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タカシの外資系物語

外資における「ルール」の重要性 ( その 1 )2007.10.16

マネージャーの役割 … 伝達係か !?

「んったく、しょうがない奴らだなぁ … 」 

現在、私は 30 名程度のメンバーが所属するチームのリーダーをやっています。 30 名のメンバーは、それぞれ個別のプロジェクトにアサイン ( 配属 ) されており、それぞれのプロジェクトには PM ( プロジェクト・マネージャー = プロジェクトとしてのリーダー ) がいますので、日常の作業指示は、その PM から伝えられます。 


では、私は何のためのリーダーかというと、評価や労務管理など、いわゆる人事的な管理をしています。「年始に目標を立てさせて、中間期にレビューして、年末にその評価と反省を実施する」「体調不良などで長期休暇が必要な場合の対処をする」 … などの作業は、プロジェクトの PM ではなく、私の担当となります。スタッフから見ると、プロジェクトにおけるマネージャーと人事上のマネージャーが並存していることになります。 


コンサルティング会社などプロジェクト・ベースで仕事をしている外資系企業の全てが、上記のような管理体制かというと、必ずしも、そうではありません。前職のコンサルティング会社では、プロジェクトにおけるマネージャーは明確でしたが、人事上のマネージャーは不明確 … というか、あまり意識しない存在でした。評価をするのはあくまでもプロジェクトにおけるマネージャーだったので、声の大きいマネージャーにつくと高い評価を得られましたが、逆にイマイチなマネージャーにつくとほとんど評価されないというケースも起こりえました。現在の会社では、人事上のマネージャーである私が、一歩引いて客観的な評価を加えることができるようになった分、前の会社のような不公平は起こらないような仕組みになっており、その観点では、今の会社の制度の方が優れているような気がします。 


一方、今の会社の制度で面倒なのは、配下メンバーに関するどうでもいいような管理まで要求されることです。例えば、全社員が受講必須とされている研修があったとします。その受講期限が迫ってきて、配下メンバーに未受講者がいると、人事から私のところに「メンバーを受講させなさい ! 」といった主旨のメールが飛んできます。もちろん、当事者である未受講者のところにもメールは届いているのですが、このようなことがあった場合、会社のルールとして、「マネージャーが未受講であることを本人に連絡すること」と決まっているため、私から対象者に連絡をしなければならないのです。今回も、数名のメンバーがある必須研修を受講していませんでした。よって、冒頭の愚痴が出るわけです。 


「 30 名中 5 名が未受講か … 『未受講者としてリストアップされていますから、至急受講してください … 』って、アホらしい … 子供じゃあるまいし … 」

「ルール」としてのマネージャー ~外資系の特徴~

さて、本論に入りましょう。「配下スタッフが必須研修を受講していないので、受講するようにマネージャーがスタッフを指導する」というのは、一見すると、マネージャーの役割としては、ごくごく当たり前のことのように思います。私の前職のコンサル会社はさておいて、一般の日系企業なら、普通の管理体制ではないでしょうか。 


しかし 1 点、大きく異なる点があるのです。それは、「配下スタッフが必須研修を受講していないので、受講するようにマネージャーがスタッフを指導した」にも関わらず、そのスタッフが期限内に研修を受講しなかった場合、「スタッフ個人が責められる ( 悪い評価が下される ) = マネージャーは悪くない ! 」ということです。マネージャーである私の役目 ( 責任 ) は、受講しなさいという連絡をするところまでであって、それ以降、受講しようがしまいが、私が責任を負うことはないのです。つまり、私は単なる「連絡係」にすぎない、ということになります。 


私は 30 名のメンバーから成るグループの人事上のリーダーである一方、私自身も自分のプロジェクトを持っています。なので、非常に忙しい。忙しいにも関わらず、なぜ単なる「連絡係」にすぎないようなくだらない作業をブツブツ言いながらやっているかというと、それがわが社の「ルール」だからに他なりません。 


ここに、外資系企業の特徴が見て取れます。それは、以下の 2 つにまとめられるでしょう。 

 

・会社の「ルール」は ( たとえ、どんなにバカバカしいと感じても ) 絶対守る 

・会社の「ルール」を破った ( 例えば、必須研修を期限までに受講しなかった ) 場合、その責任は個人に帰せられる 



今回から数回にわたって、外資系企業における「ルール」の重要性について、お話したいと思います。

タカシが「ルール」を守る理由 ~結果として合理的 !? ~

どうして、会社のルールは絶対守らなければならないか ? それは、どんなルールにも、それなりの理由があるからです。「たとえ、どんなにバカバカしいと感じても … 」と書きましたが、それはある立場の人が、かなり身勝手に「感じている」だけであって、会社全体から見ると、ルールはそれなりに妥当性がある場合が多いのです。 


期限内に研修を受講する例で考えてみましょう。私の前職の会社では、人事上のマネージャーが存在せずに、完全に個人任せの管理制度でした。その制度のもとで、同じように研修受講のメールを個人だけに出したとしても、受講率は今の会社ほどには上がらなかったように思います。逆に、銀行員時代には、一般の日系企業と同様に、部下が受講していない責任を管理職が負うような制度も経験しています。そのときにも、今ほどには受講率は上がりませんでした。 


つまり今の会社は、「会社全体で見て、最も効率的かつ効果の上がる方法」として、未受講者に対してはマネージャーが連絡して指導するというやり方にたどり着いたわけです。実際に、いくつかの方法の中では、今の会社の方法が最も成果が上がっています。なので、私はブツブツ言いながらも従っているのです。 


もちろん、外資系企業には様々なバックグラウンドを持った人が一緒に仕事をします。そういう職場においては、絶対的なルールを適用しなければ、仕事がうまく回らないという側面もあります。しかし私の感覚では、外資のルールというのは、「会社全体で見て、最も効率的かつ効果の上がる方法」という意味合いの方が大きいように思います。 


伝統的な日系企業に勤務する人が、ルールに縛られた外資系企業を揶揄するときに、「外資は柔軟性がない。自分で考えずに、ルールに従っているだけだ ! 」という言い方を、よくします。しかし、それはかなり違う。最も効率的かつ効果の上がる方法を、社員全員が ( 文句を言いながらも ) やっているからこそ、会社として効率的かつ効果を上げているのです。 


5 名の未受講者にメールを出して 1 時間もしないうちに、 3 名から返事が来ました。 


「タカシさん、本日中に E ラーニングにて確実に受講します ! 」 


ほらね ! みんなルールには敏感なんです。さて、残り 2 名は、と … ふむふむ、 2 人とも日系企業からの転職組のようです。 


「あーぁ、ルールは自己責任で守らないと、とんでもないことになるのに … 知―らないっと ! 」 


さてさて、この 2 人の運命は ? 続きは次回お話しましょう。 

(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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