩道も何もないところよりは、横断歩道のあるところの方が、車の運転手もこちらを意識して運転してくれるはずです。

100 万円 or 90 万円 ?

「なんじゃそりゃ、当たり前じゃん。何をえらそうに言うとんねん ! 」まぁ、ちょっと聞いてくださいよ。ここからが重要なんですから。

 

いま仮に、車が来ないと判断して道路を横切ったにも関わらず、実は車を見落としていたとしましょう。その結果、事故に遭ったとします。この場合、横断歩道も何もないところを横切っていたリュウジくんと、横断歩道を渡っていた私では、どんな違いがあるでしょうか。

 

おそらく、横断歩道を渡っていた私をハネた場合、車の運転手に100% の過失があると判断されます。一方、リュウジくんの場合は、道路にいきなり飛び出しているわけですから、10% 程度の過失がリュウジくんに着せられるかもしれません。ま、交通事故の場合には、ケガしてしまうことそのものが重大なので、過失が 100% だろうが 90% だろうが、あまりピンとこないかもしれませんが、ビジネスの場合にはそうとも言っていられません。本来なら 100 万円得られるはずの収益が、ルールを守らなかったばかりに、90 万円しかもらえないとなると、一大事なのです。

 

さて、前置きが長くなりました。今回のコラムでは、ビジネスにおける「ルール」についてお話しましょう。以前にも、「ルール」に関するコラムを書いています。 (『外資における「ルール」の重要性』 参照のこと ) </A>

そのときのポイントは、以下の 2 点でした。

 

( 1 ) 会社の「ルール」は ( たとえ、どんなにバカバカしいと感じても ) 絶対守る
( 2 ) 会社の「ルール」を破った場合、その責任は個人に帰せられる

 

実は、この時にお伝えし切れなかったことがあります。それは、「ルールを守るとどんないいことがあるか ? ( =メリット )」 と 「ルールには、作る側と守る側があって、作る側にならないと面白くない」 ということです。順を追ってお話しましょう。

「ルール」 は 自分を守るためにある

ビジネスにおいて、ルールを守ることによるメリットとは何でしょうか ? 確かにルールを守っていれば、会社や上司に怒られることはありません。また、ルールを守っていれば、顧客やマーケットから後ろ指を指されることもないでしょう。

 

しかし、「会社に怒られない」「顧客に後ろ指を指されない」といった理由も重要ですが、それだけしか頭にないと、人間というのはついついルールを破ってしまうのです。上記のリュウジくんのように、「だれも見ていないから、ルールを破ってしまおう。その方が、自分にとっては有益だもん … 」 という発想が出てくるのです。

 

では、ルールを破る人にはどのような発想が欠けているのでしょうか。そもそもルールの本質とは、「自分を守ること」にあります。横断歩道の例でもわかる通り、ルールを守ってさえいれば、仮に事故に遭っても 100% の補償金が得られる可能性が高くなります。

 

もっと分かりやすくいうと、ルールを守っている限りは、会社や上司はあなたを見捨てない、ということです。例えば、会社のルールでは認められないような架空の売上を計上した場合、会社は即刻あなたを見捨てて解雇にするでしょう。いくら、「会社の業績のためにやった。私に罪はない ! 」 と泣き叫んだところで、ルールを守らなかった方が悪いのですから仕方ありません。

 

会社のルールだけでなく、世の中にある法律というのは、全てこの原理でできています。法を犯さない限りにおいては、国はわれわれ国民を守ってくれます。しかし、法を犯した瞬間に罰せられるのです。

 

ここ数年、多くの日系企業において、基本的なルールを守らなかったばかりに、倒産の憂き目にあっている例は、食品の偽装や品質の改ざんなど、枚挙に暇がありません。もちろん、これは日系だけではなく、過去においては外資系においても同じようなことが行われ、同じように会社が倒産する悲劇を生んでいます。

 

私は外資に転職して、もうすぐ 13 年になりますが、このことを身にしみて体感してきました。去年までエースと目された稼ぎ頭が、そのプレッシャーに耐え切れずにルールを逸脱した瞬間に、会社を解雇になった例も知っています。だから、ルールは絶対に守らないといけない。

 

「ふーーん、なるほどねぇ … でも、タカシさん、ここの道路って、もう少し手前に横断歩道を設定してくれてもいいんじゃないですかね。普段、人が行き交うところに設定してないから、道路を横切る人が出てくると思うんですが … 」

 

さて、次の問題です。仮に、誰が見てもおかしいルールであっても、やはり守らねばならないのでしょうか ? その回答は次回にお話しますが、とりあえずは守らないとならん、とだけ言っておきましょう。ルールというのは、作った側にも問題があります。そして、ルールを作る側になってこそ、はじめてビジネスの醍醐味が味わえるという側面もあります。次回のコラムでは、そのあたりについてお話したいと思います。

( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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