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タカシの外資系物語

Intentional ( 恣意的 ) な外資 ( その 1 )2008.02.05

最も重要なミーティング

… シーーン …

え ? まだ始まんないのか、って ? し、静かにっ ! これから、一年で最も重要なミーティングが始まるんですから … ガチャッ ! コツコツコツ ( お、Boss の Thomas が会議室に入ってきましたよ。いったい、何分待たせれば気が済むんだって感じ … )

 

Thomas 「Hello, everyone! Today, I will discuss you, managers, for this year target...」

 

Target … そう、本日の会議の目的は、マネージャー各人の営業ターゲット ( 目標 ) を決める日なんです。なぜ、これがそんなに重要なのか ? その理由は、ここで設定するターゲットをクリアするかしないかで、私のボーナスの大半が決まるからなんですねー、いやー、まいったまいった …

 

現在、私の給料というのは、ざっくり言うと、以下のような構成になっています。

・給料の合計「100 円」 = 「60 円」固定給 + 「40 円」変動給 ( ボーナス )
・変動給 ( ボーナス ) は、頑張り次第で倍ぐらいになる可能性あり

 

例年、ターゲットをクリアすると、だいたい「50 円」くらいのボーナスが出ています。一方、ターゲットに「1 円」でも達成しないと、ボーナスは「30 円」ぐらいしか出ません。つまり、変動給「40 円」という年俸契約でありながら、実質的には、ターゲットをクリアするか否かというだけで、「±10 円」が即座に決まってしまうというわけなのです。( ちなみに私の場合、ボーナスを倍の「80 円」にするためには、ターゲットの 3 倍程度を達成しなければなりません。一方、ターゲットの半分しか達成できなかった場合は、ボーナスは「ゼロ」に限りなく近くなります … (T-T))

 

というわけで、今日のミーティングの結果次第で、奈良家 ( 私と奥さんと昨年生まれた赤ん坊と愛犬ゴルゴ ) の運命が決まると言っても過言ではないのです。マネージャー連中が固唾を呑んで Thomas の登場を待っていた理由もわかるってもんでしょう !

タカシ、泡を吹いて倒れる

Thomas 「Target has...already...フニャフニャ …」

 

聞き取れんわーーーっ(T-T) はっきり、しゃべれやーーーーーーーっ(T-T) ハァハァハァ …
ん ? でも確か、「already」って言ったよな。ということは … 「すでに」決まっとるということかい ?!
Thomas 「Individual target is here...」
会議室のスクリーンにパワーポイントのスライドが映し出されると、そこにはマネージャーごとのTargetが記載されていました。

 

マネージャーA = 5.5  B = 4.7  タカシ = 6.2  C = 3.6 …
プクプクプク … ( 私が泡を吹いた音 ) 私が泡を吹いて失神しているその傍らで、同僚のAは、早速Thomasにかみついていました。

 

同僚 A 「な、なんで、マネージャー間でこんなにも差があるんだよ ? 一体、どんなロジックでこんな数字になったのか、教えてくれ ! 」( 英語に、“タメ口” という概念はないのですが、日本語に直すとこんな感じでしょう )

 

Thomas の回答の前に、なぜ同僚の Aが文句を言い、私が泡を吹いて倒れたのか … 賢明なみなさんならおわかりだと思います。 前述の通り、われわれマネージャーにとって重要なのは、「設定されたターゲットをクリアできるか否か」ということですから、ターゲットが低ければ低いほど、有利なわけです。この数値を見ると、私は同僚 C の「1.72 倍」(6.2 ÷ 3.6) のターゲットが設定されています。C の年俸を詳しくは知りませんが、おそらく私は C の 1.72 倍もの年俸をもらっていないと思われます。ということは、年俸あたりのターゲットが多い分、私の方が C より不利な設定をされたことになります。

 

Thomas 「基本的には、前年の実績をベースに … 」
た、確かに … 私は前年度、大型案件の受注に成功したので、C の 1.5 倍ぐらいの実績を上げていましたっけ ? でもね、みなさん。去年受注したってことは、今年は厳しいわけですよ。大型案件なんて、早々転がっているわけじゃないんですから … それよりも、今年は C こそが大型案件を受注する番じゃないですか !

 

Thomas 「… 最終的には、私が独自に決めた ! 」
同僚A 「独自に決めた、って … 一体、どんなロジックで決めたんだよ ? 」
Thomas 「ロジック ? そんなもの … 特に、ない」
同僚A 「な、ない ? そんな、intentional な決め方って、ありなのか ? 」
Thomas 「The target is set always intentionally! ( ターゲットというのは、常に恣意的に決まるもんだ )」

外資はロジカルではない ?

Thomas のこの言葉には、さすがの同僚 A も開いた口がふさがらなかったようです。えっ ? 私は Thomas に何も文句を言わなかったのかって ? (T-T) 文句を言おうにも、Thomas と同僚 A の会話が速すぎて速すぎて … 泡を吹いていた私には、とても入り込む余地がなかったっす …  す、すまん、ゴルゴ … また、餌のグレードが下がる … ( ブヒブヒブヒ ! ( 怒 ) by ゴルゴ )

 

何て理不尽な決め方なんだと思われるかもしれませんが、外資系に勤めていると、こういうことは頻繁に起こります。一般的には、外資は日系とは異なり、あらゆる物事が恣意性を排除してロジカルに決まっているような印象があるようですが、なんのなんの … そんなことはありません。私の印象では、外資の方が日系よりはるかに恣意的です。特に、今回のような営業目標の設定などは、TOP が「こうだ ! 」と決めたら、ロジカルもへったくれもありません。

 

仮に、これが日系なら、前年の実績にかかわらず、「マネージャー A = 5.0  B = 5.0  タカシ = 5.0  C = 5.0 … 」と、みんな同じターゲットにして、C の尻をたたくようなオペレーションをしたのではないでしょうか。しかし、Thomas は、そうはしなかった。なぜか ? 実は、これには、外資ならではの深~い意味があるんですよね …

 

次回のコラムでは、このあたりに起因する、外資ならではの考え方をご紹介しましょう。Thomas との折衝の結果についても、次回お話します。ゴルゴの運命や、いかに ?!

( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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